イマワノキワ -その時に私を呼んでー

たまひめ

文字の大きさ
上 下
47 / 57
第8章

9話 【白✖️黒の闘い】

しおりを挟む
『えっ? 黒弧族が……』
 希和は我に返った。それと同時に、担任とクラス全員が、気を失って倒れた。
 倒れないで残っていたのは、シロのシャーマンである忌野希和いまわのきわと、クロのシャーマンの末裔の黒柳白斗くろやなぎはくとだけだった。
 希和がシャーマンとしての力を使って視ると、担任と生徒たちの心の中に眠っている、恨みや憎しみなどの負のエネルギーを集約し、操っているのが黒柳だとわかった。
 トヨの遠隔からの助言で我に返った希和は、全身が真っ黒な毛で覆われ大きな尾を持ち、銀色に妖しく光る目をした狐の姿の黒柳を見た。黒柳の本当の姿を見破ったのだ。
「チッ、もう少しで、シロのお前の力を半減することができたのに」
 黒柳は目を吊り上げ、希和を睨みつけながら、悔しそうに言った。
 黒弧族は、人の憎しみや恨みが大好物なので、担任や生徒たちを利用して、希和の心の奥に潜む心を呼び覚まし、白妙族のシャーマンが持つ正義の力を弱めようとしたのだった。
「でも、まあいい。お前は、人間の心の闇の部分を見ようとしない。エセ正義感を気取った半人前だ!」
 希和の弱点を巧みに突きながら、なおも、
「忌野さん、知っているか? "卑弥呼の名の表記の仕方を変えて、捏造した"のは、実はオレたちの先祖だ」
 と言って、黒柳は希和の動揺を誘おうとした。
「卑弥呼は、我々黒弧族ではなく、白妙族を後継者として選んだ。だから、オレたちの先祖は卑弥呼に一矢いっしを報いるため、彼女の名前をおとしめるものに変えて、後世に伝えたんだ」
 黒柳は、自分の衝撃の告白によって驚いている希和の様子を、面白がって眺めた。
「卑弥呼の本当の名前を知りたいか? 実はオレも聞いていないから知らないんだ」
 と、ニヤニヤしながら嘘をついた。
 黒柳は、卑弥呼の本当の名前を父親から聞いていたが、それは切り札となりうる情報なので、希和には悟られないようガードした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

優等生の裏の顔クラスの優等生がヤンデレオタク女子だった件

石原唯人
ライト文芸
「秘密にしてくれるならいい思い、させてあげるよ?」 隣の席の優等生・出宮紗英が“オタク女子”だと偶然知ってしまった岡田康平は、彼女に口封じをされる形で推し活に付き合うことになる。 紗英と過ごす秘密の放課後。初めは推し活に付き合うだけだったのに、気づけば二人は一緒に帰るようになり、休日も一緒に出掛けるようになっていた。 「ねえ、もっと凄いことしようよ」 そうして積み重ねた時間が徐々に紗英の裏側を知るきっかけとなり、不純な秘密を守るための関係が、いつしか淡く甘い恋へと発展する。 表と裏。二つのカオを持つ彼女との刺激的な秘密のラブコメディ。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

神楽鈴の巫女

ゆずさくら
ライト文芸
ある日、知世のクラスに転校生がやってくる。その転校生は、知世が昨日見た夢に出てきた巫女そっくりだった。気が動転した知世は、直後のある出来事によって転校生と一緒に保健室に運ばれてしまう。転校生は、見かけはいたって普通の女子高校生だが、実は悪と戦う巫女戦士だったのだ……

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

Husband's secret (夫の秘密)

設樂理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

女難の男、アメリカを行く

灰色 猫
ライト文芸
本人の気持ちとは裏腹に「女にモテる男」Amato Kashiragiの青春を描く。 幼なじみの佐倉舞美を日本に残して、アメリカに留学した海人は周りの女性に振り回されながら成長していきます。 過激な性表現を含みますので、不快に思われる方は退出下さい。 背景のほとんどをアメリカの大学で描いていますが、留学生から聞いた話がベースとなっています。 取材に基づいておりますが、ご都合主義はご容赦ください。 実際の大学資料を参考にした部分はありますが、描かれている大学は作者の想像物になっております。 大学名に特別な意図は、ございません。 扉絵はAI画像サイトで作成したものです。

日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~

海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。 そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。 そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。

処理中です...