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第2章
8話 【新たな出会いと別れ】
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『希和、おやりなさい。大丈夫。あなたならできるし、あなたが殺ったという痕跡は、これっぽっちも残らない。被害者の遺族も加害者の家族も、犯人の死を望んでいる。それに、犯人自身の心も覗いてみたら、極刑を望んでいたんでしょう? 大丈夫、あなたのおばあちゃんが知って悲しまないよう、私がわからないようにガードします』
突然、別の女性が希和の頭の中に飛び込んできて言った。
『あなたは……誰?』
新しく現れたその女性は、希和の心の中の声を無視するかのように話を続けた。
『わかっていると思うけれど、あなたの力はケガや事故を誘発する程度なら、あなたの体力を消耗するだけですみます。でも、人ひとりを死に追いやるには、それ相応の犠牲が伴います』
『えっ? 犠牲……?』
希和は驚きの反応をした。
『そう、その犯人の寿命を奪うわけだから、犯人と同じだけの寿命が必要となるのです』
突然現れた謎の女性は、希和を優しく見つめて説明した。
『そうよっ。もし犯人の寿命があと五十年だとしたら、殺すには五十年分の別の人の寿命が必要なのです。』
と、謎の女性が言った。
『それじゃあ……』
希和はそれを聞いて無理だと諦めかけた。
『あなたが犯人の死を念じると、あなたの寿命が持っていかれるのですよ』
その女性の瞳が、心なしか潤んでいるように見えた。
『命がけなんですね』
希和はつぶやいた。
『できるものならば、私の命を使って欲しかったけれど……』
不思議な女性が答えた。
『希和ちゃん、そう言えばあの母親……。犯人の母親だけれど、留美の葬式があった日、夜こっそりとお参りに来て、「できることなら私の命をあげますから、どうか許してください」とか言っていたわよ』
と、留美の母親が思い出したように言った。
『まったく、あんな人の命をもらったって、うちの留美は生き返らないわよ!』
留美の母親は呆れ返るように吐き捨てた。
その言葉を受けて、不思議な女性は、
『希和、犯人の母親の命を使わせてもらいなさい。この犯人は、このまま生き延びたとしても、二度と更生できません。そして、犯人の母親も犯人にも"生きよう"という気力が微塵も感じられない』
と、全てを見透かしているかのように、希和に助言を与えた。
しばらくして皆が納得すると、希和は静かに布団の上に正座し、両手を胸の前で合わせると、シャーマンの力を解放し犯人の死を念じ、最後の言葉を放った。
『死ぬほど反省してください』
その後、希和は大きな睡魔に襲われ、深い深い眠りに入っていった。
突然、別の女性が希和の頭の中に飛び込んできて言った。
『あなたは……誰?』
新しく現れたその女性は、希和の心の中の声を無視するかのように話を続けた。
『わかっていると思うけれど、あなたの力はケガや事故を誘発する程度なら、あなたの体力を消耗するだけですみます。でも、人ひとりを死に追いやるには、それ相応の犠牲が伴います』
『えっ? 犠牲……?』
希和は驚きの反応をした。
『そう、その犯人の寿命を奪うわけだから、犯人と同じだけの寿命が必要となるのです』
突然現れた謎の女性は、希和を優しく見つめて説明した。
『そうよっ。もし犯人の寿命があと五十年だとしたら、殺すには五十年分の別の人の寿命が必要なのです。』
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『それじゃあ……』
希和はそれを聞いて無理だと諦めかけた。
『あなたが犯人の死を念じると、あなたの寿命が持っていかれるのですよ』
その女性の瞳が、心なしか潤んでいるように見えた。
『命がけなんですね』
希和はつぶやいた。
『できるものならば、私の命を使って欲しかったけれど……』
不思議な女性が答えた。
『希和ちゃん、そう言えばあの母親……。犯人の母親だけれど、留美の葬式があった日、夜こっそりとお参りに来て、「できることなら私の命をあげますから、どうか許してください」とか言っていたわよ』
と、留美の母親が思い出したように言った。
『まったく、あんな人の命をもらったって、うちの留美は生き返らないわよ!』
留美の母親は呆れ返るように吐き捨てた。
その言葉を受けて、不思議な女性は、
『希和、犯人の母親の命を使わせてもらいなさい。この犯人は、このまま生き延びたとしても、二度と更生できません。そして、犯人の母親も犯人にも"生きよう"という気力が微塵も感じられない』
と、全てを見透かしているかのように、希和に助言を与えた。
しばらくして皆が納得すると、希和は静かに布団の上に正座し、両手を胸の前で合わせると、シャーマンの力を解放し犯人の死を念じ、最後の言葉を放った。
『死ぬほど反省してください』
その後、希和は大きな睡魔に襲われ、深い深い眠りに入っていった。
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