幸福は君の為に

周乃 太葉

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10/親友の違和感

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パトリスとディアナと飲んでから数日経ったある日、テオは違和感を感じた。

どうもおかしい…

何かに見られている…

ここ最近、仕事場の帰り道、休日の買い物、ここを通ると何者かの視線を感じることが増えた。

だが、俺は一般人、しがない中間管理職の役人だ。
残念ながらそこまでのエリートコースを歩んでいるわけではない。

容姿も中の上ぐらいと妹によく言われている。

友人関係は広いほうだが、恋人はいない。
もちろん遊びの関係も一夜限りってのもない。
…悲しい限りだ。


だからこそ、おかしい…

俺にストーカーする奴がいるなんて…

テオは仕事帰りにいつもの道を通りながら考えを巡らせた。

俺の中で何かあるとしたら

…パトリスか!

そうだ、パトリスがいた。

なるほど、どこかで俺がパトリスと知り合いと知ったファンが俺のこと尾行してパトリスについて何か情報を掴もうとしているんだな。

なるほど、なるほど…

これはちょっと…

むなしいものがあるな…

だが、そうだとしたら、しばらくパトリスと会うのはやめるか?あいつに今以上負担がかかるのは…

うーん…

だけど…パトリス俺以外他に友達いないんだよな…
どっか他人に対して警戒してるとこあるし…
まぁ、あんだけ人気出たら色々一悶着あったんだろう…

いや?昔からか?

………うん、考えてもわからん。

とりあえず、明後日の舞台か。チケットもらったし観に行くか。ディアナとだし、観客だし。

ストーキングされてても問題ないだろう。

よし、とりあえず、今日のところは撒こう。

家は寮だからバレてるだろうけど、気分の問題だな。

そうと決まれば、飲みに行こう。

せっかくだからディアナと飲みに行こう。
もうホテルに戻っているだろう。迎えに行こう。

テオはディアナの泊まっているホテルに向かうと決めた。
急に走り出し、路地を曲がり、高くジャンプして屋根の上に飛び乗った。

テオのことを尾行していた人物は、今までゆっくり歩いていたテオがいきなり走り出して曲がったので、不意を突かれた。

「あれ…?どこ行ったかな?」

路地をキョロキョロ見たが、テオのことを見失ってしまった。

屋根からその様子を観察していたテオは尾行していた人物に心当たりがなく、

「何だ、やっぱりパトリス関係じゃん」

と呟いた。

「さぁて、ディアナんとこ行こっと」

屋根をピョンピョンと跳び移ってディアナの宿泊しているホテルに向かった。

ディアナはいきなりの兄の来訪に驚いたが、暇を持て余していたのか、快く飲みに付き合ってくれた。もちろん兄の奢りで。

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