愛の檻

瑠花

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いざ!お披露目会

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《sideキルシュ》
小さい頃から舞踏会やらお披露目会やらに出てきてはいるが、学園入学初めてのお披露目会となると緊張もする、しかもエスコートする人がいるとなれば尚更…

「さっきぶり、キル」

冗談めかした言葉をして出てきたのはメルとその妹だった。が、いつもの見慣れている制服などではなく上品なドレスを着ていた。

「こんばんは。セシル様」
「お久しぶりです、セシル様。しっかりと話すのは初めてですね。クローネ家が次女のレミール・クローネと言います」
「あぁ、グリム家が長男のキルシュ・グリムだ。メル…メルビンとは同じクラスなんだ。今後ともよろしく頼む」
「そうですか…」

なぜか少しレミール嬢の空気が、冷たくなっている気がする…ではなく冷たかった。

(やはり、姉妹で仲がいいというのは本当だな。姉との時間が奪われるのが嫌なんだな)

冷気にあたりながらも少しホッコリした。

「やぁ!久しぶりだねぇ。メルビン嬢、レミール嬢。じゃあ行こうか時間も迫ってきてるし」
「あぁそうだな」

そう言って俺は丸に手を出した。そしたら、なぜか笑って手を取られた。

「なんで笑ってるんだ?」
「いや、なんか似合わないなーって」

笑うのを堪えようとして堪えられていない様な笑みを浮かべている。そんなやりとりをしてみんな進み出した。

馬車に揺られて数分が過ぎようとしていた。馬車は基本的に四人乗りだが手を引いて二人で乗り込んだからかメルとキル、レミとセシルとなっていた。

《馬車:メルビンとキルシュ》
「そこでさ、…ここが、……」
「あーわかるわ。そこなんだよな…、…」
「これがよくって…」
「こっちも……、そうそれ…」

と、学校のことやパーティのこと、最近ハマったことなど色々と話していた。

「ヴィリオ先生って細身なのに剣を振るう時の軸が変わらないの。やっぱり筋肉の付け方とかなのかな。魔能力を使っても強かったけど使わなくても強かったんだよね」
「それは俺も思った。しかも、植物とか人の身体の構造も把握してるらしいぞ」
「前も授業の分からないところ聞いたらわかりやすい説明で返してくれたし」
「まぁ、実は王家の家庭教師だったとか陰の部隊の一人だとか言われてるくらいだからな。陰の部隊なんて王家直属の暗殺者とか言われてて、それもあるかどうかなんて俺らには分からないけど」
「そんなところがミステリアスで素敵って人気も高いけどねw」

この調子で喋り続けていた。

《馬車:セシルとレミール》
「……」
「……」

なんで私はこんな所にいなくちゃいけないの。本当なら姉様と一緒の馬車になるはずだったのにっっ。
あのキルシュ・ダンテとかいう男もなに馴れ馴れしく“ メル ”って、しかもクラスが違うから姉様の様子を見に行けないことをいいことに仲良くなってるし…

「レミール嬢、そんなに嫌そうな顔をしないで睨みつけないでくださぁい」
「あら~、なんのことですの?睨み付けてなどいませんわ」

ふふふ、と笑って見たが昔のなんかの舞踏会で見た時と変わらず笑顔がキモい。顔だけが取り柄なのだからせめても見える顔をしてほしい。

「ねえ、君の姉さんの好きなものはなにかな?」
「はぁ?…」

は?なに言ってるのこいつ……

「最近少し喋るようになったんだけど、あまりキルほど打ち解けられないから、何か共通の話題をもっと見つけてみようと思って」
「逆に私があなたに教えなくてはいけない理由がありますか?あなたに塩を送る趣味はありません」

私は威嚇しながら、言い放った。まだ敬語を取ってないだけまじだと思ってほしい。

「いいじゃないか、僕と仲良くなるとメリットもあるよ。普通だったら喜んで飛びつくのに」
「その代わり姉を婚約者に捧げるなんてことしたくありません。」

こっちもこっちでこんな感じで話が進んでいた。
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