愛の檻

瑠花

文字の大きさ
上 下
11 / 15

ダンス 初めての出会い

しおりを挟む
「この度は新しく学園にきたみなが集まったことを嬉しく思う。これから、そなたらがどんな成長を遂げてどんな道はそなたら自身で変わっていくくれぐれも悔いはない様に。では、乾杯!」

「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」

それからは、同級生達や古くからの友人と喋った。和気藹々と喋っていたら時間はあっという間で音楽が流れて来た。ダンスの始まりを知らせている。

「ねぇ、誰を誘う?てか、誘ってもらうのを待つ?」
「いや、私は婚約者と踊るのが決まってるし」

「おい、お前あの人誘えよ。俺は隣の人と踊りたい」
「はぁ?お前なぁ…自分で行けよ」

「王子達に誘われないかなー。そのためにダンス完璧にしたのにぃ」
「あんたなんかの爵位じゃ踊る意味ないじゃない」

みんな誘いたい人や誘いたい理由があるらしい。
さっきまで喋っていた中にも踊りたい人の元へ行った友人達もいれば、残った人達もいる。

「メルビンは誰かと踊る?」
「うーん…ダンスかぁ。誘われたらかな、久しぶりだし足踏むかもだけど」
「メルビン様は運動神経いいので大丈夫では?」
「ダンスと武術とかって違うんじゃない?繊細さが」
「確かに繊細さはないな」

あはは、と効果音がしそうなほど笑っているが事実なのであまり言い返せない。戦闘向きなことはできることがほとんどだが、淑女のようなことを覚えるのはとても時間がかかった。まだ勉強をしていた方がマシだった。そんなことを思っている間にもどんどんと減っていく、その為かさっきまで喋っていた人もまた一人と誘われて減っていく。

「こんばんは」

左手には白い液体が入ったワイングラス、おそらくは中身もワイン。右手にはサイダーのようなシュワシュワしている飲み物を持っていた。相手は仮面を被っていた。ということは、大人だろう。学園内のパーティだが交流がほしいと外からも来るが、学園外の人は仮面をつける決まりがあるが大体の人は貴族だ。

「こんばんは。ニコラス・テイラー公爵、お初にお目にかかります」
「あぁ、父と兄にはあったことがあるようだね。こちらこそ、不躾にすまないね。メルビン・クローネ嬢、よかったら飲むかい?」

右手に持っていたソーダのような物を前に出して飲むように促して来た。

「ありがとうございます」

実はソーダ、というか飲み物にあまり関心がなかった。だから、普段は水ばかり飲んでいるので新鮮だ。

(あ、美味しい。しかもめっちゃ好みな味)

美味しさに感動しつつ相手の出方を伺った。



なぜか何も話さないのに隣に居続けられた。
テイラー公爵たちとは、話したことがあるが、ニコラス殿とは話したことがなかった。
何かを話すにしてもなぜ近くにいるのかがわからない。そんな感じでウダウダと思考を巡らせると

「踊りましょうか」
「え……」

突然喋ったかと思うと腕を引っ張られ中央まだやってきてしまった

「え…あの、ニコラス殿、私ダンスはあまり」
「えぇ、別に大丈夫ですよ。慣れてますから」
「それは…どういう…?」

突然のことすぎて頭が回らず謎ばかりが貯まるがそんなことを考える事を許さないかのように音楽が鳴り始めた

      ~~~♪~~~♫~~

私は今とても驚いている…ダンスが中盤に差し掛かっている今の今まで、まだ一回もニコラス殿の足を踏んでいないからだ
普通だったら二、三回踏んでしまうことが多々あるが踏んだことないのは、たまに練習に付き合ってくれるお父様やレミ、ニックくらいと少数だ

(やはり場数を踏んでいるだけあって慣れているのかしら…)

中盤に入り曲が軽やかになってゆきグルグルと回る人が多くなってきている。

「回ってみますか?」
「え…?」
「私とのダンスを一切見ずに他の方ばかり見ておられるようなので」

少し怒っている気配を載せつつも笑顔でそう言われてしまった
確かに、あまり人前で踊るという体験をしたことがなかったからかなんだか別世界に迷い込んだ気分だ

「…おねがい、します」

なんだか頼むのが恥ずかしくて、子供っぽいことのように思えて俯いてしまう
その答えに満足したのか、ニコラス殿はより笑顔を増してルンルンと踊り出した

最初からくっついて踊っていたのだが、曲に合わせて

手を離し 回転 戻って 手を合わせて くっついて 少し歩いて 
手を離して また回転 戻って……

おんなじことを繰り返しているが回っている間も新しい景色を見ている気分でワクワクしてくる。そんな気分に釣られてついつい笑顔をこぼしてしまう。
楽しい時間はあっという間で音楽が止むかのように、音が小さく、小さくなり止まった

お互いに片手を離しお辞儀をした。顔を上げるとお互いの顔が正面にあった

「どうでしたか?」
「あまりこういうことをやったことがなかったので新鮮でした!」
「それは良かった…」

次のダンスが始まるため他所に避けようとした
もう一度礼をして

「お誘いくださりありがとうございました。今宵、ニコラス殿もお楽しみください」

そう言って私はさっき踊っている最中に見つけたキルの元へと歩いた


「あぁ、存分に楽しいよ 君のおかげでね」

そう言って去っていく姿を愛おしげに見られていることを私は知らない
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。 *R18は告知無しです。 *複数プレイ有り。 *逆ハー *倫理感緩めです。 *作者の都合の良いように作っています。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~

ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。 ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。 一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。 目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!? 「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。

aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。 生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。 優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。 男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。 自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。 【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。 たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。

処理中です...