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第8章
2話 【白✖️黒の闘い】
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次の日も、みゆきが登校すると、留美の机の上にある花瓶が倒れ、床に落ちていた。花は痛々しげに萎れ、花瓶代わりのジャムの瓶が割れていた。
希和はみゆきと一緒に、留美の机の下に、割れて散らばっている瓶のカケラを拾いながら、
「これは、絶対、偶然じゃないよね?」
と、お互い顔を見合わせて、頷き合った。
希和はあちこち探し回って、給食室の隅にあった牛乳瓶をもらって来て、それに花壇に残っている花を摘んで、再度飾った。
希和は、○○牛乳と印字された、口が欠けている、みすぼらしい牛乳瓶に飾られた花を見ながら、とても悲しい気分になっていた。
この中学校は、一学年一クラスだから、他の学年の生徒がやったとは考えにくい。かと言って、自分と同じクラスの仲間が、希和の親友であった留美の机の上に置かれた花瓶をワザと割ったとは、希和は絶対に考えたくなかった。そして、その割った理由も、希和は知りたくなかった。
そんな、希和の気持ちを逆なでするように、次の日も、牛乳瓶を花瓶に見立てた留美の花が、誰かの手によって、床の上に割れて転がっていた。
黒柳は、笑いが止まらないといった様子で、その割れた牛乳瓶を静かに片付けている希和を見ながら、ニヤニヤしていた。
『さあて、冷静を装っている"シロ"のイマワノキワさん。その平静さも、いつまでもつかな?』
黒柳は、心の中をガードするのを忘れることなく、面白がって眺めていた。
しかし不思議なことに、普通こんな状況が三日も続いたら、クラスの中からも「誰がやったのか?」とか、「○○がやったらしい」と噂が広まったりするのだが、異常なまでに、普段とまるで変わらなかった。
担任でさえ、クラス会の議題にも挙げなければ、注意することもなく、無関心を装っているように見えた。
希和はみゆきと一緒に、留美の机の下に、割れて散らばっている瓶のカケラを拾いながら、
「これは、絶対、偶然じゃないよね?」
と、お互い顔を見合わせて、頷き合った。
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希和は、○○牛乳と印字された、口が欠けている、みすぼらしい牛乳瓶に飾られた花を見ながら、とても悲しい気分になっていた。
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そんな、希和の気持ちを逆なでするように、次の日も、牛乳瓶を花瓶に見立てた留美の花が、誰かの手によって、床の上に割れて転がっていた。
黒柳は、笑いが止まらないといった様子で、その割れた牛乳瓶を静かに片付けている希和を見ながら、ニヤニヤしていた。
『さあて、冷静を装っている"シロ"のイマワノキワさん。その平静さも、いつまでもつかな?』
黒柳は、心の中をガードするのを忘れることなく、面白がって眺めていた。
しかし不思議なことに、普通こんな状況が三日も続いたら、クラスの中からも「誰がやったのか?」とか、「○○がやったらしい」と噂が広まったりするのだが、異常なまでに、普段とまるで変わらなかった。
担任でさえ、クラス会の議題にも挙げなければ、注意することもなく、無関心を装っているように見えた。
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