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10章
1話 【卑弥呼リボーン】
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希和はこの年の十二月、十三歳の誕生日を迎えた。
かつて、イヨが即位したのと、同じ年齢だった。
夜半からの大粒の雪が止み、空には七色の雲が棚引いていた。希和の家の脇にある電線には、スズメをはじめとして、おびただしい数の、色んな種類の鳥たちが集まっきていた。
何かの天変地異の前ぶれだろうか?
いつものように、希和はトヨとともに、白妙族に代々伝わる神棚の前で、朝食前の長い長い祈りに入っていた。突然、希和は右の大腿部を押さえ、
「アッ……ツゥ……痛い……」
と、トヨに訴えた。トヨが急いで、希和の右の大腿部を確かめようと、制服のスカートをめくると、そこには、
苦悲の世に
咲く白き花
黒を浄め
希むは和なり
ミミズ腫れのような、紅い文字が浮き出ていた。それを見たトヨは、
「これは……印?」
と、つぶやいた。
白妙族には代々、卑弥呼さまの再来の者には、身体のどこかに"印"が表れると言い伝えられていた。
「希むは和なり……希…和…?」
その文字を見て、トヨは息を飲んだ。
と、見る見るうちに、希和は大きな白い光に包まれたかと思うと、金色の後光が差し、神神しいまでに光り輝いた。
トヨは、膝をついたまま、三歩後ろへ下がり、胸の前で合掌した両手を震わせながら、
「お帰りなさい。女王さま」
と、希和に向かって言った。
かつて、イヨが即位したのと、同じ年齢だった。
夜半からの大粒の雪が止み、空には七色の雲が棚引いていた。希和の家の脇にある電線には、スズメをはじめとして、おびただしい数の、色んな種類の鳥たちが集まっきていた。
何かの天変地異の前ぶれだろうか?
いつものように、希和はトヨとともに、白妙族に代々伝わる神棚の前で、朝食前の長い長い祈りに入っていた。突然、希和は右の大腿部を押さえ、
「アッ……ツゥ……痛い……」
と、トヨに訴えた。トヨが急いで、希和の右の大腿部を確かめようと、制服のスカートをめくると、そこには、
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咲く白き花
黒を浄め
希むは和なり
ミミズ腫れのような、紅い文字が浮き出ていた。それを見たトヨは、
「これは……印?」
と、つぶやいた。
白妙族には代々、卑弥呼さまの再来の者には、身体のどこかに"印"が表れると言い伝えられていた。
「希むは和なり……希…和…?」
その文字を見て、トヨは息を飲んだ。
と、見る見るうちに、希和は大きな白い光に包まれたかと思うと、金色の後光が差し、神神しいまでに光り輝いた。
トヨは、膝をついたまま、三歩後ろへ下がり、胸の前で合掌した両手を震わせながら、
「お帰りなさい。女王さま」
と、希和に向かって言った。
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