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空から眺め、テオーリオとラジィトにもここに住めるという実感が湧いてきたようだった。
「テルマ、テルマ、何か大きい家がありましたけど…」
"おや?口調、戻ってるよ?もっと楽にしていいって。
ふふっ"
「あっ…」
テオーリオは指摘されさっきまで無意識に砕けた口調で話していた事に気が付いた。ちょっとモジモジしながら再度同じ質問をした。
「テルマ、あの家は何?」
"ん、あれ?私たちが住む家だよ"
「僕たちの家…?」
"そうそう、おいで"
テルマはテオーリオとラジィトをログハウス風豪邸の中に連れて行った。
立派なフェンスで囲まれており、アイアンゲートを抜けると真っ直ぐに舗装された道が豪邸まで伸びていた。
左右に雰囲気の違う庭があり、豪邸の裏には温室や鍛錬場にもなる遊び場などがあった。
庭も豪華だったが、豪邸も十分過ぎるほど豪華だった。
なんでそんなに豪華にしたかというと、庭とかは昔読んだ漫画を参考に、屋敷は雑誌で見て一度行ってみたいなぁと思ってたのを思い出したから
まぁ本物のログハウスではないけど、それっぽい雰囲気だけ楽しめればいいかなと。
玄関ホールをはじめ、リビング、ダイニング、
それぞれの部屋となる個室、客間、応接室、大浴場、トイレに洗面室、キッチン、テラス…
テオーリオとラジィトに気合を入れすぎた部屋の数々を案内した。
テオーリオもラジィトも見たことがない豪華さに終始口をあんぐりと開け、言葉にならない様子だった。
2人をリビングのソファに座らせ、お茶を出し、2人の理解が追い付いてくるのを待った。
「「…………はっ!」」
"おかえり"
「テルマ?ここは?」
"リビング。みんなで寛ぐ場所だよ。お茶でも飲んで一息入れて"
ラジィトはお茶を一気に飲み干すと興奮した様子で話し始めた。
「すごい!すごいよ、テルマ!ホントにここが僕たちの家になるのか?」
"うん、気に入ってもらえたなら嬉しいよ。テオーリオは?"
「僕も気に入りました…。テルマ、ありがとう」
"気に入ってもらえたならなによりだ。なんせ私の一存で作り出しちゃったからね。希望があれば直すからなんでも言ってね"
テルマはお茶のおかわりを入れた。
"さてと、もうちょいこの世界について教えてくれないかな?"
「いいよ?何のこと?」
指を鳴らし、紙とペンを机の上に出した。
「テオーリオ、文字書ける?なんでもいいから文字を書いてみて」
「?はい」
テオーリオは首を傾げながら何かを書き出した。
それは全く読めないあちらの世界では見たことがない文字体系だった。
なるほどね。
異世界ファンタジーの例に漏れず私に翻訳機能が備わっているのがわかった。
"ライも書ける?"
「僕は書けないし読めない」
"ふむ…ん?テオーリオが書けるのは大神官に乗っ取られたから?"
「うん。あの時知識がブワッと頭に入ってきて頭が割れるかと思ったよ」
成る程ね。
うーん…どうするかなぁ~
"テオーリオ、その言語はこの世界のどの国でも使ってる?"
「うん」
OK、じゃぁその言語を採用しよう
机の上にノートとペンをたくさん出した。
"テオーリオ、ラジィトと私に文字を教えてくれる?"
「はい!」
"そうだ!テオーリオ、ラジィト、これからはテオとラジーって呼んでいい?長いから"
「いいけど、長いの?テルマが付けてくれたのに?」
「いいよー」
"そーなんだけど。あだな?愛称?ってやつよ。親しくなった証だよ"
その日からお互いに色々教え合う日々が始まった。
テオによる読み書き勉強会では文字に規則性があったこととテオの教え方が上手だったことでテルマもラジィも数ヶ月でスラスラと読み書きが出来るようになった。
テルマはテオとラジィに魔法と気の使い方を指南した。
テオは魔力がないから気の繰り方を教えた。
素質が高かったから教えてすぐに低級の精霊を、数週間で高位精霊と親睦を深めることが出来た。テオのバランス感覚か、精霊との交渉はとても上手だった。
テオは複数の属性の精霊から気に入られて誰が力を貸すか毎日取り合いになっていた。
その中でも特に風の精霊との相性が高く、気がつけばいつも隣に風の精霊がくっついていた。
その一方でラジィは魔力過多なのに魔力を放出するだけで正しい使い方をしらなかった。
まずは魔力操作を根気よく覚えさせた。
魔力の出口を定め、細く紐のように出したり、薄く広く膜の様に出したり、ピストルの様に飛ばしてみたり、色々なパターンで練習した。
次に属性の適性を測定した。
ラジィも複数の属性に適性があった。
一番使いやすい属性に魔力の出力チャンネルを合わせるように誘導してあげるとあっさりコツを掴んだようで、単属性魔法はすぐに使えるようになった。
三ヶ月もしたら複数属性魔法も上手に使えるようになっていた。
「テルマ、テルマ、何か大きい家がありましたけど…」
"おや?口調、戻ってるよ?もっと楽にしていいって。
ふふっ"
「あっ…」
テオーリオは指摘されさっきまで無意識に砕けた口調で話していた事に気が付いた。ちょっとモジモジしながら再度同じ質問をした。
「テルマ、あの家は何?」
"ん、あれ?私たちが住む家だよ"
「僕たちの家…?」
"そうそう、おいで"
テルマはテオーリオとラジィトをログハウス風豪邸の中に連れて行った。
立派なフェンスで囲まれており、アイアンゲートを抜けると真っ直ぐに舗装された道が豪邸まで伸びていた。
左右に雰囲気の違う庭があり、豪邸の裏には温室や鍛錬場にもなる遊び場などがあった。
庭も豪華だったが、豪邸も十分過ぎるほど豪華だった。
なんでそんなに豪華にしたかというと、庭とかは昔読んだ漫画を参考に、屋敷は雑誌で見て一度行ってみたいなぁと思ってたのを思い出したから
まぁ本物のログハウスではないけど、それっぽい雰囲気だけ楽しめればいいかなと。
玄関ホールをはじめ、リビング、ダイニング、
それぞれの部屋となる個室、客間、応接室、大浴場、トイレに洗面室、キッチン、テラス…
テオーリオとラジィトに気合を入れすぎた部屋の数々を案内した。
テオーリオもラジィトも見たことがない豪華さに終始口をあんぐりと開け、言葉にならない様子だった。
2人をリビングのソファに座らせ、お茶を出し、2人の理解が追い付いてくるのを待った。
「「…………はっ!」」
"おかえり"
「テルマ?ここは?」
"リビング。みんなで寛ぐ場所だよ。お茶でも飲んで一息入れて"
ラジィトはお茶を一気に飲み干すと興奮した様子で話し始めた。
「すごい!すごいよ、テルマ!ホントにここが僕たちの家になるのか?」
"うん、気に入ってもらえたなら嬉しいよ。テオーリオは?"
「僕も気に入りました…。テルマ、ありがとう」
"気に入ってもらえたならなによりだ。なんせ私の一存で作り出しちゃったからね。希望があれば直すからなんでも言ってね"
テルマはお茶のおかわりを入れた。
"さてと、もうちょいこの世界について教えてくれないかな?"
「いいよ?何のこと?」
指を鳴らし、紙とペンを机の上に出した。
「テオーリオ、文字書ける?なんでもいいから文字を書いてみて」
「?はい」
テオーリオは首を傾げながら何かを書き出した。
それは全く読めないあちらの世界では見たことがない文字体系だった。
なるほどね。
異世界ファンタジーの例に漏れず私に翻訳機能が備わっているのがわかった。
"ライも書ける?"
「僕は書けないし読めない」
"ふむ…ん?テオーリオが書けるのは大神官に乗っ取られたから?"
「うん。あの時知識がブワッと頭に入ってきて頭が割れるかと思ったよ」
成る程ね。
うーん…どうするかなぁ~
"テオーリオ、その言語はこの世界のどの国でも使ってる?"
「うん」
OK、じゃぁその言語を採用しよう
机の上にノートとペンをたくさん出した。
"テオーリオ、ラジィトと私に文字を教えてくれる?"
「はい!」
"そうだ!テオーリオ、ラジィト、これからはテオとラジーって呼んでいい?長いから"
「いいけど、長いの?テルマが付けてくれたのに?」
「いいよー」
"そーなんだけど。あだな?愛称?ってやつよ。親しくなった証だよ"
その日からお互いに色々教え合う日々が始まった。
テオによる読み書き勉強会では文字に規則性があったこととテオの教え方が上手だったことでテルマもラジィも数ヶ月でスラスラと読み書きが出来るようになった。
テルマはテオとラジィに魔法と気の使い方を指南した。
テオは魔力がないから気の繰り方を教えた。
素質が高かったから教えてすぐに低級の精霊を、数週間で高位精霊と親睦を深めることが出来た。テオのバランス感覚か、精霊との交渉はとても上手だった。
テオは複数の属性の精霊から気に入られて誰が力を貸すか毎日取り合いになっていた。
その中でも特に風の精霊との相性が高く、気がつけばいつも隣に風の精霊がくっついていた。
その一方でラジィは魔力過多なのに魔力を放出するだけで正しい使い方をしらなかった。
まずは魔力操作を根気よく覚えさせた。
魔力の出口を定め、細く紐のように出したり、薄く広く膜の様に出したり、ピストルの様に飛ばしてみたり、色々なパターンで練習した。
次に属性の適性を測定した。
ラジィも複数の属性に適性があった。
一番使いやすい属性に魔力の出力チャンネルを合わせるように誘導してあげるとあっさりコツを掴んだようで、単属性魔法はすぐに使えるようになった。
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