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22/ストーカー対策会議(後編)
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「さてと、気を取り直して。俺のストーカー対策会議をしよう。やっとパトリスが現実に戻ってきてくれたことだし」
テオが咳払いをし、姿勢を正した。
「あー。なんかごめん…で、話はなんだっけ?」
席に戻ってきてからずっとどっかに思考を飛ばしていたパトリスが気まずそうに頭を掻いた。
ディアナが飲み物を飲んでから、パトリスの質問に答えた。
「お兄ちゃんのストーカーが実はパトリスじゃなくて、本当にお兄ちゃんを狙っているんじゃないか疑惑よ」
テオはストレートな物言いのディアナを諌めた。
「ディアナ、言い方」
「じゃぁ、どうやって言うのよ?端的に伝えないと。で、パトリスはどう思う?」
ディアナは注意されたことが不満そうにお皿の上のカナッペを手に取り反論し、パトリスの考えを聞いた。
パトリスは少し考え、おもむろに言った。
「ん~。俺はストーカーが2人いると思う。俺と、テオそれぞれに」
「は?」
「!?」
パトリスの予想外の返事にテオとディアナ兄妹は吃驚仰天した。
パトリスはそんな2人の様子を気に留めるでもなく、
「いやね。俺も視線感じる時があるんだ。それに、物がなくなることも増えてきた。でも、テオの言うのとは別なんだよ。俺は逆に商店街では視線を感じない。むしろ、それ以外で感じるんだ。
で、テオのストーカーは多分テオ狙いで合ってる。でも、そっちは肉眼で見ているってわけでもなさそうなんだよな…。魔力かな?でも、俺が感じる視線は肉眼でみているものっぽいからそこも違っているんだよね。
だから、俺には俺の、テオにはテオのストーカーがそれぞれいるって俺の中の結論になった」
黙ってパトリスの話を聞いていたディアナが雑にまとめた。
「はぁ~。なんか色々言っているけど、要はどっちもストーカーに狙われているってことね」
「まぁ、そうだね」
パトリスがハハッと笑いながら肯定した。
テオが信じられないって顔をして呟いた。
「うそだろ…?えー…引くわぁ…」
「わかるよ、信じられないよね。お兄ちゃんにストーカーする奇特な人がいるだなんて…。私も会ってみたいわ」
テオはディアナをジロッと睨んだ。
「おい、ディアナ、だから言い方。にしても、俺の何処が…?」
パトリスはサラダを食べながら首を振り、テオの疑問に答えた。
「いや、テオはいいヤツだよ。でも、惚れる惚れないの前にお前、…いつも気配なさすぎなんだよ。仕事中毒か」
「あ、あー。そうか、そうだったわ」
テオはパトリスに指摘されて日頃から自分が隠密行動をしていることを自覚していなかった。
「あらやだ、お兄ちゃん、自覚していなかったの?うっかりしすぎでしょ」
ディアナはそんな兄の様子に呆れてものが言えなくなった。
「まあ、そういうことで、俺とテオは別々のストーカーに狙われてるってわけだ。で、対策だが、俺にいい考えがある」
パトリスは自信満々に言った。
ディアナとテオはなんだか嫌な予感がしたが、いい対策が思いつかなかったので、パトリスの話を聞いてみることにした。
「ふふふ…それはね、魔導具を作るんだよ」
ニッコニコと笑うパトリスを見てテオとディアナは顔を見合わせた。
テオが咳払いをし、姿勢を正した。
「あー。なんかごめん…で、話はなんだっけ?」
席に戻ってきてからずっとどっかに思考を飛ばしていたパトリスが気まずそうに頭を掻いた。
ディアナが飲み物を飲んでから、パトリスの質問に答えた。
「お兄ちゃんのストーカーが実はパトリスじゃなくて、本当にお兄ちゃんを狙っているんじゃないか疑惑よ」
テオはストレートな物言いのディアナを諌めた。
「ディアナ、言い方」
「じゃぁ、どうやって言うのよ?端的に伝えないと。で、パトリスはどう思う?」
ディアナは注意されたことが不満そうにお皿の上のカナッペを手に取り反論し、パトリスの考えを聞いた。
パトリスは少し考え、おもむろに言った。
「ん~。俺はストーカーが2人いると思う。俺と、テオそれぞれに」
「は?」
「!?」
パトリスの予想外の返事にテオとディアナ兄妹は吃驚仰天した。
パトリスはそんな2人の様子を気に留めるでもなく、
「いやね。俺も視線感じる時があるんだ。それに、物がなくなることも増えてきた。でも、テオの言うのとは別なんだよ。俺は逆に商店街では視線を感じない。むしろ、それ以外で感じるんだ。
で、テオのストーカーは多分テオ狙いで合ってる。でも、そっちは肉眼で見ているってわけでもなさそうなんだよな…。魔力かな?でも、俺が感じる視線は肉眼でみているものっぽいからそこも違っているんだよね。
だから、俺には俺の、テオにはテオのストーカーがそれぞれいるって俺の中の結論になった」
黙ってパトリスの話を聞いていたディアナが雑にまとめた。
「はぁ~。なんか色々言っているけど、要はどっちもストーカーに狙われているってことね」
「まぁ、そうだね」
パトリスがハハッと笑いながら肯定した。
テオが信じられないって顔をして呟いた。
「うそだろ…?えー…引くわぁ…」
「わかるよ、信じられないよね。お兄ちゃんにストーカーする奇特な人がいるだなんて…。私も会ってみたいわ」
テオはディアナをジロッと睨んだ。
「おい、ディアナ、だから言い方。にしても、俺の何処が…?」
パトリスはサラダを食べながら首を振り、テオの疑問に答えた。
「いや、テオはいいヤツだよ。でも、惚れる惚れないの前にお前、…いつも気配なさすぎなんだよ。仕事中毒か」
「あ、あー。そうか、そうだったわ」
テオはパトリスに指摘されて日頃から自分が隠密行動をしていることを自覚していなかった。
「あらやだ、お兄ちゃん、自覚していなかったの?うっかりしすぎでしょ」
ディアナはそんな兄の様子に呆れてものが言えなくなった。
「まあ、そういうことで、俺とテオは別々のストーカーに狙われてるってわけだ。で、対策だが、俺にいい考えがある」
パトリスは自信満々に言った。
ディアナとテオはなんだか嫌な予感がしたが、いい対策が思いつかなかったので、パトリスの話を聞いてみることにした。
「ふふふ…それはね、魔導具を作るんだよ」
ニッコニコと笑うパトリスを見てテオとディアナは顔を見合わせた。
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