幸福は君の為に

周乃 太葉

文字の大きさ
上 下
12 / 26

10/親友の違和感

しおりを挟む
パトリスとディアナと飲んでから数日経ったある日、テオは違和感を感じた。

どうもおかしい…

何かに見られている…

ここ最近、仕事場の帰り道、休日の買い物、ここを通ると何者かの視線を感じることが増えた。

だが、俺は一般人、しがない中間管理職の役人だ。
残念ながらそこまでのエリートコースを歩んでいるわけではない。

容姿も中の上ぐらいと妹によく言われている。

友人関係は広いほうだが、恋人はいない。
もちろん遊びの関係も一夜限りってのもない。
…悲しい限りだ。


だからこそ、おかしい…

俺にストーカーする奴がいるなんて…

テオは仕事帰りにいつもの道を通りながら考えを巡らせた。

俺の中で何かあるとしたら

…パトリスか!

そうだ、パトリスがいた。

なるほど、どこかで俺がパトリスと知り合いと知ったファンが俺のこと尾行してパトリスについて何か情報を掴もうとしているんだな。

なるほど、なるほど…

これはちょっと…

むなしいものがあるな…

だが、そうだとしたら、しばらくパトリスと会うのはやめるか?あいつに今以上負担がかかるのは…

うーん…

だけど…パトリス俺以外他に友達いないんだよな…
どっか他人に対して警戒してるとこあるし…
まぁ、あんだけ人気出たら色々一悶着あったんだろう…

いや?昔からか?

………うん、考えてもわからん。

とりあえず、明後日の舞台か。チケットもらったし観に行くか。ディアナとだし、観客だし。

ストーキングされてても問題ないだろう。

よし、とりあえず、今日のところは撒こう。

家は寮だからバレてるだろうけど、気分の問題だな。

そうと決まれば、飲みに行こう。

せっかくだからディアナと飲みに行こう。
もうホテルに戻っているだろう。迎えに行こう。

テオはディアナの泊まっているホテルに向かうと決めた。
急に走り出し、路地を曲がり、高くジャンプして屋根の上に飛び乗った。

テオのことを尾行していた人物は、今までゆっくり歩いていたテオがいきなり走り出して曲がったので、不意を突かれた。

「あれ…?どこ行ったかな?」

路地をキョロキョロ見たが、テオのことを見失ってしまった。

屋根からその様子を観察していたテオは尾行していた人物に心当たりがなく、

「何だ、やっぱりパトリス関係じゃん」

と呟いた。

「さぁて、ディアナんとこ行こっと」

屋根をピョンピョンと跳び移ってディアナの宿泊しているホテルに向かった。

ディアナはいきなりの兄の来訪に驚いたが、暇を持て余していたのか、快く飲みに付き合ってくれた。もちろん兄の奢りで。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

平凡令嬢の婚活事情〜あの人だけは、絶対ナイから!〜

本見りん
恋愛
「……だから、ミランダは無理だって!!」  王立学園に通う、ミランダ シュミット伯爵令嬢17歳。  偶然通りかかった学園の裏庭でミランダ本人がここにいるとも知らず噂しているのはこの学園の貴族令息たち。  ……彼らは、決して『高嶺の花ミランダ』として噂している訳ではない。  それは、ミランダが『平凡令嬢』だから。  いつからか『平凡令嬢』と噂されるようになっていたミランダ。『絶賛婚約者募集中』の彼女にはかなり不利な状況。  チラリと向こうを見てみれば、1人の女子生徒に3人の男子学生が。あちらも良くない噂の方々。  ……ミランダは、『あの人達だけはナイ!』と思っていだのだが……。 3万字少しの短編です。『完結保証』『ハッピーエンド』です!

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

Shadow★Man~変態イケメン御曹司に溺愛(ストーカー)されました~

美保馨
恋愛
ある日突然、澪は金持ちの美男子・藤堂千鶴に見染められる。しかしこの男は変態で異常なストーカーであった。澪はド変態イケメン金持ち千鶴に翻弄される日々を送る。『誰か平凡な日々を私に返して頂戴!』 ★変態美男子の『千鶴』と  バイオレンスな『澪』が送る  愛と笑いの物語!  ドタバタラブ?コメディー  ギャグ50%シリアス50%の比率  でお送り致します。 ※他社サイトで2007年に執筆開始いたしました。 ※感想をくださったら、飛び跳ねて喜び感涙いたします。 ※2007年当時に執筆した作品かつ著者が10代の頃に執筆した物のため、黒歴史感満載です。 改行等の修正は施しましたが、内容自体に手を加えていません。 2007年12月16日 執筆開始 2015年12月9日 復活(後にすぐまた休止) 2022年6月28日 アルファポリス様にて転用 ※実は別名義で「雪村 里帆」としてドギツイ裏有の小説をアルファポリス様で執筆しております。 現在の私の活動はこちらでご覧ください(閲覧注意ですw)。

【完結】なぜ、お前じゃなくて義妹なんだ!と言われたので

yanako
恋愛
なぜ、お前じゃなくて義妹なんだ!と言われたので

処理中です...