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第8章
6話 【白✖️黒の闘い】
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それは、あの希和の自転車を十回にわたってパンクさせた、棘林だった。棘林はどうやら、一番先に留美のチューリップを折った者だったようだ。
希和が見た透視の中に、留美の机を囲むように、グルリと数人の生徒が取り巻いていた。その生徒たちは、留美の机の上に飾られた、トヨが手作りしたチューリップの花を、意地悪そうな目をして睨んでいる。
その生徒たちの中で、棘林が先陣を切った。
「まったく! さっさと片付けて欲しくて何度も瓶を割ったのに、今度は希和のババァが作ったチューリップだとさ。センチメンタルすぎて、目障りなんだよ!」
と言いながら、棘林は一本のチューリップを手に取り、茎の部分を真っ二つにへし折ると、床に投げ捨てた。
それが合図となったらしく、他の生徒たちもそれに続いた。
「そうだ、そうだ。目障りだ」
「もう冬なんだよ。飾る花ないんだから、やめろ!」
「留美が気の毒だったのはわかる。けどもう、えこひいきはやめて欲しい」
そう言いながら、悦子を始めとする四人の生徒たちは、次々とチューリップを手にかけていった。
希和はその様子を透視すると、大変なショックを受けた。棘林からは、何度かイヤガラセを受けているのでわかるが、その他の生徒たちの言動までわかり、本当に信じ難かった。
希和が、五本全てのチューリップを拾い上げ、落ちていた缶に手をかけた時だった。
「棘林、よくやった!」
「悦子、そのチューリップを踏んづけろ!」
「もっとやれ、もっとやれ」
チューリップを折った生徒たちの背後で、別の生徒たちがヤイヤイとヤジを飛ばしている様子が、希和の頭の中に入ってきた。
希和は、その生徒たちの姿に、気を失いそうになった。
直接、花を折ったグループの背後にいるのは、みゆきを除く、希和のクラス全員だったからだ。
『どうして……どうして……。みんな、仲間だと思っていたのに。仲の良いクラスだと思っていたのに……』
同じクラスの生徒たちの裏切りに、希和の心の中には悲しみと同時に小さな憎しみが生じ始めていた。
希和が見た透視の中に、留美の机を囲むように、グルリと数人の生徒が取り巻いていた。その生徒たちは、留美の机の上に飾られた、トヨが手作りしたチューリップの花を、意地悪そうな目をして睨んでいる。
その生徒たちの中で、棘林が先陣を切った。
「まったく! さっさと片付けて欲しくて何度も瓶を割ったのに、今度は希和のババァが作ったチューリップだとさ。センチメンタルすぎて、目障りなんだよ!」
と言いながら、棘林は一本のチューリップを手に取り、茎の部分を真っ二つにへし折ると、床に投げ捨てた。
それが合図となったらしく、他の生徒たちもそれに続いた。
「そうだ、そうだ。目障りだ」
「もう冬なんだよ。飾る花ないんだから、やめろ!」
「留美が気の毒だったのはわかる。けどもう、えこひいきはやめて欲しい」
そう言いながら、悦子を始めとする四人の生徒たちは、次々とチューリップを手にかけていった。
希和はその様子を透視すると、大変なショックを受けた。棘林からは、何度かイヤガラセを受けているのでわかるが、その他の生徒たちの言動までわかり、本当に信じ難かった。
希和が、五本全てのチューリップを拾い上げ、落ちていた缶に手をかけた時だった。
「棘林、よくやった!」
「悦子、そのチューリップを踏んづけろ!」
「もっとやれ、もっとやれ」
チューリップを折った生徒たちの背後で、別の生徒たちがヤイヤイとヤジを飛ばしている様子が、希和の頭の中に入ってきた。
希和は、その生徒たちの姿に、気を失いそうになった。
直接、花を折ったグループの背後にいるのは、みゆきを除く、希和のクラス全員だったからだ。
『どうして……どうして……。みんな、仲間だと思っていたのに。仲の良いクラスだと思っていたのに……』
同じクラスの生徒たちの裏切りに、希和の心の中には悲しみと同時に小さな憎しみが生じ始めていた。
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