フィルネリアにもう一度……

かふぇもか

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ちっぽけな人間

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 ドトールさんはアルルさんを連れて、居間を出て行った。


 正直俺は、この世界に来れて良かったと思っていた。
 元々、家でニートをして家族に迷惑をかけていたのだ。家族に何の恩も返せなかったけど、こんな形で、現実世界から消えれたんだから悔いなんてなくて、むしろアルルさんに感謝している。

 ドトールさんから、アルルさんは自分の国を救って欲しいから俺を呼び出したのだと聞いた。
 誰かに頼られたことがあるのはゲームの世界ぐらいで、アルルさんに頼られていることが正直とても嬉しかった。

 でも俺は、現実世界ではVRMMOのゲームばかりやっていて、国を救うなんていう重い使命を果たすことなんて出来るはずもなかった。
 ゲームの中では常に上位にいたけど、それはゲームの中の話で、実際は弱い人間なんだ。

 だから、頼られているのに、アルルさんの期待に応えられなくて、とても申し訳ない気持ちになった。


 なんで国を救って欲しいのか、詳しい話をドトールさんは教えてくれなくて、アルルさんに直接聞けと言われたけど、わずか15歳にしてそんな決断が出来るアルルさんを、とても大人びた人だと感じた。


 17歳の俺は、身長だけは174cmもあって、中身はちっぽけな人間だ。
 15歳のアルルさんは、身長が160cmくらいで俺よりずっと小さく、それでも中身は俺以上にとても大きいものを持っていた。


 俺は、身体だけはグングンデカくなって、肝心の中身は全然成長してない、ちっぽけな人間だった。


 たとえば俺が15歳の時にこの世界にいて、国を救うという使命が与えられたとしたらどうなるだろうか?


 そんな問いの答えは考えるまでもなかった。


 すぐに使命を放棄して、きっと今まで通りどこかに逃げ出していたんだろう。

 
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