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第8章
5話 【白✖️黒の闘い】
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希和の中学校では、昼食は給食が支給されている。
基本的にはパン食だが、毎週水曜日だけは、"お米をもっと食べよう!"というスローガンのもと、家からおにぎりを持ってくることになっている。
その、おにぎりを持ってくる先日の水曜日の給食の時間、たまたま希和の隣の班で、斜め前に座っていた悦子の方へ目をやり、希和は"ギョッ"とした。
悦子がひと口食べたおにぎりからは、おびただしい数の髪の毛が飛び出していたのだった。それを見た希和は、そのおにぎりを握った人間の怨念を感じて、思わず目を背けてしまった。
その後、希和は心をブロックしてしまい、なぜ、そんなおにぎりを持って来なければならなかったのかは、承知していない。
だが、あのおにぎりから飛び出ていた、おびただしい髪の毛は、頭の中に画像として強烈に焼き付いている。
そう言えば、悦子と家が近いみゆきが、以前こんなことを言っていた。
「悦子の両親は、バツイチ同士の再婚なんだよ。悦子の姉と兄が母親の方の連れ子で、悦子は父親の連れ子なんだって」
と、希和に教えてくれた。さらにみゆきは、
「前に、悦子の家に遊びに行ったら、母親の連れ子で、悦子と血が繋がっていない姉と兄の部屋は、二階の日当たりの良い場所にあったけれど、悦子の部屋だけは三階の屋根裏にあって、天井が屋根の形どおりに斜めになっていて、西日が入る狭い部屋だったよ。それを見て、継母にすごい差別されているように見えた」
と、声をひそめて希和に話した。
悦子は、継母に疎まれるという家庭環境で育ったから、留美への手作りのチューリップを、バラバラにしてしまったのか……?
いや! そんな理由で許されることじゃない!
希和は色々な思いを抱えながら、次の折れたチューリップを拾った。
その瞬間、またそのチューリップを手に掛けた人物の映像が、頭の中に入ってきた。
基本的にはパン食だが、毎週水曜日だけは、"お米をもっと食べよう!"というスローガンのもと、家からおにぎりを持ってくることになっている。
その、おにぎりを持ってくる先日の水曜日の給食の時間、たまたま希和の隣の班で、斜め前に座っていた悦子の方へ目をやり、希和は"ギョッ"とした。
悦子がひと口食べたおにぎりからは、おびただしい数の髪の毛が飛び出していたのだった。それを見た希和は、そのおにぎりを握った人間の怨念を感じて、思わず目を背けてしまった。
その後、希和は心をブロックしてしまい、なぜ、そんなおにぎりを持って来なければならなかったのかは、承知していない。
だが、あのおにぎりから飛び出ていた、おびただしい髪の毛は、頭の中に画像として強烈に焼き付いている。
そう言えば、悦子と家が近いみゆきが、以前こんなことを言っていた。
「悦子の両親は、バツイチ同士の再婚なんだよ。悦子の姉と兄が母親の方の連れ子で、悦子は父親の連れ子なんだって」
と、希和に教えてくれた。さらにみゆきは、
「前に、悦子の家に遊びに行ったら、母親の連れ子で、悦子と血が繋がっていない姉と兄の部屋は、二階の日当たりの良い場所にあったけれど、悦子の部屋だけは三階の屋根裏にあって、天井が屋根の形どおりに斜めになっていて、西日が入る狭い部屋だったよ。それを見て、継母にすごい差別されているように見えた」
と、声をひそめて希和に話した。
悦子は、継母に疎まれるという家庭環境で育ったから、留美への手作りのチューリップを、バラバラにしてしまったのか……?
いや! そんな理由で許されることじゃない!
希和は色々な思いを抱えながら、次の折れたチューリップを拾った。
その瞬間、またそのチューリップを手に掛けた人物の映像が、頭の中に入ってきた。
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