28 / 56
28.
しおりを挟む
階段を降りていくとドアがあった。
人の気配はなかった。
そっとドアを開けると、
また人一人がやっと通れるぐらい細い通路になっていて、その突き当りに小さな部屋があった。
ドアは閉まっている…
「さて、どうやって…」
とその時、通路に男が1人入ってきて、ドアを開けた。
ラジィは気配を消して男をすり抜けて部屋に入った。
さっきの男がキースに話し掛けた。
「キース、どうするんだ?上はダメだ。まだこの部屋への通路は見つかっていないが…」
「こっちの隠し通路を使って外に出る」
キースは小部屋の足下にある小さな隠し戸を開けた。
そこには人一人が通れそうな穴があり、壁に梯子が設置されていた。
「これを降りれば地下通路に繋がっている。順番に降りるぞ。俺が降りたら子供達を降ろしてくれ。」
キース足元には8人の年端の行かない子供たちが不安そうに固まっていた。
「だが、通路の先の外には奴等が…」
「ここに居ても捕まるだけだろ。通路は迷路だから奴らに見つかる前に出られる可能性は0じゃない」
2人の大人の言い争う声に不安が溢れ出した子供が数人泣き出した。
「ふぇっ…」
「うっ…うっ…」
キースは言い争いを止め、泣いてしまった子をあやすことを優先した。
「あぁ、大丈夫、大丈夫だからな?なっ?だから泣くなって、よしよし」
「おい、そんなことしてる時間はないぞ、俺が先に行く!」
もう一人の男が焦りを隠すことなく梯子を降りていった。
「あぁ、よし、みんな、大丈夫だからな?行こう」
キースは子供達を順番に降ろした。
年長者には歩けない子を抱っこさせて降ろし、キースは最後に泣いている子供を抱きかかえ、梯子を降り、隠し扉もしっかり閉めた。
ラジィも子供達の列に紛れ、地下通路に入った。
地下通路に入り、少しするとさっきいた部屋に兵士たちが踏み込む音が響き渡った。
ドカドカと地下まで響く音にひぃっと怯える子供達をを宥め、キース達は先に進んだ。
地下通路には所々柵が設置されており、キースは毎回柵の扉に鍵を掛け、そう簡単追いつけないようにしていた。
暫く慎重に進んだところで、先を行っていた男が走って何かに追い掛けられるように戻って来た。
「駄目だー!こっちに来るなー」
男の背後には兵士たちが追いかけて来ていた。
その直後、ガシャンと金属音とグハッと言う声が通路に響き渡った。
その姿は見えなかったが、神官と兵士達に見付かったのは明白だった。
「クソッ…」
さらに、後方のキース達が来た方からも怒声と足音が近づいてきていた。
ガシャーンと扉を破壊する音が響き渡った。
「くっ…ここまで来て…」
子供達はキースにしがみつき、
キースは子供たちを抱きかかえる手に力が入った。
「死んじゃうの…?」
「こわいよぉ…」
絶体絶命の危機にラジィは決断し、行動を起こした。
「コントゥリーヂ」
まずライは姿を現した。
キースと子供たちは急に現れたラジィに心臓が止まりそうなほどビックリし、気を失った子もいた。
「キース、飛ぶぞ」
「えっ?えっ?」
パニック状態のキースと子供たちを魔力で作った糸でまとめ、バングルを触り言葉を唱えた。
「レヴェーナス」
キースと子供達、そしてラジィの姿が光に包まれ、消えた。
追ってきた神官と兵士達、待ち伏せしていた神官と兵士達、途中途中にある扉を破壊しながら進み、ついに獲物を追い詰めた。
と思っていたが………
双方が出会った時、間には誰も、何もいなかった。
「クソッ、デマか!この男、死に際に…クソッしてやられた!」
上級神官がレジスタンスの男の死体を踏みつけ、蹴りつけ、苛立ちを顕にした。
人の気配はなかった。
そっとドアを開けると、
また人一人がやっと通れるぐらい細い通路になっていて、その突き当りに小さな部屋があった。
ドアは閉まっている…
「さて、どうやって…」
とその時、通路に男が1人入ってきて、ドアを開けた。
ラジィは気配を消して男をすり抜けて部屋に入った。
さっきの男がキースに話し掛けた。
「キース、どうするんだ?上はダメだ。まだこの部屋への通路は見つかっていないが…」
「こっちの隠し通路を使って外に出る」
キースは小部屋の足下にある小さな隠し戸を開けた。
そこには人一人が通れそうな穴があり、壁に梯子が設置されていた。
「これを降りれば地下通路に繋がっている。順番に降りるぞ。俺が降りたら子供達を降ろしてくれ。」
キース足元には8人の年端の行かない子供たちが不安そうに固まっていた。
「だが、通路の先の外には奴等が…」
「ここに居ても捕まるだけだろ。通路は迷路だから奴らに見つかる前に出られる可能性は0じゃない」
2人の大人の言い争う声に不安が溢れ出した子供が数人泣き出した。
「ふぇっ…」
「うっ…うっ…」
キースは言い争いを止め、泣いてしまった子をあやすことを優先した。
「あぁ、大丈夫、大丈夫だからな?なっ?だから泣くなって、よしよし」
「おい、そんなことしてる時間はないぞ、俺が先に行く!」
もう一人の男が焦りを隠すことなく梯子を降りていった。
「あぁ、よし、みんな、大丈夫だからな?行こう」
キースは子供達を順番に降ろした。
年長者には歩けない子を抱っこさせて降ろし、キースは最後に泣いている子供を抱きかかえ、梯子を降り、隠し扉もしっかり閉めた。
ラジィも子供達の列に紛れ、地下通路に入った。
地下通路に入り、少しするとさっきいた部屋に兵士たちが踏み込む音が響き渡った。
ドカドカと地下まで響く音にひぃっと怯える子供達をを宥め、キース達は先に進んだ。
地下通路には所々柵が設置されており、キースは毎回柵の扉に鍵を掛け、そう簡単追いつけないようにしていた。
暫く慎重に進んだところで、先を行っていた男が走って何かに追い掛けられるように戻って来た。
「駄目だー!こっちに来るなー」
男の背後には兵士たちが追いかけて来ていた。
その直後、ガシャンと金属音とグハッと言う声が通路に響き渡った。
その姿は見えなかったが、神官と兵士達に見付かったのは明白だった。
「クソッ…」
さらに、後方のキース達が来た方からも怒声と足音が近づいてきていた。
ガシャーンと扉を破壊する音が響き渡った。
「くっ…ここまで来て…」
子供達はキースにしがみつき、
キースは子供たちを抱きかかえる手に力が入った。
「死んじゃうの…?」
「こわいよぉ…」
絶体絶命の危機にラジィは決断し、行動を起こした。
「コントゥリーヂ」
まずライは姿を現した。
キースと子供たちは急に現れたラジィに心臓が止まりそうなほどビックリし、気を失った子もいた。
「キース、飛ぶぞ」
「えっ?えっ?」
パニック状態のキースと子供たちを魔力で作った糸でまとめ、バングルを触り言葉を唱えた。
「レヴェーナス」
キースと子供達、そしてラジィの姿が光に包まれ、消えた。
追ってきた神官と兵士達、待ち伏せしていた神官と兵士達、途中途中にある扉を破壊しながら進み、ついに獲物を追い詰めた。
と思っていたが………
双方が出会った時、間には誰も、何もいなかった。
「クソッ、デマか!この男、死に際に…クソッしてやられた!」
上級神官がレジスタンスの男の死体を踏みつけ、蹴りつけ、苛立ちを顕にした。
1
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。

竜王の花嫁は番じゃない。
豆狸
恋愛
「……だから申し上げましたのに。私は貴方の番(つがい)などではないと。私はなんの衝動も感じていないと。私には……愛する婚約者がいるのだと……」
シンシアの瞳に涙はない。もう涸れ果ててしまっているのだ。
──番じゃないと叫んでも聞いてもらえなかった花嫁の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる