【2】元始、君は太陽であった【完結】

ホズミロザスケ

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気づき

第十八話 気づき6

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「おーい~! ようやく見つけたぞ。ここにいたのか」
 キョトンとしている佐野さんの肩を抱きつつ、男の手を無理やり剥がした。
「すいません。この子はワタシとの先約があるんで連れていきますね」
「じゃあ、君も一緒に飲まない?」
「え?」
「そうだよ、女の子二人いたらもっと盛り上がるし」
「いやぁ、それはちょっと……」
 あぁ……ミイラ取りがミイラに……。僕は息を大きく吸ってから、
「桂さん、佐野さん。何してるんですかー? こっちに席取ってますよー」
 と叫んだ。「なんだ、男いるのか」と吐くように言って男たちはそそくさと立ち去った。桂さんは佐野さんをそのまま連れてきた。
「駿河、マジ助かった……」
 そう言って桂さんはオレンジジュースを一気に飲み干した。
「いえいえ、僕は叫んだだけなので。佐野さん大丈夫ですか?」
「うん。わたしは大丈夫。あの、桂さんも駿河くんもありがとうね」
「えっ、ワタシのこと知ってんのか?」
「英語の授業で近くに座ってる子は大体わかるよ。桂さんは斜め後ろ、駿河くんはわたしのすぐ後ろだもんね」
「なるほどなー」
「佐野さん、これもご縁ですし、一緒にここでお話でもしませんか?」
「いいの? 二人のお邪魔にならない?」
「ならねぇよ。それにまた変な虫が寄ってきたら困るだろ」
「ありがとう、桂さん」
「あ、咲でいいよ」
「じゃあ、咲ちゃんって呼ぶね。わたしも真綾でいいよ」
「真綾っていうのか。めちゃくちゃかわいいな」
 桂さん、人と話さなくていいって言ってたくせに、距離の詰め方が早い。でも、さっきまでどこか表情が硬かったのがいつもの感じに戻ってて安心した。
「真綾はさ、今日なんで参加したんだ?」
「わたし、どうしてもお話ししたい人がいて」
「へぇ~」
「他の友達はみんな行かないって言うから一人で来たんだけど、その人も来てなかった」
「それは残念でしたね」
「全員絶対参加じゃないもんなぁ」
「来てたらいいなっていう一縷の望みをかけたっていうか。でも、咲ちゃんや駿河くんとお話し出来たから参加してよかった」
「よかったらこれからも気軽に話しかけてくれな」
「もちろんだよ! こうやって一緒にご飯食べたんだからもうお友達だよ」

 そのあと最近読んだ本について話していたが、四月の夜はまだかなり冷える。しかし、一向に歓迎会は終わる気配がない。あまりの寒さに我慢できなくなった僕らはジュースとおにぎりを食べ終わると、駅へと向かった。石川から駅まで二十分ほど、暗い道をひたすら歩いた。スクールバスがなければ、こんなに長いのかと思い知らされる。しかし、歩いていると、夜風で冷えた身体も温まり、逆に良かったのかもしれない。反対の電車に乗って帰るという佐野さんとは駅で別れた。
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