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3.アイドルになるために頑張ります
3-10.
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この価格案はリネットと一緒に考えたものだ。実際にいろいろと姿を変えて町も歩いたし、屋敷で働く人間にもヒアリングした。
「これはどうやって決めたんだい?」
「ずいぶん値段を抑えているのね。わたくしたちの考えていたものとはかなり違うわ」
お父様もお母様ももっと高い価格をつけようとしていたようだ。貴族の感覚からするとずいぶん値段を下げたつもりだったようだが、それでは購買層がかなり限定されてしまう。
わたしとしてはなるべく広く売りたい。
「平均的な給与や物価などを元に決めました。普通に買える値段のもの、ちょっと頑張れば買えるもの、裕福な人が買えるものを用意します。なるべく広く売りたいので」
「こんなに値段を抑えて利益はどうなるのかしら?」
「値段に合わせた商品にするのですよ。利益を考えて量を少なくしたり、中身や容器の品質を下げます。価格設定はもう少し調査して検討する必要があると思いますが……」
「レティシアは商人の才能もあるのか?」
「そんなことはないですよ。夢の中では十八歳まで生きて、仕事もしていましたから」
「いやいや、立派だぞ。その歳でこれならば将来が楽しみだな」
「そういえばラメ剤やパール剤も複数開発するように言われていたけれど、売る相手で変えるということかしら? いくつか試作品が出来上がっているわ。持ってきてくれる?」
お母様は試作品を持ってくるように指示をだす。前に確認したときより種類が増えているらしい。
「そうですね。作るのによりコストがかかるものを高級ラインに使いましょう。使うラメ剤やパール剤でかなり変わりますよ」
話をしていると試作品が出てきた。かなり大粒のラメもある。
「わぁ。かなり種類が増えていますね。こちらのラメなんてマニキュアに入れると良さそうです」
「まにきゅあとは何なのかしら?」
「手や足の爪に塗る化粧品のことです。小さな瓶に入った色のついた液体をキャップについている刷毛で爪に塗るんです。マニキュアが作れるのならネイルアートのお店を作るのもいいですね」
「それは面白そうね。後で詳しく教えてちょうだい」
「はい。お母様は貴族の間でどんなお化粧が流行っているかご存じですよね? まずはその流行っている色、これから流行りそうな色とラメ剤とパール剤を混ぜていけば良いと思います」
「良い物ができそうだわ」
わたしたちはその後も仕上がってきているサンプルの確認を進めた。
きっと不思議な力でマニキュアも実現するんだろうなとわたしは漠然と思った。
乗っかかれるものには乗っかかろう。そもそも、こうしてレティシアとして生きていること自体が不思議なんだし……。
わたしは最後までレティシアとして生きることができるのかしら。
ふと、そんなことを思ってしまった。
前世は十八歳で終わっている。今も普通ではありえない状況だ。
考え始めるとちょっと怖くなってくる。わたしは自分の気持ちに蓋をした。
来年の今頃にはお店をオープン出来るかしら。
十二歳になれば学園に通わなくてはならない。学校生活を送りながらアイドル活動はかなり大変そうだ。
できれば入学する前にある程度軌道に乗せたい。結婚のことも考えるとアイドルとして活動できる期間は短いだろうから。
そう考えると化粧品店のオープンはのんびりしていられないわ。
「これはどうやって決めたんだい?」
「ずいぶん値段を抑えているのね。わたくしたちの考えていたものとはかなり違うわ」
お父様もお母様ももっと高い価格をつけようとしていたようだ。貴族の感覚からするとずいぶん値段を下げたつもりだったようだが、それでは購買層がかなり限定されてしまう。
わたしとしてはなるべく広く売りたい。
「平均的な給与や物価などを元に決めました。普通に買える値段のもの、ちょっと頑張れば買えるもの、裕福な人が買えるものを用意します。なるべく広く売りたいので」
「こんなに値段を抑えて利益はどうなるのかしら?」
「値段に合わせた商品にするのですよ。利益を考えて量を少なくしたり、中身や容器の品質を下げます。価格設定はもう少し調査して検討する必要があると思いますが……」
「レティシアは商人の才能もあるのか?」
「そんなことはないですよ。夢の中では十八歳まで生きて、仕事もしていましたから」
「いやいや、立派だぞ。その歳でこれならば将来が楽しみだな」
「そういえばラメ剤やパール剤も複数開発するように言われていたけれど、売る相手で変えるということかしら? いくつか試作品が出来上がっているわ。持ってきてくれる?」
お母様は試作品を持ってくるように指示をだす。前に確認したときより種類が増えているらしい。
「そうですね。作るのによりコストがかかるものを高級ラインに使いましょう。使うラメ剤やパール剤でかなり変わりますよ」
話をしていると試作品が出てきた。かなり大粒のラメもある。
「わぁ。かなり種類が増えていますね。こちらのラメなんてマニキュアに入れると良さそうです」
「まにきゅあとは何なのかしら?」
「手や足の爪に塗る化粧品のことです。小さな瓶に入った色のついた液体をキャップについている刷毛で爪に塗るんです。マニキュアが作れるのならネイルアートのお店を作るのもいいですね」
「それは面白そうね。後で詳しく教えてちょうだい」
「はい。お母様は貴族の間でどんなお化粧が流行っているかご存じですよね? まずはその流行っている色、これから流行りそうな色とラメ剤とパール剤を混ぜていけば良いと思います」
「良い物ができそうだわ」
わたしたちはその後も仕上がってきているサンプルの確認を進めた。
きっと不思議な力でマニキュアも実現するんだろうなとわたしは漠然と思った。
乗っかかれるものには乗っかかろう。そもそも、こうしてレティシアとして生きていること自体が不思議なんだし……。
わたしは最後までレティシアとして生きることができるのかしら。
ふと、そんなことを思ってしまった。
前世は十八歳で終わっている。今も普通ではありえない状況だ。
考え始めるとちょっと怖くなってくる。わたしは自分の気持ちに蓋をした。
来年の今頃にはお店をオープン出来るかしら。
十二歳になれば学園に通わなくてはならない。学校生活を送りながらアイドル活動はかなり大変そうだ。
できれば入学する前にある程度軌道に乗せたい。結婚のことも考えるとアイドルとして活動できる期間は短いだろうから。
そう考えると化粧品店のオープンはのんびりしていられないわ。
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