イマワノキワ -その時に私を呼んでー

たまひめ

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第1章

6話 【イマワノキワ 不思議な女子中学生】

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 それからは、普段の生活の中では、トヨの言い付けどおり、能力を使わないよう強く心に決めていた希和だった。
 しかし、一度だけ、見過ごすことのできない事件が起こり、トヨ公認でシャーマンの能力を開放したことがあった。
 それは、希和の隣の家の棘林とげはやしがした、悪質ないやがらせに対してのものだった。
 隣といっても、田舎だから、軽く数十メートルは離れているが……。
 始まりは、希和と同じクラスの生徒である棘林が、トヨが丹精込めて耕した畑に向かって、立ち小便をしているのをトヨに見つかり、注意されたことだった。
 すると棘林は、希和の家の唯一の足である自転車を、10回続けてパンクさせたのである。完全に棘林の逆恨みだった。
 町に一軒しかないスーパーに行くのに、希和とトヨの家にとって、自転車はとても大切な乗り物だった。重たいお米や油を運ぶのに、なくてはならない足代わりだった。
 そんな大切な自転車を、棘林にイタズラ気分でパンクさせられたのだから、たまらない。
 修理に出すのに片道三十分。そして、同じ距離を歩いて直った自転車を取りに行くと、その日の夜にはもう同じように、希和の自転車がパンクさせられているのだった。
 トヨも希和もシャーマンなので、誰がどのようにしてパンクさせたかは、すぐにわかった。
 そして、希和の自転車が十回目のパンクをさせられた日の翌日、棘林は左手首に包帯をして登校してきた。
 その様子を、ジーッと見つめる希和の眼差しに棘林は気付いたが、希和の目を真っ直ぐには見られなかった。
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