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第5章
2話 【黒弧族】
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二学期の始業式の日のこと、職員室のほうから、一人の男子が慌てて走って来た。
「お~い、大変だぞ~。転校生だっ、転校生。男だ、イケメンだぞ~」
「え~~!」
イケメンと聞いて、一部の女子が奇声を上げた。
「転校生だなんて、久しぶりだね」
希和とみゆきは、色めき立っている一部の女子を、冷ややかに見つめながら言った。
しばらくすると、転校生が担任のあとに続いて教室に入ってきた。
身のこなしがスマートで、都会からの転校生であることは、ひとめでわかった。そして、この辺りには少ないハッキリとした顔立ちの、イケメンだった。
担任が、転校生の紹介を始めた。
「今日から仲間になった黒柳白斗くんです。お父さんのお仕事の都合で、我が校に転校されて来ました」
担任がそう言うと、転校生の黒柳にクラスメートに挨拶をするよう促した。
「こんにちは。黒柳白斗といいます。よろしく」
と、綺麗な標準語で挨拶をした。
そして、黒柳は少しだけ頭を動かすと、教室内のクラスメートを見回した。
この学校の制服は黒の詰襟なのだが、制服の準備が間に合わなかったのか、黒柳は、前の中学校の制服である紺のブレザーを着て来ていた。
黒柳は背が高く、それまでクラスで一番背が高かった男子を軽々と超してしまい、始業式では男子の列の一番後ろに並んだ。
希和は、ここ最近の出来事もあり、苦労が重なっていたので、表情や雰囲気が十二歳にしては大人びていた。
しかし、黒柳も、負けず劣らず大人びていた。時々見せるシニカルな表情が人を食ったような感じで、付け入る隙のなさを作っていた。
そんな黒柳を男子は興味深げに観察し、女子は隣の席の子と、
「カッコイイ」
「そんなことないよ」
などと、囁き合っていた。
希和は、そんなクラスメートとは違って、担任が黒板に書いた「黒柳白斗」という名前を見つめながら、『"白斗"なんて、変わった名前だなあ……』と思っていた。希和は自分が"白妙族"の人間なので、"白"という字には敏感に反応するのだった。
ふと、希和が視線を感じて見てみると、黒柳が希和を見つめていた。
目が合った瞬間、黒柳の口角が上がったように、希和には見えた。そんな様子を見逃さなかったみゆきが、希和をからかうように、
「さっき、黒柳くん、希和ちゃんを見てたよね。きっと、好きなタイプなんだよ。春がやってきたね。ヒューヒュー」
と、言うと、
「やだ、今は秋だよ」
と、下手なみゆきの突っ込みにボケながら、希和はみゆきと一緒に笑い合った。
この頃、朝夕の祈り、下校後の畑仕事、祖母には内緒のシャーマンとしての仕事と、希和は身体も心もクタクタだった。なので、こうした友人との何気ない、屈託のないやり取りに、とても癒されるのだった。
「お~い、大変だぞ~。転校生だっ、転校生。男だ、イケメンだぞ~」
「え~~!」
イケメンと聞いて、一部の女子が奇声を上げた。
「転校生だなんて、久しぶりだね」
希和とみゆきは、色めき立っている一部の女子を、冷ややかに見つめながら言った。
しばらくすると、転校生が担任のあとに続いて教室に入ってきた。
身のこなしがスマートで、都会からの転校生であることは、ひとめでわかった。そして、この辺りには少ないハッキリとした顔立ちの、イケメンだった。
担任が、転校生の紹介を始めた。
「今日から仲間になった黒柳白斗くんです。お父さんのお仕事の都合で、我が校に転校されて来ました」
担任がそう言うと、転校生の黒柳にクラスメートに挨拶をするよう促した。
「こんにちは。黒柳白斗といいます。よろしく」
と、綺麗な標準語で挨拶をした。
そして、黒柳は少しだけ頭を動かすと、教室内のクラスメートを見回した。
この学校の制服は黒の詰襟なのだが、制服の準備が間に合わなかったのか、黒柳は、前の中学校の制服である紺のブレザーを着て来ていた。
黒柳は背が高く、それまでクラスで一番背が高かった男子を軽々と超してしまい、始業式では男子の列の一番後ろに並んだ。
希和は、ここ最近の出来事もあり、苦労が重なっていたので、表情や雰囲気が十二歳にしては大人びていた。
しかし、黒柳も、負けず劣らず大人びていた。時々見せるシニカルな表情が人を食ったような感じで、付け入る隙のなさを作っていた。
そんな黒柳を男子は興味深げに観察し、女子は隣の席の子と、
「カッコイイ」
「そんなことないよ」
などと、囁き合っていた。
希和は、そんなクラスメートとは違って、担任が黒板に書いた「黒柳白斗」という名前を見つめながら、『"白斗"なんて、変わった名前だなあ……』と思っていた。希和は自分が"白妙族"の人間なので、"白"という字には敏感に反応するのだった。
ふと、希和が視線を感じて見てみると、黒柳が希和を見つめていた。
目が合った瞬間、黒柳の口角が上がったように、希和には見えた。そんな様子を見逃さなかったみゆきが、希和をからかうように、
「さっき、黒柳くん、希和ちゃんを見てたよね。きっと、好きなタイプなんだよ。春がやってきたね。ヒューヒュー」
と、言うと、
「やだ、今は秋だよ」
と、下手なみゆきの突っ込みにボケながら、希和はみゆきと一緒に笑い合った。
この頃、朝夕の祈り、下校後の畑仕事、祖母には内緒のシャーマンとしての仕事と、希和は身体も心もクタクタだった。なので、こうした友人との何気ない、屈託のないやり取りに、とても癒されるのだった。
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表紙イラストはミカスケ様のフリーイラストをお借りしました。
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