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「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」
食事も終わり、食後のお茶を楽しんでいるところに私の妹であるマリアが勝手なことを言い出す。妹といっても腹違いの妹でいつも私を見下してくるため、かわいいとは全く思えない。
母は私が五歳の時に亡くなってしまった。その直後にマリアは義母とともにこの家にやってきた。マリアとは二つしか離れていないことを考えると母の存命中に生ませた子どもだ。
私を生んだ後、母は体を壊してしまったがずっと父を大切にしていた。そんな母を父は裏切ったのだ。
マリアが父にかわいくおねだりすると、すかさず義母が援護する。
「ねぇ、あなた。私もマリアの方が良いと思うわ。アルフレッド様は侯爵でしょう? 母親が平民のソフィアだと嫁いでも侯爵家でつらい思いをするでしょうし……。マリアが気に入っているなら丁度良いんじゃないかしら。ソフィアにはもっとふさわしいお相手がいるわ」
二人が浮気相手とその子どもなのに、私のことを見下すのは私の母が平民だからだ。父のいないところでは露骨に嫌がらせをしてくる母娘のため、どうしても好きになれない。今も私を心配する顔をして私を『平民の子』と見下している。
「確かにソフィアがつらい思いをするかもしれないなぁ。アルフレッド様にはマリアの方を薦めてみようと思うがソフィアはどうだい?」
私の父はちょっと馬鹿だ。あっさり義母と妹の言葉に流される。
「私はアルフレッド様がマリアをお望みでしたら構いません。家のためになるようになさってください」
私自身はアルフレッドに何の思い入れもないのでどちらでもいい。この家から出たい気持ちで結婚も悪くないと思っていたが、嫌がらせをされてまで結婚したいとは思わない。
「そうか。アルフレッド様には明日にでもお話しよう。家のことを一番に考えるソフィアは立派な長女だな」
父は実にのんきだ。マリアも侯爵婦人になれると早速喜んでいる。義母は勝ち誇った顔で私を見ていた。
次の日の夜、上機嫌で父は私たちに報告した。
「アルフレッド様はマリアで構わないそうだ。結婚の話を進めよう!」
「アルフレッド様がそう仰ったのですか? 本当によろしいのですか?」
本当にいいのだろうか? 後悔しない?
「往生際が悪いですよ、ソフィア。自分が選ばれると思っていたのですか? アルフレッド様も血筋が確かな若くてかわいい娘が良いのです」
義母が得意げな顔で言ってくる。父は少し気まずそうだ。おそらく、新しい婚約者としてマリアを提案する際に私の母親の身分を引き合いに出したのだろう。だったらなぜ、平民の娘と結婚したのと思わなくもない。
「私は別に構いません。この家とアルフレッド様が良いのであれば……」
私はそう言って三人の前から去ることにした。どんな結婚式にするとか、ドレスをどうするか、など盛り上がっている。まだ何も決まっていないというのに。
ここには私の居場所はない。
私は部屋に戻るとこれからのことを考える。元々父が決めてきた縁談だ。アルフレッドに全く未練はないが、この家にはいたくない。私はさっそく『お祖父さま』に手紙を出すことにする。この家にいてはろくな縁談も望めないだろうから。
数日後、早速お祖父さまの使いから返事が届けられた。良いお相手を探してくれるそうだ。手紙からはお祖父さまの怒りが透けて見える。父はお祖父さまの怒りに触れたらしい。
どうしてお父様はそう簡単に婚約者を取り替えるなんて言えるのかしら。お祖父さまが怒るのがわからないの?
食事も終わり、食後のお茶を楽しんでいるところに私の妹であるマリアが勝手なことを言い出す。妹といっても腹違いの妹でいつも私を見下してくるため、かわいいとは全く思えない。
母は私が五歳の時に亡くなってしまった。その直後にマリアは義母とともにこの家にやってきた。マリアとは二つしか離れていないことを考えると母の存命中に生ませた子どもだ。
私を生んだ後、母は体を壊してしまったがずっと父を大切にしていた。そんな母を父は裏切ったのだ。
マリアが父にかわいくおねだりすると、すかさず義母が援護する。
「ねぇ、あなた。私もマリアの方が良いと思うわ。アルフレッド様は侯爵でしょう? 母親が平民のソフィアだと嫁いでも侯爵家でつらい思いをするでしょうし……。マリアが気に入っているなら丁度良いんじゃないかしら。ソフィアにはもっとふさわしいお相手がいるわ」
二人が浮気相手とその子どもなのに、私のことを見下すのは私の母が平民だからだ。父のいないところでは露骨に嫌がらせをしてくる母娘のため、どうしても好きになれない。今も私を心配する顔をして私を『平民の子』と見下している。
「確かにソフィアがつらい思いをするかもしれないなぁ。アルフレッド様にはマリアの方を薦めてみようと思うがソフィアはどうだい?」
私の父はちょっと馬鹿だ。あっさり義母と妹の言葉に流される。
「私はアルフレッド様がマリアをお望みでしたら構いません。家のためになるようになさってください」
私自身はアルフレッドに何の思い入れもないのでどちらでもいい。この家から出たい気持ちで結婚も悪くないと思っていたが、嫌がらせをされてまで結婚したいとは思わない。
「そうか。アルフレッド様には明日にでもお話しよう。家のことを一番に考えるソフィアは立派な長女だな」
父は実にのんきだ。マリアも侯爵婦人になれると早速喜んでいる。義母は勝ち誇った顔で私を見ていた。
次の日の夜、上機嫌で父は私たちに報告した。
「アルフレッド様はマリアで構わないそうだ。結婚の話を進めよう!」
「アルフレッド様がそう仰ったのですか? 本当によろしいのですか?」
本当にいいのだろうか? 後悔しない?
「往生際が悪いですよ、ソフィア。自分が選ばれると思っていたのですか? アルフレッド様も血筋が確かな若くてかわいい娘が良いのです」
義母が得意げな顔で言ってくる。父は少し気まずそうだ。おそらく、新しい婚約者としてマリアを提案する際に私の母親の身分を引き合いに出したのだろう。だったらなぜ、平民の娘と結婚したのと思わなくもない。
「私は別に構いません。この家とアルフレッド様が良いのであれば……」
私はそう言って三人の前から去ることにした。どんな結婚式にするとか、ドレスをどうするか、など盛り上がっている。まだ何も決まっていないというのに。
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私は部屋に戻るとこれからのことを考える。元々父が決めてきた縁談だ。アルフレッドに全く未練はないが、この家にはいたくない。私はさっそく『お祖父さま』に手紙を出すことにする。この家にいてはろくな縁談も望めないだろうから。
数日後、早速お祖父さまの使いから返事が届けられた。良いお相手を探してくれるそうだ。手紙からはお祖父さまの怒りが透けて見える。父はお祖父さまの怒りに触れたらしい。
どうしてお父様はそう簡単に婚約者を取り替えるなんて言えるのかしら。お祖父さまが怒るのがわからないの?
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