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【ハニ×カミ のミ 見えない姿】

ーP3ー

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 ベッドで眠る はにわ。
 その横で泣く、はにわ の両親。
 廊下で祈る友達や教師。

 人間が作った医療なんて、ボクには分からない。
 分らないそれを、信じて待った。
 けど、朝を迎える頃には分かってしまった。
 生を司るつかさどる神の子のボクには、わかってしまった。

 このままでは、はにわ は命を失うこ……
 

 祭りでたくさんの活をもらった。
 しかし、明日には失う力なら と、決意する。

 はにわ の枕元に置かれた丹羽さん。
 はにわ が魂を込めて作った丹羽さんなら、送り込める。

 祭りで得た活と残った力を全て、丹羽さんへ送り込む。
 この町の埴輪は、護るもの。
 丹羽さんに はにわ を託し、ボクは人間の作った病院という建物を出る。


 東の空から顔出す光は
 もう、ボクを照らすことなくすり抜ける

 枝葉を揺らす涼しい風も
 ボクには当たらず吹き抜ける

 大地に染みて消える朝露の如く
 ボクの存在は 儚い

 祭りの翌朝
 その大木も
 その広場も
 その緑地も
 ただ儚く そこにある

 そんな儚い場所で
 ボクは果てるのを待つ

 ボクが消えれば
 ボクを知る人間から ボクの記憶は儚く消える
 それが神の子の さだめ

 ただ儚く失う力なら
 ボクを友達と言ってくれた人の子を
 ボクを護ると言ってくれた人の子を
 はにわ を護る為に使う

 だから、ボクの為に泣かないで
 ボクは、はにわ の笑顔が、大好きだから
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