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残念ながら2人はまだやりたいことが思いつかないらしい。
テオーリオとラジィトは環境の変化にまだついていけていないらしい。
それもそうだろう。私もそうだ。
なので、当面、私を含め3人とものんびりと過ごすことにした。
「のんびり?」
テオーリオとラジィトはキョトンと首を傾げた。
彼らは必死に生きていた所、拉致され、こき使われ、追放され…のんびりなどしたことなどないらしい。
そうだなぁ…
たくさん寝た
お風呂も入った
ご飯食べた
となると、ゴロンとゴロゴロだな。
「ごろん?」
"そっ。ゴロゴロするの。この世界にはテレビもゲームも漫画もスマホもないじゃない?あるのは私がうっかりやっちまった芝生だけ。もうゴロゴロするしかないよ"
「そうなの…?」
"そうなの、そうなの。ほらっ"
ハンモック
ロッキングチェア
人をダメにするクッション
思いつくゴロゴロアイテムをとりあえず全部だした。
木にタープを取り付け木陰もバッチリ
2人は見たことがない物が次々出てきて目をパチパチさせていた。
"気になった物に座っていいよ、ほら、こんな風に"
そう言ってテルマはロッキングチェアに座ってゆらゆらした。
テオーリオはダメにするクッションに恐る恐る座り、初めての触感に感動した。
「うわぁ~すごく柔らかい!」
ラジィトはハンモックに乗ろうとして転げ落ちてしまっていた。
「テルマ、コレ乗れない!落ちたー」
テルマは仕方ないなぁとハンモックを広げて、ラジィトを乗せた。
「凄っ!揺れる!うわぁ」
テルマはロッキングチェアに戻り、のんびりと過ごそうと思った。
そのうちテオーリオとラジィトはスヤスヤと寝息を立て始めた。
"まだ疲労が残っているんだろうね"
テルマは小一時間ほどぼーっとしていたが、そのうち手持ち無沙汰になってきた。
"…ヒマだわ、暇すぎるわ"
思い返せば働き詰めの人生。
『おまえは回遊魚みたいだな』
死んだじーさんによく言われてたわ…
じーさんは気が付くとロッキングチェアでゆらゆら寛いでいたわね。懐かしい…
きっとあの人はあの世でもゴロゴロしてるんだろう。
むむむ…スマホも小説も漫画もテレビもビデオもな~んにもないのはヒマだわ。
ゴロゴロしたとてこの身体は眠らない…
はぁ~暇すぎる
2人が寝ている間に昨日作ったプレハブとかちょこっと改良しとこうかな…
急いでたからクオリティが低いんだよね
えっと、コレはこうして…
あぁ、あれもあったほうがいいね…
…
あっ、ここで怪我するかも、こうしよう…
ん~なんかこの辺りがさみしいなぁ…
…
もう、2人のためと言いつつ色々やった。
暇だったんだもの
最終的に
プレハブ小屋は海外ドラマで見たログハウス風豪邸になってしまった。
温泉街の外湯だったお風呂場はよく行った岩盤浴が自慢のスーパー銭湯風に。
邸宅までの道路を作りコーティング。
邸宅周りを整えると、今度はうっかりくしゃみで暴走変化させてしまった土地を調えることにした。
自然豊かになったのはいいけど、まだバランスが悪いんだよね。
魔素と気のバランスが不安定だとまた荒れ果てた土地に戻ってしまう可能性がある。
ここを拠点とするなら安定させといたほうが絶対いい。
ということで、魔素と気のバランス、属性のバランスを調えるためにポイントポイントで色々と施した。
これはゲーム感覚で出来た。
息子たちが小さい時良くやっていたクラフト系ゲームや動物が沢山いる森とか、そんなのを思い出しながら
やりたい放題改変し尽くしたところで
クッションでモゾモゾ動く気配を感じた。
「ん…ふわぁ~」
テオーリオが起きてきた。
「僕寝ちゃってた…」
"おはよう。よく寝てたね。体の調子はどぉ?"
「大丈夫」
"そう、よかった"
テオーリオは目を擦りながら辺りを見回し、
「ラジィトは?」
"ハンモック。まだ寝てるんじゃないかな?"
「見てくる」
テオーリオはラジィトのいるハンモックの方に歩き出した。
「ラジィト~起きよ~」
「まだ寝るぅ………」
「ラジィト、ラジィト、起きて」
「んぁ?テオーリオ…?えっ?うわぁぁぁぁぁ」
ドスンと寝ぼけていたラジィトはハンモックから落ちた。
「あたた…あれ?いつの間に寝てたんだ?」
テルマはテオーリオとラジィトの元に行き、
"休めたかい?2人共よく寝ていたよ"
「テルマは?」
テオーリオはラジィトに手を伸ばし引き上げ、テルマの方を向いた。
"私は眠りを必要としないみたいだから色々遊んでいたよ。見てみるかい?"
そう言って2人を抱きかかえ、1、2、さーん、で空高く飛び上がった。
そんなに高くはないが、辺り一面を見渡せる高度まで上がった。
"見える?"
「「…………!!」」
テオーリオとラジィトは声にならない声を上げ、目を見開いた。
朝起きた時も思ったが、
一夜にして景色が一変していた。
眼下に広がる緑の大地。
昨日は確かに赤茶の荒野が広がっていた筈なのに…。
"これで住める場所になったかな?"
「すごい…」
「…!!!」
"さぁ、ここから、始めよう。我が愛し子たちよ
………
…なんちゃって。ははっ照れるね"
食い入るように緑の大地を見ている2人は届いていないかな?
「テルマ、ありがとう、ありがとう」
「これからよろしくなっ!へへっ」
一旦地面に降り、テオーリオとラジィトの希望で何時でもこの景色を見られる展望台を作った。
テオーリオとラジィトは環境の変化にまだついていけていないらしい。
それもそうだろう。私もそうだ。
なので、当面、私を含め3人とものんびりと過ごすことにした。
「のんびり?」
テオーリオとラジィトはキョトンと首を傾げた。
彼らは必死に生きていた所、拉致され、こき使われ、追放され…のんびりなどしたことなどないらしい。
そうだなぁ…
たくさん寝た
お風呂も入った
ご飯食べた
となると、ゴロンとゴロゴロだな。
「ごろん?」
"そっ。ゴロゴロするの。この世界にはテレビもゲームも漫画もスマホもないじゃない?あるのは私がうっかりやっちまった芝生だけ。もうゴロゴロするしかないよ"
「そうなの…?」
"そうなの、そうなの。ほらっ"
ハンモック
ロッキングチェア
人をダメにするクッション
思いつくゴロゴロアイテムをとりあえず全部だした。
木にタープを取り付け木陰もバッチリ
2人は見たことがない物が次々出てきて目をパチパチさせていた。
"気になった物に座っていいよ、ほら、こんな風に"
そう言ってテルマはロッキングチェアに座ってゆらゆらした。
テオーリオはダメにするクッションに恐る恐る座り、初めての触感に感動した。
「うわぁ~すごく柔らかい!」
ラジィトはハンモックに乗ろうとして転げ落ちてしまっていた。
「テルマ、コレ乗れない!落ちたー」
テルマは仕方ないなぁとハンモックを広げて、ラジィトを乗せた。
「凄っ!揺れる!うわぁ」
テルマはロッキングチェアに戻り、のんびりと過ごそうと思った。
そのうちテオーリオとラジィトはスヤスヤと寝息を立て始めた。
"まだ疲労が残っているんだろうね"
テルマは小一時間ほどぼーっとしていたが、そのうち手持ち無沙汰になってきた。
"…ヒマだわ、暇すぎるわ"
思い返せば働き詰めの人生。
『おまえは回遊魚みたいだな』
死んだじーさんによく言われてたわ…
じーさんは気が付くとロッキングチェアでゆらゆら寛いでいたわね。懐かしい…
きっとあの人はあの世でもゴロゴロしてるんだろう。
むむむ…スマホも小説も漫画もテレビもビデオもな~んにもないのはヒマだわ。
ゴロゴロしたとてこの身体は眠らない…
はぁ~暇すぎる
2人が寝ている間に昨日作ったプレハブとかちょこっと改良しとこうかな…
急いでたからクオリティが低いんだよね
えっと、コレはこうして…
あぁ、あれもあったほうがいいね…
…
あっ、ここで怪我するかも、こうしよう…
ん~なんかこの辺りがさみしいなぁ…
…
もう、2人のためと言いつつ色々やった。
暇だったんだもの
最終的に
プレハブ小屋は海外ドラマで見たログハウス風豪邸になってしまった。
温泉街の外湯だったお風呂場はよく行った岩盤浴が自慢のスーパー銭湯風に。
邸宅までの道路を作りコーティング。
邸宅周りを整えると、今度はうっかりくしゃみで暴走変化させてしまった土地を調えることにした。
自然豊かになったのはいいけど、まだバランスが悪いんだよね。
魔素と気のバランスが不安定だとまた荒れ果てた土地に戻ってしまう可能性がある。
ここを拠点とするなら安定させといたほうが絶対いい。
ということで、魔素と気のバランス、属性のバランスを調えるためにポイントポイントで色々と施した。
これはゲーム感覚で出来た。
息子たちが小さい時良くやっていたクラフト系ゲームや動物が沢山いる森とか、そんなのを思い出しながら
やりたい放題改変し尽くしたところで
クッションでモゾモゾ動く気配を感じた。
「ん…ふわぁ~」
テオーリオが起きてきた。
「僕寝ちゃってた…」
"おはよう。よく寝てたね。体の調子はどぉ?"
「大丈夫」
"そう、よかった"
テオーリオは目を擦りながら辺りを見回し、
「ラジィトは?」
"ハンモック。まだ寝てるんじゃないかな?"
「見てくる」
テオーリオはラジィトのいるハンモックの方に歩き出した。
「ラジィト~起きよ~」
「まだ寝るぅ………」
「ラジィト、ラジィト、起きて」
「んぁ?テオーリオ…?えっ?うわぁぁぁぁぁ」
ドスンと寝ぼけていたラジィトはハンモックから落ちた。
「あたた…あれ?いつの間に寝てたんだ?」
テルマはテオーリオとラジィトの元に行き、
"休めたかい?2人共よく寝ていたよ"
「テルマは?」
テオーリオはラジィトに手を伸ばし引き上げ、テルマの方を向いた。
"私は眠りを必要としないみたいだから色々遊んでいたよ。見てみるかい?"
そう言って2人を抱きかかえ、1、2、さーん、で空高く飛び上がった。
そんなに高くはないが、辺り一面を見渡せる高度まで上がった。
"見える?"
「「…………!!」」
テオーリオとラジィトは声にならない声を上げ、目を見開いた。
朝起きた時も思ったが、
一夜にして景色が一変していた。
眼下に広がる緑の大地。
昨日は確かに赤茶の荒野が広がっていた筈なのに…。
"これで住める場所になったかな?"
「すごい…」
「…!!!」
"さぁ、ここから、始めよう。我が愛し子たちよ
………
…なんちゃって。ははっ照れるね"
食い入るように緑の大地を見ている2人は届いていないかな?
「テルマ、ありがとう、ありがとう」
「これからよろしくなっ!へへっ」
一旦地面に降り、テオーリオとラジィトの希望で何時でもこの景色を見られる展望台を作った。
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