留めおきたい思い

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埃立ち、誇り散る (前編)

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煙草の匂い染み付いた
ある繁華街の一角の
照明控えた店内に

キャンディーみたいな
香りを纏う
何人かの女の子

みんな揃ってスレンダー
……とは限らなくても

彼女達にはこの場所で
容姿、性格、更に言うなら
戸籍上の性別なんて
何ら意味はない

それらが最重要は
迎える側、ホストにある
加えて巧みな話術と
洞察力が

瞬く間の内、ツーカーの仲
相手の「つー」に
答えられてこそ"プロ"で

今夜も繰り広げられていく
ナンバーを巡る熾烈な争い

「梅酒飲みたい」

"枝(初来店)梅酒入ります"
(割り材はどれだ)
お茶、水、ソーダか
まさかの

「牛乳割り」

「お待たせしました」

氷が全く浮かんでいない
酒が前を通って行く

真夏の夜の夢? 
湯気が見える

「ちょっと誰だよこれ作ったやつ」

嫌がらせ以外の、何ものでも無かった
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