恋まで0センチメートル

高羽流生

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「……うん」

「足、開いて」

 頷いて、そろそろと足を開く。覆いかぶさってきた伊織が、細長い袋の端を開けた。とろりとした液体が後孔に垂らされる。

「んっ……」

(くすぐったい)

 後孔の皺に液体を塗りつけられる。くるくると円を描くみたいに後孔を撫でられて、雄大はキュッと瞼を閉じた。

 自分で試してみたときにはあまり気持ちよくなれなかったが、人にされたら、少しはよくなるのだろうか。

「雄大。……練習、あんまよくなかったんだろ? 二本だっけ、入れたの」

「うん。でも結構きつくて……」

 伊織がしたいと言ったから、――まあ、雄大自身もしてみたいと思ったのだけれど――だから練習した。けれど、異物感が勝っていて、あまりいいものだとは思えなかった。とりあえず二本まではなんとか入るようになったけれど、感覚は変わらないままだ。

「じゃ、いいとこ、わかんないままか」

「そう、だけど……、ぁっ……」

「そっか。……悪いけど、ちょっと頑張って」

「へ? あ、あぁっ……」

 離している途中で、つぷりと指先が中に入ってきた。ほんの少し入ってきた指が抜けて、また中に入ってくる。そうして抜き差しされた伊織の指はだんだんと雄大の奥へと進んできた。

「ん、んぅ……」

(なんつーか……)

 身体の中に異物が入ってくる感覚。一人でした時にもこんな感じだった。気持ち悪い、とまでは言わないが、気持ちいいとは思えない。ぞわぞわするし、変化感じだ。

「痛いか?」

「だい、じょうぶ」

 こんな状態で、気持ちよくなれるのかな、と思っていた時、ぺろりと屹立の先を舐められた。

「あっ、ちょ、伊織っ……、あ、あぁっ……」

 屹立の先を口の中に取り込まれる。生暖かい舌が、先のほうに絡みついてきて、慣れた快感に腰が揺れた。屹立を舐めしゃぶりながら、伊織は中の指を動かしてくる。根元まで咥えられた雄を吸いながら引き出されて、きゅうと尻の中が締まった。

「ん、ぁ……、は、ぁっ……、な、に……?」

 指の腹で中の壁を押されて、尻に力が入る。

(なんか、今……)

 ぞわりとした感覚が、強くなった。弄られていた中、伊織の指先が当たっているところだけ、何となくではあるが刺激が増している気がする。

「……ここか」

「え? 何?」

「……雄大。ちょっとだけ、我慢な」

「あ、あぁっ……、ま、やだっ……、いおりっ……」
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