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第四章 咲/Be with you

第二話 Be with you

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「課題は進みましたか」
「ん~、まぁ、ボチボチかな」
 付き合ってからは、一日のほとんどを総一郎の部屋で過ごしている。課題をするとか読書するとか、お互い集中したい作業がある時は自室に戻る。今回はワタシが課題やりたいからと自室にこもってたわけだ。が、途中で、真綾と通話し始めたから一割しか出来てない。ま、あとでちゃんとやるつもりだし、その辺はうやむやに……。
「その言い方はあまり進まなかったようですね」
「ぐっ……」
「書くぞと思ってもうまく情景やそれに伴う言葉が浮かばなくて、結局掃除とか読書とか他のことやっちゃうんですよね」
「ま、まぁな……」
 総一郎には隠しごとが出来ない。誕生日会のことも秘密裏に進めているけど、当日までバレないか毎日ヒヤヒヤする。あー、こういうのワタシは向かないな。
「それはそうと、今日はとにかく買い逃ししないようにしないといけません」
「いつもより買うものメモが細かいな」
 覗き込んだメモにはビッシリ商品名が並んでいる。
「一日から三日まで近所のスーパーはどこもお休みですよ」
「うぉっ、マジか」
「って、前にもその話したのですが……」
「ごめん」
「咲さん……」
 総一郎の口からため息が漏れる。
「いざとなったら総一郎がいるし」
「今ある程度思い出して、スマホのメモにでも書きだした方が良いですよ」
「んー。年越しそばの具は買うだろ。おせちはカンタンなモンはチャレンジしようかなんて思ってるけどさ~。具材調べよ」

 こんな話をしていると年末家族三人で買い物行ったの思い出すなぁ。
 お父さんが毎年「こんな年末の多い日にオレも買い物について行かんといけねぇのかよ」とやや不機嫌に車を運転して、助手席のお母さんが「年末ぎりぎりじゃないと生モノは傷むし、買いだめするには荷物持ちの人数がいるもの」と口を尖らせ言う。そんな仲の言い二人を後部座席からニヤニヤ見ているワタシ。なんかさっきの真綾みたいだ。
 お父さんは誰よりお母さんの食事を楽しみにしてるし、お母さんもお父さんを喜ばせたくて家族三人分以上のおせち料理を作る。それが桂家のお正月。
 今回の年末年始は帰省しないけど、必ず早いうちに一度帰るとお母さんには連絡を入れた。
『総一郎くんと初めての年越しとお正月、それにお誕生日会楽しんできなさいね。お母さんはお父さんと久しぶりに深夜に初詣デートに行こうと思います』
 くまがハートをギュッと抱きしめているかわいいスタンプと共にメッセージくれた。わたしも総一郎と両親みたいにいつまでも仲良くしてたいなぁ。

「咲さん、なにニヤついてるんです」
「いや、なんでもない」
 そう言って、総一郎の腕に抱きついた。

 三十一日、総一郎と年越しそば食べながらカウントダウンして、年を越した。一月一日の朝は二人で作ったおせちを食べて、昼過ぎに初詣へ。人に揉まれ揉まれつ参拝し、二日はお互いに仕事始め。言ってもお客さんはそんなに来なくてヒマだったけど。

 ついに次起きたら三日だ。寝る前に明日の流れを整理する。
 起きたらいつも通り総一郎と朝ご飯を食べる。昼頃、コンビニかどこかに総一郎を行かせているうちに駅前のカフェで待ってもらっている真綾と神楽小路を呼びこむ。総一郎が帰ってきたら、そっからサプライズパーティ開始という流れだ。なんとしてでも成功させる。今日まで総一郎も勘づいてないみたいだし。楽しい会にするぞと意気込んでから、瞼を閉じた。
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