1 / 3
クリスマスの約束
しおりを挟む
「用事できたから遅れる。」
そのlineが届いたのは、午前16時半。
隆司の住むマンションの前に、私が到着した時だ。
それを読んだ私は、ふぅとため息を吐いた。
真っ白なため息は、冬の冷たい空気に紛れて消えた。
今日はクリスマスイブ。
午後から一緒に出掛ける約束。
準備が出来たら待ち合わせ時間と場所を、隆司から連絡してくれることになっていた。
イブの午後をどうするのか内緒にしている隆司に、久々に期待していた。
11時過ぎにはメイクも着替えも終えてずっと隆司の連絡を待っていた。
16時、しびれをきらして連絡しても返事がない。
しかたがないので隆司の住むワンルームマンションまで来たその時、やっと届いた返信。
それは、遅れることを告げるそれだった。
インターフォンを鳴らしたが返事はない。
『用事が出来た』とか言って本当は居眠りでもしているんだろう。
そう思いながら合鍵で彼の部屋に入る。
しかし、散らかったワンルーム。
そこに彼の姿は無い。
本当に急な仕事でも入ったのかもしれない。
そう思いながら、彼のベッドに腰掛ける。
狭い部屋の中央、無造作に置かれたノートパソコン。
その下敷きになるように、不動産屋のパンフレットがある。
それを引き抜くと、私は再びため息をついた。
隆司とは大学の同級生で付き合い始めた。
お互い社会人になった1年目、去年のクリスマスに隆司がいった言葉。
「来年のクリスマスは、一緒に生活する部屋で迎えよう。」
その時は嬉しかった。結婚するなら隆司って決めいていた。
それからしばらくして、私は隆司の変化に気づいた。
隆司はかなりものぐさな性格。
今日できることは明日もしない という主義。
表面的に見ればかなりだらしない。
しかし、大切なことは誰よりも完璧にこなす。
そんなギャップが隆司の魅力だ。
でも、あれから一年。
隆司は私と一緒に住むことについて、後回しにし続けた。
つまり、去年のクリスマスに隆司が言った約束は、今の隆司にとって 大切なこと ではない ということになる。
そんなことを考えながらため息をついたら、玄関ドアがガチャと音をたてた。
「美樹、来てたのか。遅くなってごめんね。」
隆司は部屋に入ると、私が手に持っている不動産屋のパンフレットに目線を向けた。
しかし、すぐに視線を外し、何も気づかなかったかのように言った。
「さぁ、出かけようか。」
そのlineが届いたのは、午前16時半。
隆司の住むマンションの前に、私が到着した時だ。
それを読んだ私は、ふぅとため息を吐いた。
真っ白なため息は、冬の冷たい空気に紛れて消えた。
今日はクリスマスイブ。
午後から一緒に出掛ける約束。
準備が出来たら待ち合わせ時間と場所を、隆司から連絡してくれることになっていた。
イブの午後をどうするのか内緒にしている隆司に、久々に期待していた。
11時過ぎにはメイクも着替えも終えてずっと隆司の連絡を待っていた。
16時、しびれをきらして連絡しても返事がない。
しかたがないので隆司の住むワンルームマンションまで来たその時、やっと届いた返信。
それは、遅れることを告げるそれだった。
インターフォンを鳴らしたが返事はない。
『用事が出来た』とか言って本当は居眠りでもしているんだろう。
そう思いながら合鍵で彼の部屋に入る。
しかし、散らかったワンルーム。
そこに彼の姿は無い。
本当に急な仕事でも入ったのかもしれない。
そう思いながら、彼のベッドに腰掛ける。
狭い部屋の中央、無造作に置かれたノートパソコン。
その下敷きになるように、不動産屋のパンフレットがある。
それを引き抜くと、私は再びため息をついた。
隆司とは大学の同級生で付き合い始めた。
お互い社会人になった1年目、去年のクリスマスに隆司がいった言葉。
「来年のクリスマスは、一緒に生活する部屋で迎えよう。」
その時は嬉しかった。結婚するなら隆司って決めいていた。
それからしばらくして、私は隆司の変化に気づいた。
隆司はかなりものぐさな性格。
今日できることは明日もしない という主義。
表面的に見ればかなりだらしない。
しかし、大切なことは誰よりも完璧にこなす。
そんなギャップが隆司の魅力だ。
でも、あれから一年。
隆司は私と一緒に住むことについて、後回しにし続けた。
つまり、去年のクリスマスに隆司が言った約束は、今の隆司にとって 大切なこと ではない ということになる。
そんなことを考えながらため息をついたら、玄関ドアがガチャと音をたてた。
「美樹、来てたのか。遅くなってごめんね。」
隆司は部屋に入ると、私が手に持っている不動産屋のパンフレットに目線を向けた。
しかし、すぐに視線を外し、何も気づかなかったかのように言った。
「さぁ、出かけようか。」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。
かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。
ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。
二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。

ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる