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12/場外バトル
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ウーゴがオリビアとデートの約束を取り付けるちょっと前
ウーゴが朝イチでオリビアに渡す素材を仕事場に取りに行った帰り道
「あれ?ウーゴ」
ウーゴはパン屋の前でケリーに声をかけられた。
「おはよう、ケリー」
「おはよう、早いね?どうしたの?」
「ケリーも早いね。もう開店?」
「そ、準備中。で、ウーゴはどうしたの?あれ?その箱?」
ケリーはウーゴが抱えている箱を覗き込んだ。
ウーゴはそれに気付き、箱を見えるように持ち直した。
「あぁ、これ?オリビアにあげようと思って」
「献身的ねぇ。あ、オリビアといえば、またお店のお客さんに紹介してって頼まれちゃった」
ケリーが思い出したようにからかうように笑った。
ウーゴはケリーの挑発には乗らず、笑顔で流した。
「また?オリビアはモテるね」
「ほんとよねぇ。オリビアがいつまでも独り身でフラフラしてるから、私も行く先々でお願いされちゃうんだよ」
ウーゴが思ったのと違う反応をしたのが面白くなかったので、ケリーは違う角度から攻めることにした。
「で、ウーゴはどうなのよ?こうして貢物まで用意して日参しているってことはオリビアのこと好きなんでしょ?どうなの?落とせそうなの?」
ウーゴはそんなケリーの意図を読み取ったのか、鉄壁の笑顔でケリーの質問に答えた。
「どうかな?僕はオリビアのこと好きだけど、オリビアがどうかはわからないよ。オリビアが誰を選んでも僕はオリビアのこと諦めないけどね」
「ふーん。まぁ、いままでの中では一番いい感じではあるけど…」
「それは嬉しいね」
ケリーはウーゴじゃない…と結論付けて、ふと、幼馴染の顔が浮かんだ。
「オリビア、やっぱパトリスのなにかあったのかしら?」
ウーゴは聞き慣れない名前に悪い予感がした。
「パトリス?誰?」
ケリーはそんなウーゴの変化には気づかず、また違う男の名前を上げた。
「え?あぁ、幼馴染よ。それともユーリのほうかな?」
「ユーリ?診療所の?」
「そう。あいつも幼馴染。私の感ではオリビアはパトリスか、ユーリと何かあったと思うんだけどなぁ」
「へぇ」
ウーゴは低い声を出したが、ケリーは自分の思い込みの世界にいるから全然気がつかなかった。
「オリビアがあんな頑に恋愛しないなんて絶対何かあるはずなのよ!だから、私が過去のトラウマを克服させてあげるんだから!」
ケリーは結局何も変わらない結論を出し、気合を入れ直した。
オリビアの頑なさがケリーのお節介魂に火を着けていたことをオリビアは知らなかった。
「そっか、それで…」
「あ、やば。時間になっちゃう。ウーゴ、じゃぁ、またね」
ウーゴの話を遮り、ケリーは慌てて店の中に戻り、開店準備を慌てて再開した。
ウーゴは笑顔で手を振ってケリーと別れたが、心中穏やかではなかった。
「パトリスにユーリか……」
周りで同じように開店準備をしていた他店の人々は2人様子見ていた。虎と龍がいがみ合うような状況から急にブリザード吹き荒れる雪山と常夏のバカンスの海のような背景に切り替わって何が起こったのか興味津々だったが、敢えてその中に飛び込むものはいなかった。
ウーゴが朝イチでオリビアに渡す素材を仕事場に取りに行った帰り道
「あれ?ウーゴ」
ウーゴはパン屋の前でケリーに声をかけられた。
「おはよう、ケリー」
「おはよう、早いね?どうしたの?」
「ケリーも早いね。もう開店?」
「そ、準備中。で、ウーゴはどうしたの?あれ?その箱?」
ケリーはウーゴが抱えている箱を覗き込んだ。
ウーゴはそれに気付き、箱を見えるように持ち直した。
「あぁ、これ?オリビアにあげようと思って」
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ケリーが思い出したようにからかうように笑った。
ウーゴはケリーの挑発には乗らず、笑顔で流した。
「また?オリビアはモテるね」
「ほんとよねぇ。オリビアがいつまでも独り身でフラフラしてるから、私も行く先々でお願いされちゃうんだよ」
ウーゴが思ったのと違う反応をしたのが面白くなかったので、ケリーは違う角度から攻めることにした。
「で、ウーゴはどうなのよ?こうして貢物まで用意して日参しているってことはオリビアのこと好きなんでしょ?どうなの?落とせそうなの?」
ウーゴはそんなケリーの意図を読み取ったのか、鉄壁の笑顔でケリーの質問に答えた。
「どうかな?僕はオリビアのこと好きだけど、オリビアがどうかはわからないよ。オリビアが誰を選んでも僕はオリビアのこと諦めないけどね」
「ふーん。まぁ、いままでの中では一番いい感じではあるけど…」
「それは嬉しいね」
ケリーはウーゴじゃない…と結論付けて、ふと、幼馴染の顔が浮かんだ。
「オリビア、やっぱパトリスのなにかあったのかしら?」
ウーゴは聞き慣れない名前に悪い予感がした。
「パトリス?誰?」
ケリーはそんなウーゴの変化には気づかず、また違う男の名前を上げた。
「え?あぁ、幼馴染よ。それともユーリのほうかな?」
「ユーリ?診療所の?」
「そう。あいつも幼馴染。私の感ではオリビアはパトリスか、ユーリと何かあったと思うんだけどなぁ」
「へぇ」
ウーゴは低い声を出したが、ケリーは自分の思い込みの世界にいるから全然気がつかなかった。
「オリビアがあんな頑に恋愛しないなんて絶対何かあるはずなのよ!だから、私が過去のトラウマを克服させてあげるんだから!」
ケリーは結局何も変わらない結論を出し、気合を入れ直した。
オリビアの頑なさがケリーのお節介魂に火を着けていたことをオリビアは知らなかった。
「そっか、それで…」
「あ、やば。時間になっちゃう。ウーゴ、じゃぁ、またね」
ウーゴの話を遮り、ケリーは慌てて店の中に戻り、開店準備を慌てて再開した。
ウーゴは笑顔で手を振ってケリーと別れたが、心中穏やかではなかった。
「パトリスにユーリか……」
周りで同じように開店準備をしていた他店の人々は2人様子見ていた。虎と龍がいがみ合うような状況から急にブリザード吹き荒れる雪山と常夏のバカンスの海のような背景に切り替わって何が起こったのか興味津々だったが、敢えてその中に飛び込むものはいなかった。
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