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商店街で肉や服、雑貨など、生活に必要な物を順調に買い進め、マジックバックにかなり詰め込んだ。
「もう十分買ったな。まだまだ入りそうだな~
何処まで入るんだろう?」
…と、いうか、全然だな。
テルマはいったいどれだけの容量にしたんだよ…。
「あっ、そうだ、テオが本を読みたいって言ってたな。なんて本だっけか?」
ラジィは通りにある本屋に立ち寄った。
ジャンルも作者もバラバラ、手当たり次第持ちきれないほど購入したから本屋の店主にジロッと怪しまれてしまった。
「ははっ…これぐらいあればあいつも喜ぶだろう…」なんて呟きながら本屋から出て、本をマジックバッグの中に仕舞いこんだ。
と、その時、バタバタバタと数人が走って来てラジィにぶつかった。
ラジィはバランスを崩し、尻もちをついてしまった。
「いてっ」
「あっ、坊主、悪ぃ」
ぶつかってきた人物が速度を走りながら振り返って軽く謝ってきた。その両脇には子供が抱え込まれていた。
ん…?見たことが……
ラジィが手をヒラヒラさせ大丈夫と仕草をしている間にその人物は走り去っていった。
その後から神官と兵士の集団が彼らを追いかけて来た。
「クソッどこ行った。すばしっこい奴め」
「おい、お前、奴らはどっちに行った?」
神官の1人が座っている僕に話しかけてきた。
「僕?ぶつかられて転けたから見てないよ」
「チッ」
役立たずと言わんばかりの顔をして、隣の神官とひそひそと話し、あっちに行くぞと兵士達に指示をして走り去っていった。
「何だあれ?」
「あぁ、あれはレジスタントだな。神殿に反抗的な奴らだよ」
後ろから声がしてビクッとした。
本屋の主人が僕の呟きに反応してくれた。
「何に対しての抵抗?」
「神殿じゃよ」
「神殿が最近孤児を集めているのをな良く思ってない奴らがあぁして隠しまわってる」
「孤児?孤児集めて神殿は何するんだ?」
本屋の主人は首を振り、
「それはわからんが、まぁ良いことではなかろう」
「神殿なのに?」
本屋の主人は横目でチラッと僕を見て
「神殿だからじゃよ。さぁ、本は買っただろ?行った行った。何時までもそこに座られていると商売上がったりじゃ」
僕を追い払って店の中に入っていってしまった。
さっきの話を反芻しながら何処へともなく歩き出し
1つの考えに辿り着いた。
「神殿…孤児………。まさか…また…?」
僕はさっきのレジスタントが走り去った方向を向き、早歩きで歩いた。
それと、同時に思い出した。
さっき見たあの顔、あの声。
聞いたことある気がするわけだ。キースだ。
昔、あの神殿生活で唯一話しかけてきた神官だ。
あの時、突然の別れになってしまったっきり
「生きて…たんだな…」
僕は昔の感を頼りに路地裏を進んで行った。
なかなかキースも子供も見つからなかったが、路地裏も深く入った所の一軒の家の前でようやく見つけ、とっさに物陰に隠れた。
「連れてきた。開けてくれ」
子供を抱えたキースがドアに向かいひそひそと話しかけた。
ドアが薄く開き、彼らを滑り込ませ、ドアを閉めたあとは覗き窓から辺りを窺っていた。
なんとかしてキースと連絡を取りたいと思ったが…
「今は無理そうだな…。
一度帰ってテルマとテオに相談してみるか…」
そう思い、踵を返し家に帰ろうとした。
その時、さっきの神官と兵士の集団が現れた。
「ここです!」
キース達は見付かっていたようだった。
隠れ家がバレてしまったのだ。
兵士たちがさっきの一軒家を取り囲み、有無も言わさずドアをドンドンと蹴破り、中に押し入った。
どうする…!?今からじゃ…
ラジィは息を潜め、テルマから借りていたマントを羽織り、姿を消した。
「ネヴィデブラ」
兵士たちの間を掻い潜り、蹴破られたドアから一軒家の中に入っていった。
中では押し入った兵士たちが、どこだ!どこ行った?と一階を荒らしている。
家具も机も、食器やら小物やらもバタバタ倒している。
と、二階からドンっと音がし、兵士たちが一斉に上を見上げた。
「上か!?」
神官と兵士たちは一斉に階段を登って行った。
部屋の入り口付近で様子を窺っていたラジィは呆れたように呟いた。
「いや、どー考えても囮だろう。この場合、下だな…」
神官や兵士たちの単純さに呆れながら、ラジィは下への階段を探した。
階段はありきたりだけど、とても巧妙に戸棚で隠されていた。
ラジィは周りに誰の目もないことを確認して戸棚を動かし、階段の中に入っていった。
戸棚は裏側に細工がしてあり、入った瞬間に音もなくまた階段を塞いだ。
「もう十分買ったな。まだまだ入りそうだな~
何処まで入るんだろう?」
…と、いうか、全然だな。
テルマはいったいどれだけの容量にしたんだよ…。
「あっ、そうだ、テオが本を読みたいって言ってたな。なんて本だっけか?」
ラジィは通りにある本屋に立ち寄った。
ジャンルも作者もバラバラ、手当たり次第持ちきれないほど購入したから本屋の店主にジロッと怪しまれてしまった。
「ははっ…これぐらいあればあいつも喜ぶだろう…」なんて呟きながら本屋から出て、本をマジックバッグの中に仕舞いこんだ。
と、その時、バタバタバタと数人が走って来てラジィにぶつかった。
ラジィはバランスを崩し、尻もちをついてしまった。
「いてっ」
「あっ、坊主、悪ぃ」
ぶつかってきた人物が速度を走りながら振り返って軽く謝ってきた。その両脇には子供が抱え込まれていた。
ん…?見たことが……
ラジィが手をヒラヒラさせ大丈夫と仕草をしている間にその人物は走り去っていった。
その後から神官と兵士の集団が彼らを追いかけて来た。
「クソッどこ行った。すばしっこい奴め」
「おい、お前、奴らはどっちに行った?」
神官の1人が座っている僕に話しかけてきた。
「僕?ぶつかられて転けたから見てないよ」
「チッ」
役立たずと言わんばかりの顔をして、隣の神官とひそひそと話し、あっちに行くぞと兵士達に指示をして走り去っていった。
「何だあれ?」
「あぁ、あれはレジスタントだな。神殿に反抗的な奴らだよ」
後ろから声がしてビクッとした。
本屋の主人が僕の呟きに反応してくれた。
「何に対しての抵抗?」
「神殿じゃよ」
「神殿が最近孤児を集めているのをな良く思ってない奴らがあぁして隠しまわってる」
「孤児?孤児集めて神殿は何するんだ?」
本屋の主人は首を振り、
「それはわからんが、まぁ良いことではなかろう」
「神殿なのに?」
本屋の主人は横目でチラッと僕を見て
「神殿だからじゃよ。さぁ、本は買っただろ?行った行った。何時までもそこに座られていると商売上がったりじゃ」
僕を追い払って店の中に入っていってしまった。
さっきの話を反芻しながら何処へともなく歩き出し
1つの考えに辿り着いた。
「神殿…孤児………。まさか…また…?」
僕はさっきのレジスタントが走り去った方向を向き、早歩きで歩いた。
それと、同時に思い出した。
さっき見たあの顔、あの声。
聞いたことある気がするわけだ。キースだ。
昔、あの神殿生活で唯一話しかけてきた神官だ。
あの時、突然の別れになってしまったっきり
「生きて…たんだな…」
僕は昔の感を頼りに路地裏を進んで行った。
なかなかキースも子供も見つからなかったが、路地裏も深く入った所の一軒の家の前でようやく見つけ、とっさに物陰に隠れた。
「連れてきた。開けてくれ」
子供を抱えたキースがドアに向かいひそひそと話しかけた。
ドアが薄く開き、彼らを滑り込ませ、ドアを閉めたあとは覗き窓から辺りを窺っていた。
なんとかしてキースと連絡を取りたいと思ったが…
「今は無理そうだな…。
一度帰ってテルマとテオに相談してみるか…」
そう思い、踵を返し家に帰ろうとした。
その時、さっきの神官と兵士の集団が現れた。
「ここです!」
キース達は見付かっていたようだった。
隠れ家がバレてしまったのだ。
兵士たちがさっきの一軒家を取り囲み、有無も言わさずドアをドンドンと蹴破り、中に押し入った。
どうする…!?今からじゃ…
ラジィは息を潜め、テルマから借りていたマントを羽織り、姿を消した。
「ネヴィデブラ」
兵士たちの間を掻い潜り、蹴破られたドアから一軒家の中に入っていった。
中では押し入った兵士たちが、どこだ!どこ行った?と一階を荒らしている。
家具も机も、食器やら小物やらもバタバタ倒している。
と、二階からドンっと音がし、兵士たちが一斉に上を見上げた。
「上か!?」
神官と兵士たちは一斉に階段を登って行った。
部屋の入り口付近で様子を窺っていたラジィは呆れたように呟いた。
「いや、どー考えても囮だろう。この場合、下だな…」
神官や兵士たちの単純さに呆れながら、ラジィは下への階段を探した。
階段はありきたりだけど、とても巧妙に戸棚で隠されていた。
ラジィは周りに誰の目もないことを確認して戸棚を動かし、階段の中に入っていった。
戸棚は裏側に細工がしてあり、入った瞬間に音もなくまた階段を塞いだ。
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