6 / 57
第1章
6話 【イマワノキワ 不思議な女子中学生】
しおりを挟む
それからは、普段の生活の中では、トヨの言い付けどおり、能力を使わないよう強く心に決めていた希和だった。
しかし、一度だけ、見過ごすことのできない事件が起こり、トヨ公認でシャーマンの能力を開放したことがあった。
それは、希和の隣の家の棘林がした、悪質ないやがらせに対してのものだった。
隣といっても、田舎だから、軽く数十メートルは離れているが……。
始まりは、希和と同じクラスの生徒である棘林が、トヨが丹精込めて耕した畑に向かって、立ち小便をしているのをトヨに見つかり、注意されたことだった。
すると棘林は、希和の家の唯一の足である自転車を、10回続けてパンクさせたのである。完全に棘林の逆恨みだった。
町に一軒しかないスーパーに行くのに、希和とトヨの家にとって、自転車はとても大切な乗り物だった。重たいお米や油を運ぶのに、なくてはならない足代わりだった。
そんな大切な自転車を、棘林にイタズラ気分でパンクさせられたのだから、たまらない。
修理に出すのに片道三十分。そして、同じ距離を歩いて直った自転車を取りに行くと、その日の夜にはもう同じように、希和の自転車がパンクさせられているのだった。
トヨも希和もシャーマンなので、誰がどのようにしてパンクさせたかは、すぐにわかった。
そして、希和の自転車が十回目のパンクをさせられた日の翌日、棘林は左手首に包帯をして登校してきた。
その様子を、ジーッと見つめる希和の眼差しに棘林は気付いたが、希和の目を真っ直ぐには見られなかった。
しかし、一度だけ、見過ごすことのできない事件が起こり、トヨ公認でシャーマンの能力を開放したことがあった。
それは、希和の隣の家の棘林がした、悪質ないやがらせに対してのものだった。
隣といっても、田舎だから、軽く数十メートルは離れているが……。
始まりは、希和と同じクラスの生徒である棘林が、トヨが丹精込めて耕した畑に向かって、立ち小便をしているのをトヨに見つかり、注意されたことだった。
すると棘林は、希和の家の唯一の足である自転車を、10回続けてパンクさせたのである。完全に棘林の逆恨みだった。
町に一軒しかないスーパーに行くのに、希和とトヨの家にとって、自転車はとても大切な乗り物だった。重たいお米や油を運ぶのに、なくてはならない足代わりだった。
そんな大切な自転車を、棘林にイタズラ気分でパンクさせられたのだから、たまらない。
修理に出すのに片道三十分。そして、同じ距離を歩いて直った自転車を取りに行くと、その日の夜にはもう同じように、希和の自転車がパンクさせられているのだった。
トヨも希和もシャーマンなので、誰がどのようにしてパンクさせたかは、すぐにわかった。
そして、希和の自転車が十回目のパンクをさせられた日の翌日、棘林は左手首に包帯をして登校してきた。
その様子を、ジーッと見つめる希和の眼差しに棘林は気付いたが、希和の目を真っ直ぐには見られなかった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説

優等生の裏の顔クラスの優等生がヤンデレオタク女子だった件
石原唯人
ライト文芸
「秘密にしてくれるならいい思い、させてあげるよ?」
隣の席の優等生・出宮紗英が“オタク女子”だと偶然知ってしまった岡田康平は、彼女に口封じをされる形で推し活に付き合うことになる。
紗英と過ごす秘密の放課後。初めは推し活に付き合うだけだったのに、気づけば二人は一緒に帰るようになり、休日も一緒に出掛けるようになっていた。
「ねえ、もっと凄いことしようよ」
そうして積み重ねた時間が徐々に紗英の裏側を知るきっかけとなり、不純な秘密を守るための関係が、いつしか淡く甘い恋へと発展する。
表と裏。二つのカオを持つ彼女との刺激的な秘密のラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる