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第7章
3話 【ソウル・ドナーとの絆】
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希和は心持ち苦笑しながら、
「そうだね、ばあちゃん。皆この日本を良くしたいと思っている。だから、その流れは政治にもいくと良いね。もっともっと、日本中を覆っている空気がきれいになるよう、毎日、白妙族のシャーマンとして祈ろう! なあ、ばあちゃん!」
そう言った希和に、まだ薄いけれど綺麗な後光が差しているように、トヨには見えた。まさか? と思いながら目をこすり、
『十二歳にしては、かなりの苦労を強いられている。それらの苦労が、この短い期間に希和を鍛え、希和の人格を数段上げたのだろうか?……』
とトヨは、もうすぐ十三歳にはなるが、まだまだ子供だと思っていた、かわいいかわいい孫娘である希和の、大人顔負けの意見を聞いて、驚きながらも頼もしく感じた。
この年の一大イベントであった、日本の行く末を左右する選挙が十一月に行われ、半世紀もの間、与党として君臨してきた党が負け、政権交代が起きた。旧与党だった党に、何度か自浄を促す機会が与えられたにもかかわらず、その様子が見られないことに、国民は三行半を突き付けたのだった。
確実に変わりつつある日本の姿を、トヨは嬉しく思いつつ、日本を浄化しようとするたびに、それを邪魔しようとする勢力もまた、全力で立ち向かって来るのを感じ、気持ちを引き締めるのだった。
トヨは、自分にも言い聞かせるかのように、
「お前のクラスにやって来た、転校生である黒弧族の末裔は、最近大人しいようだっぺ。じゃが、あいつ等はずる賢いから、こうした平穏な時ほど、落とし穴にはまらぬよう気をつけるべよ」
トヨは、孫娘を案じてアドバイスをした。
「そうだね、ばあちゃん。皆この日本を良くしたいと思っている。だから、その流れは政治にもいくと良いね。もっともっと、日本中を覆っている空気がきれいになるよう、毎日、白妙族のシャーマンとして祈ろう! なあ、ばあちゃん!」
そう言った希和に、まだ薄いけれど綺麗な後光が差しているように、トヨには見えた。まさか? と思いながら目をこすり、
『十二歳にしては、かなりの苦労を強いられている。それらの苦労が、この短い期間に希和を鍛え、希和の人格を数段上げたのだろうか?……』
とトヨは、もうすぐ十三歳にはなるが、まだまだ子供だと思っていた、かわいいかわいい孫娘である希和の、大人顔負けの意見を聞いて、驚きながらも頼もしく感じた。
この年の一大イベントであった、日本の行く末を左右する選挙が十一月に行われ、半世紀もの間、与党として君臨してきた党が負け、政権交代が起きた。旧与党だった党に、何度か自浄を促す機会が与えられたにもかかわらず、その様子が見られないことに、国民は三行半を突き付けたのだった。
確実に変わりつつある日本の姿を、トヨは嬉しく思いつつ、日本を浄化しようとするたびに、それを邪魔しようとする勢力もまた、全力で立ち向かって来るのを感じ、気持ちを引き締めるのだった。
トヨは、自分にも言い聞かせるかのように、
「お前のクラスにやって来た、転校生である黒弧族の末裔は、最近大人しいようだっぺ。じゃが、あいつ等はずる賢いから、こうした平穏な時ほど、落とし穴にはまらぬよう気をつけるべよ」
トヨは、孫娘を案じてアドバイスをした。
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