留めおきたい思い

急がば回れの執筆道

　書けないときを
　皆はどうやって
　乗り越えるのだろう
　ひたすら書いて
　書いても書いても
　"つまらない"
　感じるとき
　気力尽きて
　投げ出したくて

　そんなときにも
　"続けたい"願う理由
　腹の底から沸き出る
　闘志みたいな感情は
　どうしても
　"知って欲しい"
　"認められたい"
　俺がここにいるってこと
　"人生、生ききった"
　そう思わせて欲しい

　きっと
　野心が燃えなきゃ
　続けらんない
　書き続けてって
　どうなりたいのか
　そりゃあ
　本出せれば一番いいよ
　なんなら大手に拾われたいとか

　具体的には
　有名どころの某なにがし社って？
　そこだと俺って腫れ物かも
　やっぱり別のとこのーーって
　まずいことに気が付いた
　俺は知らない
　どんな会社が　いつ設立して　
　どんな活動を　どんな方向性で
　どんな思想のもと　
　やってきたかって

　だから
　どうせ拾われるなら
　"どこ"がいいのか
　答えられない
　俺は調べることにした
　出版界のハイブランド
　つまり名だたる面々の活躍を

　終戦後　無条件の降伏下　
　全て国民は失意のどん底
　そんなかでの旗揚げを
　生きるため思想を授ける出版物は
　その創設は？
　各々の得意とする諸分野に　
　実は同じ社からの分岐であると
　知らぬ無知は痛恨だった
　これでは拾うものなどない
　謝罪文でも許されない
　出版社　出版物　これを読んでくれた人達　　にーー詫びなくては

　俺は自分にノルマを課す
　これから毎日
　各出版社の創設者名を
　紙に100回書写することを！
　(いや、それより物語を書けよ)
　誰かがそう突っ込んで引き留めて
　くれると期待して
　原稿用紙を埋めてみる
　物語が先か謝罪が先か
　どちらのお詫びも最優先だから。