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戦いの産物
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そんなことを考えている間にも、相手は的確に体勢を崩そうと剣を振るってくる。
(確かにクローネ家は、武に重きを置いていたな…。この太刀筋は、ご令嬢にしてはいいな、珍しい。)
その瞬間、今の距離より少し離れたかと思うと、剣を下に構えてから近づき、振り上げた。俺は、いきなりのとこに対応できず咄嗟に剣で守ろうとしたが…
(かかった)
令嬢はニヤリと微笑んでいた気がした。
俺の剣は弾かれ空を飛び遠くの地面へと落ちた。
取りに行くと言う思考をする前に身体を動かそうとした。その間にも、剣は振るわれ続けた。
(流石にこれだけではキルシュ様も動揺はしてくれないか…だけど、剣を拾われる前に体の一部を地面につければっっ)
「【剣よ】」
と言って戦いの際にできた治りかけの擦り傷から剣を創った。
その際令嬢は一瞬動揺した。その隙をついて一気に距離を詰めて剣を突き出したが、向こうはそれを見据えて避けようとしたが、少しだけ剣が掠った。しかも、体勢が不安定だったのもあるのか、一気に力を込めて押すと令嬢は倒れた。
「勝負有りですね。」
勝者はキルシュ・ダンテだ
「そこまで!!」
そこで模擬戦の終わりを告げる声が聞こえた。
「大きな怪我を負ったものは…いなそうだな。それでは今日はこれで解散、各自戻るように。」
と締め括った。
近くまで寄って手を差し出した。
「いい経験になりました。ありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ。よく舐められた態度でくる人が多いのですが真剣に戦ってくれて嬉しかったです」
と、微笑んでから手を握り令嬢は立ち上がった。
それから少しはにかんで、少しむかれながら、
「まさか剣を取りに行くフリをして、創り出すとは思いませんでした。」
「いえ普段はできないでしょうね。自分の血を大幅に消耗するし、今回はあと数分で終わることがわかっていたからできた技だな。あ…」
「すみません、敬語が抜けてしまいました。」
(ヤバい…血を使いすぎたからか思考がフラフラする…)
「ふふ…大丈夫です。それならこの際、敬語をやめましょう!剣を交えた仲ですし。私のことはメルビンで構いませんよ。」
「それなら言葉に甘えて…これからまぁよろしくメルビン。俺のことはキルシュでもキルでもいい。てか、お前も敬語外せば?」
「あ…そうですね。じゃなくて、そうだね。うん、なんか新鮮。」
と、和やかに笑っている。それがなんだか綺麗に見えてなんだか甘い匂いがした気がした。
《sideメルビン》
久々に身体が疲れたと悲鳴をあげている気がするが、それとは別に心は満足していた
(いつもは基本、お父様の護衛かお父様くらいだから手加減される。まぁ令嬢はあまり剣術は扱わないのだけれど…それにしたって久々に気を張って疲れたぁ)
と思いつつ服を着替えて制服に戻る。少し血を出した為血生臭いが治るのを待つしかないと思いつつ、家へ向かうための馬車へ向かった。
「お疲れ様ですお嬢様。」
と思っていたら、いつのまにか馬車の前へ来ていた。
そこには、5年前から仕えてくれている従者が待っていた。
「別に外で待たなくてもいいわ。ていうか、疲れるでしょうに…」
「いえ、1秒でも早くお嬢様に会うためなら、疲れることなどありませんのでお気になさらず。」
「あぁ、そう…」
前から同じ会話を手の指が足りなくなるほどやっているのでいい加減諦め、馬車に乗り込また従者も乗ってきた。
「そんなことより、お嬢様はなぜ怪我をなさっているのですか?」
と、馬車が動き始めると同時に少し不機嫌そうに聞いてきた。
「そう!聞いて!今回の授業が…」
と私は勢いよく喋り始めた。私が話せば話すほど向こうは不機嫌になっていった。
(なんで学校の授業でこんなにも不機嫌なの?学校のことを喋るたびにこうなっている気がするけど…)
「つまりは、その模擬戦をした相手にその傷は負わされたのですね。」
「まぁそうだけど…そこじゃなくて」
「まさか、その血を飲ませてはいませんよね。」
と、怖いくらいに笑っていない綺麗な顔を近づけて、手を顔の横に寄せてきた。顔が触れそうで少し動けば当たってしまいそうだ。
(なんでそんなところに話題がいくのよ…)
「そんなことになるはずないでしょ。」
と、呆れと睨みを混ぜて言ってやった。
すると、さっきの顔が嘘かのように綻ばせ微笑んでいた。奥に何かを隠しているように見える、私はたまに思うがこの顔が苦手に思える。
「さぁ、とりあえず離れて、邪魔」
と言ったら逆に近づいてきて傷口を舐められた。
「そうですよ。ダメですから、他の男が近付くのだって嫌なのに、お嬢様は…」
やはり、あの顔は苦手だ。
(確かにクローネ家は、武に重きを置いていたな…。この太刀筋は、ご令嬢にしてはいいな、珍しい。)
その瞬間、今の距離より少し離れたかと思うと、剣を下に構えてから近づき、振り上げた。俺は、いきなりのとこに対応できず咄嗟に剣で守ろうとしたが…
(かかった)
令嬢はニヤリと微笑んでいた気がした。
俺の剣は弾かれ空を飛び遠くの地面へと落ちた。
取りに行くと言う思考をする前に身体を動かそうとした。その間にも、剣は振るわれ続けた。
(流石にこれだけではキルシュ様も動揺はしてくれないか…だけど、剣を拾われる前に体の一部を地面につければっっ)
「【剣よ】」
と言って戦いの際にできた治りかけの擦り傷から剣を創った。
その際令嬢は一瞬動揺した。その隙をついて一気に距離を詰めて剣を突き出したが、向こうはそれを見据えて避けようとしたが、少しだけ剣が掠った。しかも、体勢が不安定だったのもあるのか、一気に力を込めて押すと令嬢は倒れた。
「勝負有りですね。」
勝者はキルシュ・ダンテだ
「そこまで!!」
そこで模擬戦の終わりを告げる声が聞こえた。
「大きな怪我を負ったものは…いなそうだな。それでは今日はこれで解散、各自戻るように。」
と締め括った。
近くまで寄って手を差し出した。
「いい経験になりました。ありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ。よく舐められた態度でくる人が多いのですが真剣に戦ってくれて嬉しかったです」
と、微笑んでから手を握り令嬢は立ち上がった。
それから少しはにかんで、少しむかれながら、
「まさか剣を取りに行くフリをして、創り出すとは思いませんでした。」
「いえ普段はできないでしょうね。自分の血を大幅に消耗するし、今回はあと数分で終わることがわかっていたからできた技だな。あ…」
「すみません、敬語が抜けてしまいました。」
(ヤバい…血を使いすぎたからか思考がフラフラする…)
「ふふ…大丈夫です。それならこの際、敬語をやめましょう!剣を交えた仲ですし。私のことはメルビンで構いませんよ。」
「それなら言葉に甘えて…これからまぁよろしくメルビン。俺のことはキルシュでもキルでもいい。てか、お前も敬語外せば?」
「あ…そうですね。じゃなくて、そうだね。うん、なんか新鮮。」
と、和やかに笑っている。それがなんだか綺麗に見えてなんだか甘い匂いがした気がした。
《sideメルビン》
久々に身体が疲れたと悲鳴をあげている気がするが、それとは別に心は満足していた
(いつもは基本、お父様の護衛かお父様くらいだから手加減される。まぁ令嬢はあまり剣術は扱わないのだけれど…それにしたって久々に気を張って疲れたぁ)
と思いつつ服を着替えて制服に戻る。少し血を出した為血生臭いが治るのを待つしかないと思いつつ、家へ向かうための馬車へ向かった。
「お疲れ様ですお嬢様。」
と思っていたら、いつのまにか馬車の前へ来ていた。
そこには、5年前から仕えてくれている従者が待っていた。
「別に外で待たなくてもいいわ。ていうか、疲れるでしょうに…」
「いえ、1秒でも早くお嬢様に会うためなら、疲れることなどありませんのでお気になさらず。」
「あぁ、そう…」
前から同じ会話を手の指が足りなくなるほどやっているのでいい加減諦め、馬車に乗り込また従者も乗ってきた。
「そんなことより、お嬢様はなぜ怪我をなさっているのですか?」
と、馬車が動き始めると同時に少し不機嫌そうに聞いてきた。
「そう!聞いて!今回の授業が…」
と私は勢いよく喋り始めた。私が話せば話すほど向こうは不機嫌になっていった。
(なんで学校の授業でこんなにも不機嫌なの?学校のことを喋るたびにこうなっている気がするけど…)
「つまりは、その模擬戦をした相手にその傷は負わされたのですね。」
「まぁそうだけど…そこじゃなくて」
「まさか、その血を飲ませてはいませんよね。」
と、怖いくらいに笑っていない綺麗な顔を近づけて、手を顔の横に寄せてきた。顔が触れそうで少し動けば当たってしまいそうだ。
(なんでそんなところに話題がいくのよ…)
「そんなことになるはずないでしょ。」
と、呆れと睨みを混ぜて言ってやった。
すると、さっきの顔が嘘かのように綻ばせ微笑んでいた。奥に何かを隠しているように見える、私はたまに思うがこの顔が苦手に思える。
「さぁ、とりあえず離れて、邪魔」
と言ったら逆に近づいてきて傷口を舐められた。
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やはり、あの顔は苦手だ。
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