愛の檻

瑠花

文字の大きさ
上 下
13 / 15

起こりうる受難

しおりを挟む
つるが巻きついた片足の両端を、セシル様とキルがナイフで切ろうとしてくれている。しかし、足を傷つけないようにと慎重に切ってくれているので、つるの再生力と切るスピードが同じなため、一向に終わる気配がなかった

「まじで何の植物だよ。これ…」
「切っても切っても再生してくるね。こんな植物植えられていた覚えもないし…」

2人は私を助けようと懸命に作業してくれているが、実は私には他に考えてしまっていることがあった。それは、

(ちょっと!このつるなんでスカートの部分まで入ってこようとしてるの!?)

あと少し上に行けばスカートの中に入ってしまい切ってもらうためにはスカートをめくらなければいけないと言う事態に陥ってしまうのである。ただでさえ生足を差し出していると言う。恥ずかしい状況なのに、それ以上に恥ずかしい事はしたくないと思っているが、一向に終わる気配がないため、私は羞恥心と戦っているのである

(いくら色事に疎いと言われる私であっても、年頃の女性に、このシチュエーションは辛いし、やっぱり恥ずかしい。こんなことなら私もナイフを持ってくるべきだった…私だったら、こんなもの一気に、一気、、あ!)

「あのぉ、丁寧にしてくれるのはありがたいのですがこのままだと終わりが見えないので、一気にザクっとつるを切ってしまって構いませんよ」
「しかし、クローネ嬢の足に傷がつく可能性が…」
「け、剣術の時に付いた傷もあるので大丈夫です!(そりゃあ、剣使う時についた傷は今回のために今は魔能力で隠してるから見えないだけで…今はこの状態が恥ずかしい////)」
「「……」」
「あまり、身体を痛めつけない方がいいですよ…」
「一応女なんだから大切にした方がいいぞ…」

何故か呆れと苛立ちを混ぜたような感情を向けられている気がする…

「まぁこのままだと埒が開かないのは確かだしな」
「そうだねぇ…じゃあ "せーの" で切ろう。キルは右からね」
「りょかーい」

少し位置を動かして2人が屈んで、ナイフをつるの一番上に引っ掛けた、ナイフの部分が、自分の皮膚に当たり少しひんやりとした感触が左右から伝わってくる。良い位置に、当てたら刃の先端をつるに食い込ませて、

「いくよ、せーのっ」

掛け声をかけたセシル様とともに、キルも、一気にナイフを振り下げた。すると左右からの攻撃によってなのか、つるはパラパラと灰となって消え去っていった。いつの間にか全てが消え去っていたのを見て、消えたことに私は安堵した

「ありがとう。二人と、も?」
「…」

お礼を言おうとしたが、なぜか2人は恐怖と驚きが入り混じったような目で私の足を見ていたので、私も目線を下に下げると、

片足が黒い紋章のようなものが浮かび上がっている。しかも、それはつるが侵入してきたところまで伸びているため片足を覆っている。それを目視した瞬間、片足から、もう一つの片足へ、腹、心臓、顔と体全体を駆け巡るような熱を感じた。

(あつい、あつい、いやでもかゆい…かゆい?どう、なって。そんなことより何かを出したい、この熱を出したい、熱い、暑い、あつい、あつい、、、)

「あ、 つ  ぃ」

まるで体の中から血が沸騰しているような、撫でられてるような、そんな奇妙な感覚にとらわれながらも、早く体の中から熱を追い出したいと言う欲求だけが頭の中を巡った。平衡感覚が保たれなくなって立つことさえ危うく座り込んでしまう。地面が冷たくて気持ちいいように思えて。でも、倒れたくなくて、とっさに、手をついて体を支えた。

「おい、メル!どうした」
「今医者に指令を送ったからもうすぐ来るはずだよ。クローネ嬢暑いの?」

顔を上げると、視界があやふやながらぼんやりと2人が心配してくれているのが見えたが、それに応えようとするも、とっさに声が出なかった

(あつい、この熱をあげたい、あげる、だれ、か、)

視界と脳が混濁していく中で思考がまとまらず、冷静に分析すると言う理性など残っていなかった。
心配そうにして片足をついて、私の頬に手を沿わせて体温の確認をしつつ、上を向かせていたセシル様が目に入った。それを数行間、ボケと見続けていた
ゆったりと動いて、そっと近づき

「んっ、」

できるだけ熱がセシル様に渡って欲しいと思い自分の腕を、彼の首に回して強くキスをした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...