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第8章
10話【白✖️黒の闘い】
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黒柳は、担任と生徒たちから集めた憎しみや恨みなどの、未だ残っていた負のエネルギーを、再び希和に送ってきた。
その負のエネルギーは、なんとも言えないほどドス黒く気味の悪い"気"で、希和の心へと強制的に送られてきた。
それらは、担任を優しい良き先生と慕い、クラスメートたちを、朗らかで元気な仲間と信じてきた希和の思いが、ことごとく覆されるような真実だった。
皆、悩み苦しみ、よく言えば人間味に溢れていた。
希和は、そうした身近な人間の過ちを、非難しそうになったことを恥じた。非難すべきは自分の狭い心であると、気付いたのだった。
その悩みや苦しみと日々葛藤し、一生懸命生きている姿を透視し、希和は胸が苦しくなった。
大粒の涙が希和の頰をつたっていった時、一瞬、希和に後光が差した。
それと同時に、担任と生徒たちの、憎しみや恨みといった負のエネルギーが砕け散って、スゥーッと消えていった。
希和のシロのシャーマンとしての力と新たな悟りにより、負のエネルギーが浄化されたのだった。
希和を打ちのめし、国を意のままに動かそうとした、クロのシャーマンである黒柳は、その企みが失敗に終わり、父親から折檻を受けていた。
「この無能者めが! あんな小娘一人、倒すこともできないのか!」
黒柳の父親である、ひと回りも大きな真っ黒い狐の、銀色な目が怒りで光ると、
「ギャーーーッ!」
と、黒柳は痛みで大声を上げた。
ー失敗した者は制裁を受けるー
これが、黒弧族の掟だった。
希和やトヨのように、お互いに肉親をいたわり思いやる白妙族とは、まるで対照的だった。
翌日、黒柳は学校を欠席した。体調が悪いからと、父親から連絡が入ったらしい。
希和は、昨日の出来事を知っているだけに、思いは複雑だった。心根が優しい希和は、敵ではあるが、本人が望んだわけではないのに、そういう境遇に生まれてきた黒柳に同情した。
トヨのように、様々な体験を重ねて、「悪いものは悪い」と、ドライに切り捨てることが出来るようになるには、もう少し年月が必要だった。
その負のエネルギーは、なんとも言えないほどドス黒く気味の悪い"気"で、希和の心へと強制的に送られてきた。
それらは、担任を優しい良き先生と慕い、クラスメートたちを、朗らかで元気な仲間と信じてきた希和の思いが、ことごとく覆されるような真実だった。
皆、悩み苦しみ、よく言えば人間味に溢れていた。
希和は、そうした身近な人間の過ちを、非難しそうになったことを恥じた。非難すべきは自分の狭い心であると、気付いたのだった。
その悩みや苦しみと日々葛藤し、一生懸命生きている姿を透視し、希和は胸が苦しくなった。
大粒の涙が希和の頰をつたっていった時、一瞬、希和に後光が差した。
それと同時に、担任と生徒たちの、憎しみや恨みといった負のエネルギーが砕け散って、スゥーッと消えていった。
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希和を打ちのめし、国を意のままに動かそうとした、クロのシャーマンである黒柳は、その企みが失敗に終わり、父親から折檻を受けていた。
「この無能者めが! あんな小娘一人、倒すこともできないのか!」
黒柳の父親である、ひと回りも大きな真っ黒い狐の、銀色な目が怒りで光ると、
「ギャーーーッ!」
と、黒柳は痛みで大声を上げた。
ー失敗した者は制裁を受けるー
これが、黒弧族の掟だった。
希和やトヨのように、お互いに肉親をいたわり思いやる白妙族とは、まるで対照的だった。
翌日、黒柳は学校を欠席した。体調が悪いからと、父親から連絡が入ったらしい。
希和は、昨日の出来事を知っているだけに、思いは複雑だった。心根が優しい希和は、敵ではあるが、本人が望んだわけではないのに、そういう境遇に生まれてきた黒柳に同情した。
トヨのように、様々な体験を重ねて、「悪いものは悪い」と、ドライに切り捨てることが出来るようになるには、もう少し年月が必要だった。
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