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本編
10.
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ルド兄様とおつきあいすることになって、周りはとても喜んでくれた。誰かのためにつきあったり、結婚したりするわけではないけれど、周囲に祝福されるのはやっぱり嬉しい。あれからルド兄様は時間を見つけては会いに来てくれる。
「ルド兄様、ほんとうに家は継がなくてよかったのですか? 継ぐために準備をしてきたのに……」
「学んだことが無駄にならないならいいんだよ。俺の家でもリアの家でも家を守るのは同じだ」
「同じではないでしょう。家が違えば仕事の内容も守らなければいけないものも違います」
「一番守らなきゃいけないものはリアでしょ。優先すべきものはリアだから変わらないよ」
「な、なにを言うんですか」
いきなり恥ずかしくなるようなことを言われてわたしは思わず赤くなる。ルド兄様はこんなことを言う人ではなかった。これまでもとても優しい人だったけれど、最近は優しいだけじゃない。ふとしたときに甘い雰囲気や言葉を出してくるのだ。わたしは恥ずかしさをごまかすためにささやかな抵抗をする。
「ルド兄様、人が変わっていませんか? このようなことを言う人ではなかったと思うのですが……」
「そりゃあ、妹とつきあってる人は違うでしょ?」
「ルド兄様にもそんな一面があったのですね……」
なんとなく胸がちくりとした気がした。
「つきあっている人や婚約者は大切にするでしょ。普通に」
ルド兄様の言葉になんだかさらにもやもやする。どうやらしらないうちに顔に出ていたらしい。
「……リア、もしかして嫉妬した?」
「嫉妬? もしかしてこれが嫉妬なのでしょうか。リンハルト様には特に何も感じなかったので……」
「まぁ俺の元婚約者も周りに決められたのもあって最低限のやりとりしかしなかったからなぁ。勉強に集中したかったし、特に思い入れのある相手でもなかったし。……だから浮気されたのかな」
「ルド兄様……」
「まぁ、ようはリアが特別ってことだね」
ルド兄様は笑う。よく知った人だと思っていたのに、今まで知らなかった面がたくさんでてくる。けれど、ルド兄様といると楽しいのは変わらない。
「でも、冗談ではなく、リアはちゃんと守らないといけないんだよ」
「どうしてですか? お父様たちがなにか?」
「いや、そうではなく、リンハルトと婚約破棄になっただろう? いろんな人間が群がってくるんだよ。アンネローゼ様はすでに亡くなっているし、父親たちは家から出て行った。リアはまだ若いからコントロールしやすいと思うだろ? まぁ、リンハルトの件がなくてもリアは魅力的だからぜひ結婚したいという人間は多かったみたいだけどね」
「はぁ……。わたくしの家が魅力的なのはわかりますが、わたくし自身は別に……」
「いやいや。リアはアンネローゼ様に似てスタイルも良いし美人じゃないか。それに頭もいいし、若くても家のことをしっかりやっていると評判だよ」
「わたくしは別にスタイルもよくありませんし、お姉様のような身体とお顔が好まれるのではないのですか?」
エリザベスは縁談こそまとまらなかったが、いろいろな男性の目にとまっている。叔母様から聞いた話によればそれはもう多くの人との噂があったようだ。
「リア、スタイルが良いっていうのはただ胸が大きいことを言うんじゃないんだよ。バランスが大事なんだ。顔だってエリザベスとタイプが違うだけで、リアの目は大きくて綺麗だし、鼻だって整っているし……。十二分に可愛いよ。好みの問題。リアの周りはたまたまエリザベスが良いって人間がいただけ。リアはエリザベスが男性から好まれると思っているけど、あれは遊び相手としてだからね。実際、ほとんど顔を出していないのに社交界じゃリアの人気はなかなかのものだ」
スタイルについて力説するルド兄様に一瞬もやっとしたけれど、その後に続く言葉にだんだんどうでもよくなってしまった。すると、ルド兄様は正気?に戻ったのか咳払いをして話を戻す。
「まぁ、話は戻すけど、リアとの結婚に家族は大賛成。むしろ、リアを守れるのはお前だってけしかけてくる。もちろん、俺もリアと結婚したい」
「でもおじさまたちにご迷惑じゃ……」
「リアは気にしなくていいんだよ。むしろ俺が出て行くほうが嬉しいんじゃないかな」
「そうなのですか? 皆さん仲が良いのに……」
「いや、仲が悪いとかじゃないんだ。弟が家を継ぎたいらしいんだよ。どうやら公爵令嬢と良い仲らしくてね」
「まぁ、もしかしてエミールはロゼッタ様と?」
「そう。でも、言っておくけど、別にエミールが家を継ぐのに都合がいいからリアと結婚したいわけじゃないからね。家族は予定通り俺が継いでも良いって言っているし、継がずに好きな研究を続けてもいいって言っている。周りはリアが大切だから変な虫がつかないように目を光らせているから俺が推薦されただけ。もちろん、リアが別の人が良いと言えば全力で探すよ。あの人たちはみんなリアを娘のように思っているから」
ほんとうにありがい話だと思う。お母様もお祖父様もすでに亡くなってしまったけれど、わたしは周りの人に恵まれている。お父様にはあまり大事にされていなかったけれど、叔父様たちには娘のように大切にしてもらっている。きっと周りの人たちを大切にしてきたお母様のおかげだろう。
「さて、リア。せっかちだと思うかもしれないが、そろそろ結婚の話を進めないか?」
「えっ、もう結婚ですか?」
「実際に式を挙げるのはまだ先だけどいろいろ準備はあるだろう? まずは正式にお披露目をしないといけないし……。それとも結婚は嫌?」
「嫌だなんてことはありません」
「そう、それはよかった。では早々にまずは正式なお披露目をしよう。俺の家族もだけど叔母上が特に張り切ってるから」
ルド兄様はとてもいい笑顔だ。なんとなく気恥ずかしいから忙しさを理由になるべく避けて来たがもう逃げられないらしい。
ルド兄様と結婚したくないわけじゃない。これから一緒にいるならルド兄様がいい。ただ、リンハルトとの時とは違いすぎていろいろと戸惑ってしまう。男の人といるだけでこんなに心が動くなんて知らなかった。
「わ、わたくしもお披露目をできるのを楽しみにしています」
きっと、とんとん拍子にお披露目が終わり、結婚までいってしまうのだろう。特に叔母様からの圧はすごい。すでにドレスはどんなものがいいかなどとわたしそっちのけで盛り上がっている。お披露目の話を進めたいなどと言えばあっという間に場を整えてしまうだろう。
結婚すれば自分を大切にしてくれる家族ができる。わたしにとってそれはとても大切なことだ。これでもう家にいてもさみしくない。今後に向けての具体的な話し合いをしながらわたしは明るい未来へ思いを馳せた。
「ルド兄様、ほんとうに家は継がなくてよかったのですか? 継ぐために準備をしてきたのに……」
「学んだことが無駄にならないならいいんだよ。俺の家でもリアの家でも家を守るのは同じだ」
「同じではないでしょう。家が違えば仕事の内容も守らなければいけないものも違います」
「一番守らなきゃいけないものはリアでしょ。優先すべきものはリアだから変わらないよ」
「な、なにを言うんですか」
いきなり恥ずかしくなるようなことを言われてわたしは思わず赤くなる。ルド兄様はこんなことを言う人ではなかった。これまでもとても優しい人だったけれど、最近は優しいだけじゃない。ふとしたときに甘い雰囲気や言葉を出してくるのだ。わたしは恥ずかしさをごまかすためにささやかな抵抗をする。
「ルド兄様、人が変わっていませんか? このようなことを言う人ではなかったと思うのですが……」
「そりゃあ、妹とつきあってる人は違うでしょ?」
「ルド兄様にもそんな一面があったのですね……」
なんとなく胸がちくりとした気がした。
「つきあっている人や婚約者は大切にするでしょ。普通に」
ルド兄様の言葉になんだかさらにもやもやする。どうやらしらないうちに顔に出ていたらしい。
「……リア、もしかして嫉妬した?」
「嫉妬? もしかしてこれが嫉妬なのでしょうか。リンハルト様には特に何も感じなかったので……」
「まぁ俺の元婚約者も周りに決められたのもあって最低限のやりとりしかしなかったからなぁ。勉強に集中したかったし、特に思い入れのある相手でもなかったし。……だから浮気されたのかな」
「ルド兄様……」
「まぁ、ようはリアが特別ってことだね」
ルド兄様は笑う。よく知った人だと思っていたのに、今まで知らなかった面がたくさんでてくる。けれど、ルド兄様といると楽しいのは変わらない。
「でも、冗談ではなく、リアはちゃんと守らないといけないんだよ」
「どうしてですか? お父様たちがなにか?」
「いや、そうではなく、リンハルトと婚約破棄になっただろう? いろんな人間が群がってくるんだよ。アンネローゼ様はすでに亡くなっているし、父親たちは家から出て行った。リアはまだ若いからコントロールしやすいと思うだろ? まぁ、リンハルトの件がなくてもリアは魅力的だからぜひ結婚したいという人間は多かったみたいだけどね」
「はぁ……。わたくしの家が魅力的なのはわかりますが、わたくし自身は別に……」
「いやいや。リアはアンネローゼ様に似てスタイルも良いし美人じゃないか。それに頭もいいし、若くても家のことをしっかりやっていると評判だよ」
「わたくしは別にスタイルもよくありませんし、お姉様のような身体とお顔が好まれるのではないのですか?」
エリザベスは縁談こそまとまらなかったが、いろいろな男性の目にとまっている。叔母様から聞いた話によればそれはもう多くの人との噂があったようだ。
「リア、スタイルが良いっていうのはただ胸が大きいことを言うんじゃないんだよ。バランスが大事なんだ。顔だってエリザベスとタイプが違うだけで、リアの目は大きくて綺麗だし、鼻だって整っているし……。十二分に可愛いよ。好みの問題。リアの周りはたまたまエリザベスが良いって人間がいただけ。リアはエリザベスが男性から好まれると思っているけど、あれは遊び相手としてだからね。実際、ほとんど顔を出していないのに社交界じゃリアの人気はなかなかのものだ」
スタイルについて力説するルド兄様に一瞬もやっとしたけれど、その後に続く言葉にだんだんどうでもよくなってしまった。すると、ルド兄様は正気?に戻ったのか咳払いをして話を戻す。
「まぁ、話は戻すけど、リアとの結婚に家族は大賛成。むしろ、リアを守れるのはお前だってけしかけてくる。もちろん、俺もリアと結婚したい」
「でもおじさまたちにご迷惑じゃ……」
「リアは気にしなくていいんだよ。むしろ俺が出て行くほうが嬉しいんじゃないかな」
「そうなのですか? 皆さん仲が良いのに……」
「いや、仲が悪いとかじゃないんだ。弟が家を継ぎたいらしいんだよ。どうやら公爵令嬢と良い仲らしくてね」
「まぁ、もしかしてエミールはロゼッタ様と?」
「そう。でも、言っておくけど、別にエミールが家を継ぐのに都合がいいからリアと結婚したいわけじゃないからね。家族は予定通り俺が継いでも良いって言っているし、継がずに好きな研究を続けてもいいって言っている。周りはリアが大切だから変な虫がつかないように目を光らせているから俺が推薦されただけ。もちろん、リアが別の人が良いと言えば全力で探すよ。あの人たちはみんなリアを娘のように思っているから」
ほんとうにありがい話だと思う。お母様もお祖父様もすでに亡くなってしまったけれど、わたしは周りの人に恵まれている。お父様にはあまり大事にされていなかったけれど、叔父様たちには娘のように大切にしてもらっている。きっと周りの人たちを大切にしてきたお母様のおかげだろう。
「さて、リア。せっかちだと思うかもしれないが、そろそろ結婚の話を進めないか?」
「えっ、もう結婚ですか?」
「実際に式を挙げるのはまだ先だけどいろいろ準備はあるだろう? まずは正式にお披露目をしないといけないし……。それとも結婚は嫌?」
「嫌だなんてことはありません」
「そう、それはよかった。では早々にまずは正式なお披露目をしよう。俺の家族もだけど叔母上が特に張り切ってるから」
ルド兄様はとてもいい笑顔だ。なんとなく気恥ずかしいから忙しさを理由になるべく避けて来たがもう逃げられないらしい。
ルド兄様と結婚したくないわけじゃない。これから一緒にいるならルド兄様がいい。ただ、リンハルトとの時とは違いすぎていろいろと戸惑ってしまう。男の人といるだけでこんなに心が動くなんて知らなかった。
「わ、わたくしもお披露目をできるのを楽しみにしています」
きっと、とんとん拍子にお披露目が終わり、結婚までいってしまうのだろう。特に叔母様からの圧はすごい。すでにドレスはどんなものがいいかなどとわたしそっちのけで盛り上がっている。お披露目の話を進めたいなどと言えばあっという間に場を整えてしまうだろう。
結婚すれば自分を大切にしてくれる家族ができる。わたしにとってそれはとても大切なことだ。これでもう家にいてもさみしくない。今後に向けての具体的な話し合いをしながらわたしは明るい未来へ思いを馳せた。
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