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長雨とファントム
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裂けて破れて穴だらけの衣服
濡れ色の外套 斑な濃淡
元の色の面影は失し
千切れた裾に覗く足首
肌と思っても
濃すぎる色に柔を感じず
細すぎる脛は人と似ない
馬脚の様と想をかきたてれば
二足歩行のケンタウルスなど
変わり果てた有り様を何故と問うて
(そうか俺は)
自分の最期の記憶が還る
生きてはいない落胆と
死んでもいない絶望を
遠く滅んだ肉体に
魂だけが未だ抜けない
雨に濡れたぼろの体が
穢れの臭いを濃く漂わせ
堪らなくて顔を覆い
……いや、覆えず
持ち上げた腕はだらりと垂れ
思いを汲まない指先は
びたり、と額に打ちつけてくる
ぷらり、ぶらり、
ぺた、ずりっ、ず、ず、ず。
筋のない足を踏み出すと
ぎし、きし、みしり。
骨も一緒に軋みだす始末
だれか、と声を掛けたくても
発声に必要る肉も筋も残らず
膜張らないでは音もでない
こぉー、こぉー
だだ漏れる空気 思い切り吐けば
頭蓋の中に小さな旋風
かららん、ころろん
骨の欠片が
せめてと哀しい舞を踊る
"嘆きの怪物"
ひそめられて呼ぶ声は
怯えと恐れと
おぞましい、の嫌悪に聞く
その影に懐かしい顔を見たり
明かるみを避け暗闇に籠る
一目たりとも見られぬよう
元は家族と気取られぬよう
早く崩れて無くなればいい
体失くせばあそこに還れる
二度目の嘆きと知らぬまま
止まない雨に滲む祈りは
濡れ色の外套 斑な濃淡
元の色の面影は失し
千切れた裾に覗く足首
肌と思っても
濃すぎる色に柔を感じず
細すぎる脛は人と似ない
馬脚の様と想をかきたてれば
二足歩行のケンタウルスなど
変わり果てた有り様を何故と問うて
(そうか俺は)
自分の最期の記憶が還る
生きてはいない落胆と
死んでもいない絶望を
遠く滅んだ肉体に
魂だけが未だ抜けない
雨に濡れたぼろの体が
穢れの臭いを濃く漂わせ
堪らなくて顔を覆い
……いや、覆えず
持ち上げた腕はだらりと垂れ
思いを汲まない指先は
びたり、と額に打ちつけてくる
ぷらり、ぶらり、
ぺた、ずりっ、ず、ず、ず。
筋のない足を踏み出すと
ぎし、きし、みしり。
骨も一緒に軋みだす始末
だれか、と声を掛けたくても
発声に必要る肉も筋も残らず
膜張らないでは音もでない
こぉー、こぉー
だだ漏れる空気 思い切り吐けば
頭蓋の中に小さな旋風
かららん、ころろん
骨の欠片が
せめてと哀しい舞を踊る
"嘆きの怪物"
ひそめられて呼ぶ声は
怯えと恐れと
おぞましい、の嫌悪に聞く
その影に懐かしい顔を見たり
明かるみを避け暗闇に籠る
一目たりとも見られぬよう
元は家族と気取られぬよう
早く崩れて無くなればいい
体失くせばあそこに還れる
二度目の嘆きと知らぬまま
止まない雨に滲む祈りは
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