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一章
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一章
朝のさわやかな森を女がひた走る。
歳の頃は十代そこそこ。お下げが似合うかわいらしい田舎娘といった感じ。
笑顔が似合いそうなその顔に今、浮かんでいるのは恐怖の表情だ。
息を切らしながら必死に走る。
「た、助けて、だ、誰か」
走る。
走る。
走る。
今どこを走っているかもすでにわからない。
それでも足を休ませるわけには行かない。
彼女の全身の感覚が告げる。
自分の背後の存在。
それに捕まれば命は無い。
恐怖で振り向くことさえできないがそれは確かに自分に迫りつつある。
「きゃっ」
疲労で足がもつれたのか、それとも石につまずいたのか知らないが彼女は転んだ。
慌てて立ち上がろうとするが、恐怖で体が動かない。
恐る、恐る、それを確認しようと後ろを振り向く。
怪物。
シルエットは人のそれと変わらないが身の丈は人の二倍以上。一つ目の巨人。
怪物の名は、ギガンテス。
森の中で出会ってしまったこの怪物から彼女は逃げていたのだ。
だがそれももう、お終いだった。
ギガンテスの拳が大きく振り上げられる。
彼女は死を覚悟し目を瞑った。
そのまま拳は村娘に振り下ろされる。
はずだった。
「シールド!」
突如、現れた人影がギガンテスの拳を受け止めた。
人影は、十五歳位の女の子。特徴的な長い耳。エルフの特徴だ。
人よりも優れた魔力の持ち主で魔法に長ける。ギガンテスの一撃を防いだのも魔力の壁だ。
「ぐおぉぉぉ」
怒ったギガンテスは執拗に防御壁を何度も叩き続ける。
「ぐぅ」
エルフの少女がつらそうに顔を歪ませる。魔法も長い時間は持ちそうに無い。
「マスター早くしてください!」
少女が必死に顔だけ後ろに捻って叫んだ。
視線の先には冒険者らしき男が何事もないようにゆっくり近づいてくる。
「早く、早くぅ」
そんな少女の悲痛な声にも一切、表情を動かさない。
そのままゆっくり男は村娘に近づいて一言。
「いくら出す?」
「へ?」
村娘はポカンとした顔をする。
「助けたらいくら出すと聞いている」
先ほどより若干強く男が言った。
「え、あのう、こういう場合ただで助けてくれるものなんじゃ……」
いきなりの事に村娘が困惑する。
「ただでだと! ちっ」
そこで青年の表情が始めて変わった。
あからさまな嫌な顔に。
「帰るぞ。アリス」
エルフの少女―アリスに声をかけると踵を返し、もと来た道を戻ろうとする。
「あ、ちょ、マスター!」
アリスの声を無視してすたすたと歩いていく。
「そ、そこの娘さん、お金払ってあげて! その人本気で帰っちゃうから!」
魔法の壁を維持しながら叫ぶ。
「え? あの、え?」
怪物の攻撃を防いでいる少女―アリスとそれを置いて帰ろうとしている青年の姿を交互に見る。
よくわからないが本気であの青年は帰る気だ。
「は、払いますからぁ。助けてくださいよ」
彼女が叫ぶと青年はぴたりと歩みを止めた。
「いくらだ?」
村娘に聞き返す。
「え、じゃあこれくらいで」
提示された金額は、旅人が一か月程度暮らすには十分な額だった。
「話にならんな」
また、すたすたと歩き出す。
「もっと出しますから、二倍、いや三倍!」
「仕方ない、それで手を打つか」
やる気のなさそうに青年が戻って来た。
「もういいぞ、どいてろ」
青年はアリスの襟首を右手で掴むと軽々と後方に投げ飛ばした。
怪物と対峙する青年。
「おい! 貴様! 痛い目を見たくなければさっさと消えろ」
当然、怪物に通じるわけもなかったが、何か馬鹿にされている雰囲気は伝わったようだ。
「がああぁあ!」
ギガンテスが怒り狂って男に突進してきた。
「ふん、まあ、いいか」
青年は躊躇なくギガンテスとの間合いを詰める。
そしてそのままギガンテスの腹に前蹴りをめり込ませた。
「ぐ、っは」
ギガンテスは苦悶の声を出すと、白目をむいて地面に倒れ動かなくなった。
あまりにも簡単な決着だった。
「ミッションコンプリート!」
満足そうな表情で青年がアリスに振り返った。
「最初っから、ちゃんとやれやー」
アリスの叫びが森に響いた。
「で、これからどうします?」
今いる場所は宿屋の一室。質素なベッドと簡単なテーブルだけの安宿。
中にいるのはアリスと彼女にマスターと呼ばれた青年―ピース。
「ひとまず近くの一番大きな町に向かう」
アリスの問いに無表情で答えるピース。
「こんなしけた村ではろくなビジネスチャンスがありとは思えん」
きっぱりと言い切った。
「しけてて、すみませんねえ」
ちょうどお茶を運んできたポアラがこめかみをひきつらせてながら入ってきた。
「そ、そんなことないですよ、ね、マスター」
アリスが必死にフォローする。
「事実だから仕方あるまい」
「すいません。すいません」
ふてぶてしい態度のピースと平謝りするアリス。
「一応この村にもいいところはあるんですよ。空気は綺麗だし、自然は豊かだし」
「人はそれをど田舎という」
ぼそりとピースが呟く。
「わーわーわー」
アリスが慌ててピースの口を押さえる。
「近くの丘には今は使われていませんが、領主様の城もあるんです」
「へー」
「でも、最近その城に山賊が住み着いてしまって」
急に口調が暗くなった。
「それでできたらお二人にその退治を……」
「却下だ」
最後まで聞こうともせずにピースが断る。
「依頼料はちゃんと出しますから」
「どうせ大した額は出せまい」
とりつく島も与えない。
「マスター、情けって言葉知っていますか?」
「うむ、噂では聞いたことがある」
アリスは駄目だというように首を左右に振った。
「で、でも、城には山賊がため込んだ財宝があるかも」
なおも食い下がるポアラ。
「ふむ」
ピースは少し考え込み、顔を上げる
「わかった。その依頼受けよう」
「ありがとうございます!」
ポアラの顔がぱっと明るくなる。
「だが、その前に村長の家に案内しろ」
「わかりました。でも、どうして?」
「依頼を村から受ければ多少ましな金額がでる!」
ぐっと拳に力を入れた。
「「鬼だ。この人は」」
「でも、よくマスター依頼を引き受けましたね」
村からの依頼を受け、城に向かう途中。
「ん? なにがだ?」
「山賊のお宝なんて当てにならないじゃないですか。いつもだったら『そんな不確かな事に付き合ってられるか!』って感じじゃないですか」
「貴様は俺をどんな奴と思ってるんだか」
「えーと、守銭……ぐふっ、ど」
ピースに軽く鳩尾を殴られた。
「ふん、まあいい。どうせその城には行くつもりだったというだけだ」
「ごほっごほ、それってどういうことですか?」
「ひと月程前のことだ。この近くで領主に届けられるはずだった荷馬車が山賊に襲われた。中身はかなり高価なお宝らしい。位置的にみて、今から行く城の山賊の可能性が高い」
「ということはあの村からの依頼って……」
「まあ、行きがけの駄賃といったところだ」
「そ、そうですか」
がっくし、アリスは首を落とした。
「よし、着いたぞ」
城は使われていないという割には外観がきれいに保たれていた。山賊が住み着くまでは定期的に整備されていたのであろう。
「ぐおおおおお」
城内に入った瞬間、数匹のワーウルフが二人に飛びかかってきた。
力、速さ共に並みの戦士では歯が立たないほどの強敵のモンスター。
さっ、とアリスがピースの背中に隠れる。
「さ、やっちゃってください。マスター」
「……、まあいいか」
ピースは一番最初に飛び掛ってきた一匹の攻撃を紙一重でかわし、胴体に蹴りをめり込ませる。残りも同じように順次、素手と蹴りのみで撃破。
「身も蓋もないですね」
積み上げられたモンスターをみてアリスが言葉を漏らす。
「どうした?」
「どうしていつも武器を全く使わないんですか? 剣だってちゃんと持ってるのに」
「傷ついたら値打ちが下がるから」
即答。
冒険者とは思えない言葉。
「いつも、いつもキックやパンチで片づけちゃって。たまにはもっとこう剣で恰好よく決めるとかあるでしょう。腰の剣は飾りですか」
「恰好で腹が膨れるかぁ!」
アリスはピースに拳骨を落とされた。
「痛ったぁ~」
頭を押さえてしゃがみこむ。
「いくぞ」
「へい、へい」
ピースの後ろを傷む頭をさすりながら付いていく。
石造りの廊下をもくもくと進んでいくピース。その後ろをきょろきょろと辺りを警戒しながら進むアリス。
しばらく歩くと開けた場所に繋がった。
パーティなどで使われていたであろう広間。現在はただただ広いだけ。
そのほぼ中央に二つの人影。
「て、敵ですか」
アリスが身構える。
「敵ではありませんよ」
言葉を発したのは鎧を身に着けた戦士風の男。その後ろに従う魔道士風の女。
「僕たちはここの城のモンスター退治に来たんだ。僕がルーク、彼女は、ミーナ」
「私はアリスでこっちがピースです。あれ? でもこの城は山賊の根城のはずじゃあ」
「どうやらモンスターにやられてしまったようだ。奥にいくつか骸があった」
「私たちは山賊退治に来たんですけど。どうします? マスター?」
「山賊の生死などどうでもいい。目的は変わらん。このまま領主の宝を探す」
ルークが『領主の宝』という言葉に反応した。
「領主の宝? 宝って言うのは……げふぁっ」
ルークの腹に突然ピースがパンチを繰り出した。
「キャーっ。ルーク!」
腹を押さえて蹲るルークにミーナが駆け寄る。
「なにやってるんですか! マスター!」
「宝は渡さん!」
「誰もそんなこと言ってないじゃないですか。もう、大丈夫ですか? ルークさん」
ミーナに支えられてよろよろとルークが立ち上がる。
「ごほ、ごほっ。だ、大丈夫。そ、それに領主が運んでいたのは財宝なんかじゃありませんよ」
せき込みながらルークが言った。
「運んでいたのは壺です」
「「壺?」」
「そうです。でもただの壺ではないんです。その壺の中には強力な魔人が封印されているそうです」
「なんてことだ」
がっくりと膝を落とすピース。
「いや待て、邪神教あたりにでも売れば高値で売れるかも」
きらりと目を光らす。
「ちょっと、マスターなに考えてるんですか!」
「そうです。もしも壺の中の魔人が外に出たらどうなることか」
「その魔人とは我のことか」
どこからか低い声が響く。
「ま、まさかすでに魔人が復活したというのか」
ルークが顔を青くする。
「いかにも我は壺に封じられし魔人。我を倒したくば奥の玉座の間にくるがいい。どうせ死ぬだけだがな、ガハハハッ」
「くそ、こうなったらあいつを倒すしかない」
「そうね」
ルークとミーナが覚悟を決める。
「大変なことになりましたね。マスター、こうなったら私たちも……」
「帰るぞ、アリス」
『へ?』
あっけに取られる三人。
「だから、帰ると言っているのだ」
『なんで?』
「決まっている。魔人とやらを倒しても銅貨一枚にもならん。かといって、壷に再度封印する方法もわからん」
「で、でも、領主から報奨金がでるかも……」
「では、きっちり依頼を受けてからまた来るとしよう」
「それなら、私が払おう」
「むっ」
「それで問題ないでしょう。今は少しでも戦力があったほうがいい」
「では、この書類にサインを」
「マスター!」
「わかりましたから、本当にお願いしますよ」
ルークがサインを済ませ、満足そうにピースはそれを受け取ってうなずく。
「くっくっ、よくぞ、辿り着いた。わが名はバラム」
バラムと名乗った魔人は、玉座に腰かけていた。
「いくぞ、みんな」
ルークが力強く仲間に声をかける。
「「おー」」
「……」
ピースだけは無表情であさっての方向をみている。
「うをおおおおぉ」
ルークは剣を抜いて魔人に突っ込んでいく。
「天地斬!!」
上段から、渾身の力で斬りつけた。
その斬撃を魔人はたやすく右手の掌で受け止めた。
「なにぃ!!」
ルークの顔に動揺が走る。
ひとまずルークは魔人と距離をとった。
「なかなか良い攻撃だ。が、我に傷をつけるほどではないがな」
魔人は玉座からゆらりと立ち上がった。
「今度はこちらから……」
「ファイヤ!」
ミーナが魔人に向けて魔法を放つ。
魔人の姿は紅蓮の炎に包まれて見えなくなる。
「や、やったのか」
「わ、わからないわ」
ミーナが答える。
魔力の炎が次第に晴れていく。
「話の途中に攻撃とは失礼な者だな」
魔人は何事もなかったようにゆっくり進んでくる。炎によってダメージを受けた様子はない。それどころか服すら焦げてもいない。
「そ、そんな、馬鹿な!」
「では、いくぞ」
魔人が魔力で黒い炎を創り出す。
「少し熱いぞ」
魔人が黒い炎を放つ。
「シールド!」
アリスが魔法の盾で防ぐ。
「ほう、少し手加減が過ぎたかな」
魔人が愉快そうに笑う。
「つ、強いな」
「ええ」
ルークとミーナの顔が曇る。
「ど、どうします? マスター。ってあれ?」
アリスが振り向くと後ろにいたはずのピースの姿がない。
「あ、いた」
ピースは魔人がさきほど座っていた椅子の場所にいた。
ルーペを取り出してしきりに椅子を調べている。
「な、なにしてるんですか!」
「すごいぞ、純金製だぞ。この椅子」
うれしそうに騒いでいる。
「あの、これもらってもいいですかね?」
「好きにするがいい。ここから生きて帰れたらの話だがね」
「よし」
ピースはその椅子を片手で持ち上げてほくほくした顔でアリスのところに戻ってきた。
「もらっちった」
「うれしそうですね」
あきれたように呟く。
「ただよりうれしいものはない!」
「それより戦ってくださいよ。もう!」
「今やる。これでも、持っていろ」
無造作に椅子をアリスに放り投げる。
「うぎゃっ」
アリスは椅子の下敷きにある。
「お、重い」
「依頼遂行とするか」
「自信満々だな。これを喰らっても言っていられるかな」
黒い炎をピースに放った。
「シールド!」
ピースが力強く叫んだ。
「マスター、いつの間に魔法を……」
驚くアリス。
ピースは手近にあった物体を盾にしただけだった。
「ぐわああっ」
盾にされた物体、ルークは盛大に悲鳴をあげた。
炎を防いだ後は、無関心にルークを放した。
「人でなしか貴様は!」
魔神が思わず突っ込む。
「魔人に言われたくは無いがな」
言いながらもさして気にしている様子は無い。
「さてと」
ピースは床に落ちたルークの剣を拾い上げる。
「魔人と言えど、首と胴体が離れれば死ぬのだろう?」
「我を殺せると思うのか、人間ごときが」
「残念だが事実だ。それに、実際貴様は封印されたんだろ? 壷に」
「ぐっ、それは」
「やはり、図星か」
やれやれと首を左右に振る。
「黙れええええぇえ」
魔人と声に呼応して空気が震える。
「マスターなに煽ってるんですか!」
「本当のことを指摘すると起こるのは人間と一緒だな」
「その口引き裂いてくれるわ!」
激高した魔人がピースに突っ込んできた。
一瞬の交錯。
甲高い音を立てピースの剣が中ほどで折れた。
魔人が振り返り、笑みを浮かべる。
「口ほどにもない。これで、貴様に残る剣は一本だけだ。まあ、それもすぐに折って最後は貴様の首の番だ」
ピースは振り向かない。
「違うな」
折れた剣の投げ捨てた。
「すでに斬っている」
「なにぃ!」
魔人が一歩踏み出す。その瞬間魔人の体がぐらりと傾く。魔人の体が真ん中から二つにずれる。
「そんな馬鹿な」
魔人の体は、黒い塵となって崩れ去っていく。
「こんな外道に負けようとは。だが、これで終わったと思うな。あの方が復活したあかつきには貴様など……」
話の途中でピースが魔人の体をけり崩してしまった。
「なんてことを! 何かフラグのような事を言ってる際ちゅうだったじゃないですか!」
「別に興味ない」
「もしまた、魔人とかが復活することになったらどうするんですか!」
「そしたら、あれだ」
得意げに言った。
「新しいビジネスチャンス!」
「依頼は完了だ。金を払え」
「ルークにこんな事してよく言えるものね!」
ミーナは怒りに震えている。
ピースは無言で右足を上げ、床を踏みつけた。
ずん、と城が揺れるような衝撃。
「もう一度言う。金を払え」
「わ、わかりました」
「よし」
ピースは依頼料を受け取る。
「帰るぞ。アリス」
「納得できないっす!」
朝のさわやかな森を女がひた走る。
歳の頃は十代そこそこ。お下げが似合うかわいらしい田舎娘といった感じ。
笑顔が似合いそうなその顔に今、浮かんでいるのは恐怖の表情だ。
息を切らしながら必死に走る。
「た、助けて、だ、誰か」
走る。
走る。
走る。
今どこを走っているかもすでにわからない。
それでも足を休ませるわけには行かない。
彼女の全身の感覚が告げる。
自分の背後の存在。
それに捕まれば命は無い。
恐怖で振り向くことさえできないがそれは確かに自分に迫りつつある。
「きゃっ」
疲労で足がもつれたのか、それとも石につまずいたのか知らないが彼女は転んだ。
慌てて立ち上がろうとするが、恐怖で体が動かない。
恐る、恐る、それを確認しようと後ろを振り向く。
怪物。
シルエットは人のそれと変わらないが身の丈は人の二倍以上。一つ目の巨人。
怪物の名は、ギガンテス。
森の中で出会ってしまったこの怪物から彼女は逃げていたのだ。
だがそれももう、お終いだった。
ギガンテスの拳が大きく振り上げられる。
彼女は死を覚悟し目を瞑った。
そのまま拳は村娘に振り下ろされる。
はずだった。
「シールド!」
突如、現れた人影がギガンテスの拳を受け止めた。
人影は、十五歳位の女の子。特徴的な長い耳。エルフの特徴だ。
人よりも優れた魔力の持ち主で魔法に長ける。ギガンテスの一撃を防いだのも魔力の壁だ。
「ぐおぉぉぉ」
怒ったギガンテスは執拗に防御壁を何度も叩き続ける。
「ぐぅ」
エルフの少女がつらそうに顔を歪ませる。魔法も長い時間は持ちそうに無い。
「マスター早くしてください!」
少女が必死に顔だけ後ろに捻って叫んだ。
視線の先には冒険者らしき男が何事もないようにゆっくり近づいてくる。
「早く、早くぅ」
そんな少女の悲痛な声にも一切、表情を動かさない。
そのままゆっくり男は村娘に近づいて一言。
「いくら出す?」
「へ?」
村娘はポカンとした顔をする。
「助けたらいくら出すと聞いている」
先ほどより若干強く男が言った。
「え、あのう、こういう場合ただで助けてくれるものなんじゃ……」
いきなりの事に村娘が困惑する。
「ただでだと! ちっ」
そこで青年の表情が始めて変わった。
あからさまな嫌な顔に。
「帰るぞ。アリス」
エルフの少女―アリスに声をかけると踵を返し、もと来た道を戻ろうとする。
「あ、ちょ、マスター!」
アリスの声を無視してすたすたと歩いていく。
「そ、そこの娘さん、お金払ってあげて! その人本気で帰っちゃうから!」
魔法の壁を維持しながら叫ぶ。
「え? あの、え?」
怪物の攻撃を防いでいる少女―アリスとそれを置いて帰ろうとしている青年の姿を交互に見る。
よくわからないが本気であの青年は帰る気だ。
「は、払いますからぁ。助けてくださいよ」
彼女が叫ぶと青年はぴたりと歩みを止めた。
「いくらだ?」
村娘に聞き返す。
「え、じゃあこれくらいで」
提示された金額は、旅人が一か月程度暮らすには十分な額だった。
「話にならんな」
また、すたすたと歩き出す。
「もっと出しますから、二倍、いや三倍!」
「仕方ない、それで手を打つか」
やる気のなさそうに青年が戻って来た。
「もういいぞ、どいてろ」
青年はアリスの襟首を右手で掴むと軽々と後方に投げ飛ばした。
怪物と対峙する青年。
「おい! 貴様! 痛い目を見たくなければさっさと消えろ」
当然、怪物に通じるわけもなかったが、何か馬鹿にされている雰囲気は伝わったようだ。
「がああぁあ!」
ギガンテスが怒り狂って男に突進してきた。
「ふん、まあ、いいか」
青年は躊躇なくギガンテスとの間合いを詰める。
そしてそのままギガンテスの腹に前蹴りをめり込ませた。
「ぐ、っは」
ギガンテスは苦悶の声を出すと、白目をむいて地面に倒れ動かなくなった。
あまりにも簡単な決着だった。
「ミッションコンプリート!」
満足そうな表情で青年がアリスに振り返った。
「最初っから、ちゃんとやれやー」
アリスの叫びが森に響いた。
「で、これからどうします?」
今いる場所は宿屋の一室。質素なベッドと簡単なテーブルだけの安宿。
中にいるのはアリスと彼女にマスターと呼ばれた青年―ピース。
「ひとまず近くの一番大きな町に向かう」
アリスの問いに無表情で答えるピース。
「こんなしけた村ではろくなビジネスチャンスがありとは思えん」
きっぱりと言い切った。
「しけてて、すみませんねえ」
ちょうどお茶を運んできたポアラがこめかみをひきつらせてながら入ってきた。
「そ、そんなことないですよ、ね、マスター」
アリスが必死にフォローする。
「事実だから仕方あるまい」
「すいません。すいません」
ふてぶてしい態度のピースと平謝りするアリス。
「一応この村にもいいところはあるんですよ。空気は綺麗だし、自然は豊かだし」
「人はそれをど田舎という」
ぼそりとピースが呟く。
「わーわーわー」
アリスが慌ててピースの口を押さえる。
「近くの丘には今は使われていませんが、領主様の城もあるんです」
「へー」
「でも、最近その城に山賊が住み着いてしまって」
急に口調が暗くなった。
「それでできたらお二人にその退治を……」
「却下だ」
最後まで聞こうともせずにピースが断る。
「依頼料はちゃんと出しますから」
「どうせ大した額は出せまい」
とりつく島も与えない。
「マスター、情けって言葉知っていますか?」
「うむ、噂では聞いたことがある」
アリスは駄目だというように首を左右に振った。
「で、でも、城には山賊がため込んだ財宝があるかも」
なおも食い下がるポアラ。
「ふむ」
ピースは少し考え込み、顔を上げる
「わかった。その依頼受けよう」
「ありがとうございます!」
ポアラの顔がぱっと明るくなる。
「だが、その前に村長の家に案内しろ」
「わかりました。でも、どうして?」
「依頼を村から受ければ多少ましな金額がでる!」
ぐっと拳に力を入れた。
「「鬼だ。この人は」」
「でも、よくマスター依頼を引き受けましたね」
村からの依頼を受け、城に向かう途中。
「ん? なにがだ?」
「山賊のお宝なんて当てにならないじゃないですか。いつもだったら『そんな不確かな事に付き合ってられるか!』って感じじゃないですか」
「貴様は俺をどんな奴と思ってるんだか」
「えーと、守銭……ぐふっ、ど」
ピースに軽く鳩尾を殴られた。
「ふん、まあいい。どうせその城には行くつもりだったというだけだ」
「ごほっごほ、それってどういうことですか?」
「ひと月程前のことだ。この近くで領主に届けられるはずだった荷馬車が山賊に襲われた。中身はかなり高価なお宝らしい。位置的にみて、今から行く城の山賊の可能性が高い」
「ということはあの村からの依頼って……」
「まあ、行きがけの駄賃といったところだ」
「そ、そうですか」
がっくし、アリスは首を落とした。
「よし、着いたぞ」
城は使われていないという割には外観がきれいに保たれていた。山賊が住み着くまでは定期的に整備されていたのであろう。
「ぐおおおおお」
城内に入った瞬間、数匹のワーウルフが二人に飛びかかってきた。
力、速さ共に並みの戦士では歯が立たないほどの強敵のモンスター。
さっ、とアリスがピースの背中に隠れる。
「さ、やっちゃってください。マスター」
「……、まあいいか」
ピースは一番最初に飛び掛ってきた一匹の攻撃を紙一重でかわし、胴体に蹴りをめり込ませる。残りも同じように順次、素手と蹴りのみで撃破。
「身も蓋もないですね」
積み上げられたモンスターをみてアリスが言葉を漏らす。
「どうした?」
「どうしていつも武器を全く使わないんですか? 剣だってちゃんと持ってるのに」
「傷ついたら値打ちが下がるから」
即答。
冒険者とは思えない言葉。
「いつも、いつもキックやパンチで片づけちゃって。たまにはもっとこう剣で恰好よく決めるとかあるでしょう。腰の剣は飾りですか」
「恰好で腹が膨れるかぁ!」
アリスはピースに拳骨を落とされた。
「痛ったぁ~」
頭を押さえてしゃがみこむ。
「いくぞ」
「へい、へい」
ピースの後ろを傷む頭をさすりながら付いていく。
石造りの廊下をもくもくと進んでいくピース。その後ろをきょろきょろと辺りを警戒しながら進むアリス。
しばらく歩くと開けた場所に繋がった。
パーティなどで使われていたであろう広間。現在はただただ広いだけ。
そのほぼ中央に二つの人影。
「て、敵ですか」
アリスが身構える。
「敵ではありませんよ」
言葉を発したのは鎧を身に着けた戦士風の男。その後ろに従う魔道士風の女。
「僕たちはここの城のモンスター退治に来たんだ。僕がルーク、彼女は、ミーナ」
「私はアリスでこっちがピースです。あれ? でもこの城は山賊の根城のはずじゃあ」
「どうやらモンスターにやられてしまったようだ。奥にいくつか骸があった」
「私たちは山賊退治に来たんですけど。どうします? マスター?」
「山賊の生死などどうでもいい。目的は変わらん。このまま領主の宝を探す」
ルークが『領主の宝』という言葉に反応した。
「領主の宝? 宝って言うのは……げふぁっ」
ルークの腹に突然ピースがパンチを繰り出した。
「キャーっ。ルーク!」
腹を押さえて蹲るルークにミーナが駆け寄る。
「なにやってるんですか! マスター!」
「宝は渡さん!」
「誰もそんなこと言ってないじゃないですか。もう、大丈夫ですか? ルークさん」
ミーナに支えられてよろよろとルークが立ち上がる。
「ごほ、ごほっ。だ、大丈夫。そ、それに領主が運んでいたのは財宝なんかじゃありませんよ」
せき込みながらルークが言った。
「運んでいたのは壺です」
「「壺?」」
「そうです。でもただの壺ではないんです。その壺の中には強力な魔人が封印されているそうです」
「なんてことだ」
がっくりと膝を落とすピース。
「いや待て、邪神教あたりにでも売れば高値で売れるかも」
きらりと目を光らす。
「ちょっと、マスターなに考えてるんですか!」
「そうです。もしも壺の中の魔人が外に出たらどうなることか」
「その魔人とは我のことか」
どこからか低い声が響く。
「ま、まさかすでに魔人が復活したというのか」
ルークが顔を青くする。
「いかにも我は壺に封じられし魔人。我を倒したくば奥の玉座の間にくるがいい。どうせ死ぬだけだがな、ガハハハッ」
「くそ、こうなったらあいつを倒すしかない」
「そうね」
ルークとミーナが覚悟を決める。
「大変なことになりましたね。マスター、こうなったら私たちも……」
「帰るぞ、アリス」
『へ?』
あっけに取られる三人。
「だから、帰ると言っているのだ」
『なんで?』
「決まっている。魔人とやらを倒しても銅貨一枚にもならん。かといって、壷に再度封印する方法もわからん」
「で、でも、領主から報奨金がでるかも……」
「では、きっちり依頼を受けてからまた来るとしよう」
「それなら、私が払おう」
「むっ」
「それで問題ないでしょう。今は少しでも戦力があったほうがいい」
「では、この書類にサインを」
「マスター!」
「わかりましたから、本当にお願いしますよ」
ルークがサインを済ませ、満足そうにピースはそれを受け取ってうなずく。
「くっくっ、よくぞ、辿り着いた。わが名はバラム」
バラムと名乗った魔人は、玉座に腰かけていた。
「いくぞ、みんな」
ルークが力強く仲間に声をかける。
「「おー」」
「……」
ピースだけは無表情であさっての方向をみている。
「うをおおおおぉ」
ルークは剣を抜いて魔人に突っ込んでいく。
「天地斬!!」
上段から、渾身の力で斬りつけた。
その斬撃を魔人はたやすく右手の掌で受け止めた。
「なにぃ!!」
ルークの顔に動揺が走る。
ひとまずルークは魔人と距離をとった。
「なかなか良い攻撃だ。が、我に傷をつけるほどではないがな」
魔人は玉座からゆらりと立ち上がった。
「今度はこちらから……」
「ファイヤ!」
ミーナが魔人に向けて魔法を放つ。
魔人の姿は紅蓮の炎に包まれて見えなくなる。
「や、やったのか」
「わ、わからないわ」
ミーナが答える。
魔力の炎が次第に晴れていく。
「話の途中に攻撃とは失礼な者だな」
魔人は何事もなかったようにゆっくり進んでくる。炎によってダメージを受けた様子はない。それどころか服すら焦げてもいない。
「そ、そんな、馬鹿な!」
「では、いくぞ」
魔人が魔力で黒い炎を創り出す。
「少し熱いぞ」
魔人が黒い炎を放つ。
「シールド!」
アリスが魔法の盾で防ぐ。
「ほう、少し手加減が過ぎたかな」
魔人が愉快そうに笑う。
「つ、強いな」
「ええ」
ルークとミーナの顔が曇る。
「ど、どうします? マスター。ってあれ?」
アリスが振り向くと後ろにいたはずのピースの姿がない。
「あ、いた」
ピースは魔人がさきほど座っていた椅子の場所にいた。
ルーペを取り出してしきりに椅子を調べている。
「な、なにしてるんですか!」
「すごいぞ、純金製だぞ。この椅子」
うれしそうに騒いでいる。
「あの、これもらってもいいですかね?」
「好きにするがいい。ここから生きて帰れたらの話だがね」
「よし」
ピースはその椅子を片手で持ち上げてほくほくした顔でアリスのところに戻ってきた。
「もらっちった」
「うれしそうですね」
あきれたように呟く。
「ただよりうれしいものはない!」
「それより戦ってくださいよ。もう!」
「今やる。これでも、持っていろ」
無造作に椅子をアリスに放り投げる。
「うぎゃっ」
アリスは椅子の下敷きにある。
「お、重い」
「依頼遂行とするか」
「自信満々だな。これを喰らっても言っていられるかな」
黒い炎をピースに放った。
「シールド!」
ピースが力強く叫んだ。
「マスター、いつの間に魔法を……」
驚くアリス。
ピースは手近にあった物体を盾にしただけだった。
「ぐわああっ」
盾にされた物体、ルークは盛大に悲鳴をあげた。
炎を防いだ後は、無関心にルークを放した。
「人でなしか貴様は!」
魔神が思わず突っ込む。
「魔人に言われたくは無いがな」
言いながらもさして気にしている様子は無い。
「さてと」
ピースは床に落ちたルークの剣を拾い上げる。
「魔人と言えど、首と胴体が離れれば死ぬのだろう?」
「我を殺せると思うのか、人間ごときが」
「残念だが事実だ。それに、実際貴様は封印されたんだろ? 壷に」
「ぐっ、それは」
「やはり、図星か」
やれやれと首を左右に振る。
「黙れええええぇえ」
魔人と声に呼応して空気が震える。
「マスターなに煽ってるんですか!」
「本当のことを指摘すると起こるのは人間と一緒だな」
「その口引き裂いてくれるわ!」
激高した魔人がピースに突っ込んできた。
一瞬の交錯。
甲高い音を立てピースの剣が中ほどで折れた。
魔人が振り返り、笑みを浮かべる。
「口ほどにもない。これで、貴様に残る剣は一本だけだ。まあ、それもすぐに折って最後は貴様の首の番だ」
ピースは振り向かない。
「違うな」
折れた剣の投げ捨てた。
「すでに斬っている」
「なにぃ!」
魔人が一歩踏み出す。その瞬間魔人の体がぐらりと傾く。魔人の体が真ん中から二つにずれる。
「そんな馬鹿な」
魔人の体は、黒い塵となって崩れ去っていく。
「こんな外道に負けようとは。だが、これで終わったと思うな。あの方が復活したあかつきには貴様など……」
話の途中でピースが魔人の体をけり崩してしまった。
「なんてことを! 何かフラグのような事を言ってる際ちゅうだったじゃないですか!」
「別に興味ない」
「もしまた、魔人とかが復活することになったらどうするんですか!」
「そしたら、あれだ」
得意げに言った。
「新しいビジネスチャンス!」
「依頼は完了だ。金を払え」
「ルークにこんな事してよく言えるものね!」
ミーナは怒りに震えている。
ピースは無言で右足を上げ、床を踏みつけた。
ずん、と城が揺れるような衝撃。
「もう一度言う。金を払え」
「わ、わかりました」
「よし」
ピースは依頼料を受け取る。
「帰るぞ。アリス」
「納得できないっす!」
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