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"まずは大前提の話から
この世界には漂う魔素と万物に宿る気があること知ってる?知らない?"
キースは首を振ると、テルマは居住まいを正した。
"そっか…"
テルマはそう言って机の上で指先をくるくると回すと立体的で簡素化された人形が2つ現れた。
人形の周りに色とりどりの丸い粒と四角い粒が浮かび上がった。
"世界には魔素と気が漂っている。この場合、球体が魔素、立方体が気だと思ってくれればいい"
テルマの言葉に呼応して人形や粒が動く仕掛けのようだ。
"魔素を体に取り込んで己が力に変換したものが魔力
魔力を生成出来る者が魔法を使える"
そう言うと片方の人形に丸い粒が吸い込まれ、ほんのりと光った。
"ラジィトはこっちのタイプ
で、貴方やテオーリオは魔素を取り込むことが出来ないこっちのタイプ"
テルマが指差したもう1つの人形には丸い粒は吸い込まれず、反発した。
"こっちはその代わりに気を操れる"
先ほどの人形の周りに四角い粒が集まってきた。
"気は取り込むのでなく、操る"
四角い粒が集まって人形の周りで色々な形を形成した。
"気のままでも操ることはできるが、万物に宿る気は歳月と共に蓄積され、純化し、錬成される。
錬成されると精霊と成り、自我を持つ。
精霊は気を操る者を好むが
反対に魔力を扱う者を嫌う"
四角い粒が集まり、小さな生き物の形になった。
そして、その小さき者は魔力を持った人形には反発し、持っていない人形に擦り寄った。
"つまり、貴方とテオーリオは精霊の友人と言うわけだ"
食い入るように机上を見ていたキースがふと顔を上げるとテルマと目があった。
キースの言いたいことを汲んだかのようにテルマは話を続けた。
"魔か、気か、それは生まれ持った性質だ。
どちらかに属する。
魔が使えるなら気は繰れない。
魔が使えないならその者は気を繰ることができる。
落ちこぼれなんかではない。
あの国が、神殿が、無知なだけだ。
使える魔法や友人となる精霊がどのような属性なのかは生まれ持った性質による。
これに関して人は何も選べなどしない"
難しいかな?そう言ってオーカは指を鳴らした。
キースは食い入るように人形を見ていた。
「テルマ、貴方は…」
"私は特殊だ。世界の基準から外れている"
テルマは淋しげに笑った。そして何事もなく授業を続けた。
キースがまた机上をみると、
魔力を帯びた人形が黄色く光り、
もう片方の人形の周りに集まる精霊は緑に光っていた。
"まっ、本当は色なんてついていないんだけどね。分かりやすくね。
こっちの人形は黄色だから…土系の魔素を変換し易い。
つまり、適性ってやつ。
これの周りに集まっている精霊は緑…風を繰る精霊に好まれているな。
つまり、これは風を繰る適性がある。
赤は火、青は水、黄は土、緑は風
適性は多種多様あるけど、今は省くよ。
ここまでの話理解出来た?"
テルマは再び指を鳴らした。
するとキースの目にも精霊が視えるようになった。
キースの周りには沢山の小さな生き物が飛び交っていた。
小さき者達は仄かに青色の光を纏っているような気がした。
"ふふふ…彼らも色が気に入ったみたいだね。真似してるよ。ん~…他の色も混ざってるけど、大半は青かな?貴方は水の精霊の友人だね。水の精霊が貴方のことを助けてくれる"
キースは目の前に来た小さい者に手を差し伸べた。
すると、小さい者はスリスリとキースの指に頬擦りをした。
テルマは満足気に微笑み、残りのワインを一口で飲んだ。
"ただ、使い過ぎは駄目だよ。
魔力の過剰消耗は身を枯らす
精霊の過剰援助は身を潰す
何事もほどほどに。ほどほどが一番だ"
テルマは立ち上がると
"さてと、さぁ、もう寝るんだ。明日から忙しいんだから。心技体を調えることは大事だよ"
そう言ってキースを部屋に転移させた。
部屋に飛ばされたキースは仕方ないのでベッドに横になった。
ベッドの中に入ってさっきの話を考えていたが、いつの間にか眠りについていた。
その間も小さき者はキースの周りに沢山の漂っていた。
この世界には漂う魔素と万物に宿る気があること知ってる?知らない?"
キースは首を振ると、テルマは居住まいを正した。
"そっか…"
テルマはそう言って机の上で指先をくるくると回すと立体的で簡素化された人形が2つ現れた。
人形の周りに色とりどりの丸い粒と四角い粒が浮かび上がった。
"世界には魔素と気が漂っている。この場合、球体が魔素、立方体が気だと思ってくれればいい"
テルマの言葉に呼応して人形や粒が動く仕掛けのようだ。
"魔素を体に取り込んで己が力に変換したものが魔力
魔力を生成出来る者が魔法を使える"
そう言うと片方の人形に丸い粒が吸い込まれ、ほんのりと光った。
"ラジィトはこっちのタイプ
で、貴方やテオーリオは魔素を取り込むことが出来ないこっちのタイプ"
テルマが指差したもう1つの人形には丸い粒は吸い込まれず、反発した。
"こっちはその代わりに気を操れる"
先ほどの人形の周りに四角い粒が集まってきた。
"気は取り込むのでなく、操る"
四角い粒が集まって人形の周りで色々な形を形成した。
"気のままでも操ることはできるが、万物に宿る気は歳月と共に蓄積され、純化し、錬成される。
錬成されると精霊と成り、自我を持つ。
精霊は気を操る者を好むが
反対に魔力を扱う者を嫌う"
四角い粒が集まり、小さな生き物の形になった。
そして、その小さき者は魔力を持った人形には反発し、持っていない人形に擦り寄った。
"つまり、貴方とテオーリオは精霊の友人と言うわけだ"
食い入るように机上を見ていたキースがふと顔を上げるとテルマと目があった。
キースの言いたいことを汲んだかのようにテルマは話を続けた。
"魔か、気か、それは生まれ持った性質だ。
どちらかに属する。
魔が使えるなら気は繰れない。
魔が使えないならその者は気を繰ることができる。
落ちこぼれなんかではない。
あの国が、神殿が、無知なだけだ。
使える魔法や友人となる精霊がどのような属性なのかは生まれ持った性質による。
これに関して人は何も選べなどしない"
難しいかな?そう言ってオーカは指を鳴らした。
キースは食い入るように人形を見ていた。
「テルマ、貴方は…」
"私は特殊だ。世界の基準から外れている"
テルマは淋しげに笑った。そして何事もなく授業を続けた。
キースがまた机上をみると、
魔力を帯びた人形が黄色く光り、
もう片方の人形の周りに集まる精霊は緑に光っていた。
"まっ、本当は色なんてついていないんだけどね。分かりやすくね。
こっちの人形は黄色だから…土系の魔素を変換し易い。
つまり、適性ってやつ。
これの周りに集まっている精霊は緑…風を繰る精霊に好まれているな。
つまり、これは風を繰る適性がある。
赤は火、青は水、黄は土、緑は風
適性は多種多様あるけど、今は省くよ。
ここまでの話理解出来た?"
テルマは再び指を鳴らした。
するとキースの目にも精霊が視えるようになった。
キースの周りには沢山の小さな生き物が飛び交っていた。
小さき者達は仄かに青色の光を纏っているような気がした。
"ふふふ…彼らも色が気に入ったみたいだね。真似してるよ。ん~…他の色も混ざってるけど、大半は青かな?貴方は水の精霊の友人だね。水の精霊が貴方のことを助けてくれる"
キースは目の前に来た小さい者に手を差し伸べた。
すると、小さい者はスリスリとキースの指に頬擦りをした。
テルマは満足気に微笑み、残りのワインを一口で飲んだ。
"ただ、使い過ぎは駄目だよ。
魔力の過剰消耗は身を枯らす
精霊の過剰援助は身を潰す
何事もほどほどに。ほどほどが一番だ"
テルマは立ち上がると
"さてと、さぁ、もう寝るんだ。明日から忙しいんだから。心技体を調えることは大事だよ"
そう言ってキースを部屋に転移させた。
部屋に飛ばされたキースは仕方ないのでベッドに横になった。
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