グリムの精霊魔巧師

幾威空

文字の大きさ
上 下
24 / 61
本編

Module_024

しおりを挟む
 セロがカウンター前でひと騒動を起こしていた頃、カラクたちホワイトナイツのメンバーは、ギルドマスターへ取り次いでもらうように職員に掛け合い、執務室へ向かっていた。

 案内していた職員が扉をノックし、カラクたちを伴って中へ入ると、グリムのギルドマスターを務める青年――グロース=レギナントは丁度来客対応中であった。
 肩で切り揃えられた金髪に翡翠色の瞳を持つこの青年は、齢30を超えたばかり。一見してひ弱そうに思える人物だが、その外見には似合わず冒険者たちからの信頼は厚く、内外からの評価は高い。

 しかし、いつも執務室で籠って書類仕事に忙殺される日々を送っているため、「ポーションが手離せない」と嘆いているのだが。

「失礼します。ギルドマスター、ホワイトナイツの方々が、直々に報告すべきことがあるとのことで御連れ致しました」
「うん? あぁ、すまないね。ただ……今は来客対応中でね……」

「いえ、そちらが終わってからでも問題ありません。ただ……できればそちらの方も・・・・・・一緒に聞いてもらえると色々と手間が省けるかと思います」

 カラクはチラリとグロースの来客相手の方を見つつ、口を開く。彼の視線の先には、この街で精霊導具及び精霊武具の製作・販売を行う「マレーン商会」会頭のイルネ=ヴィルヴィアの姿があった。

「あら……それはそれは。何か面白い話でも聞かせてくれるのかしら? いいわよ、こちらの話はほぼほぼ終わったから、是非ともうかがいたいものね」
 微笑を浮かべながら告げるイルネに、対するグロースは頭を掻きながら「まぁこっちの言うべきことは言ったから」とカラクに顔を向ける。

「……ということです。それじゃあ聞かせてもらおうか、カラク。その『報告すべきこと』というのを」

 話を振られたカラクは、短く「はい」と返事をした後、これまでのことを両者に話し始める。


「イルネさんも居ますので、経緯も含めて説明します。私たちはギルドの依頼を受け、ここより北に位置する『スタイプスの森』に起きている異変の調査に赴きました」
「スタイプスの森、か……確か、強力な魔物がいるとされるあの森でしょう? よくもまぁそんな危険度の高い依頼を受けたものねぇ」
「それは仕方がないんだよ、イルネ。依頼を受けて無事に帰って来られそうだったのがカラクたちしかいなかったんだからから。他の冒険者たちに被害が出ている以上、黙って見過ごすことはできないよ。それに日を追うごとにその被害は拡大していたからね。運悪く他の高ランク冒険者たちは皆この街から離れた場所での依頼に出向いてしまっているしね……」

 イルネの指摘に真向かいのソファに座るグロースがため息混じりに言葉を返す。彼としても苦渋の決断であったのか、吐き出された息が重かった。

「えぇ、実際この目で見た異変は想像以上でした。森の外縁部に猪や狼といった中型の魔物に出くわしましたし、野生動物の死骸があちこちに転がっている有様でしたから」
「なるほど……それはこちらの想定以上の深刻さですね。まだ森の中で収まっている異変ではあるものの、いつこの街に襲いくるかも分からない。至急ギルドの方で冒険者たちを集めて対策に――」

「いえ、それは不要です」

 カラクの報告を耳にしたグロースが今後の方針を検討しようとした矢先、カラクは彼の発言が言い終わる前に口を開く。

「はっ……? ふ、不要って、一体どういうことだい?」
「なぜなら、その元凶と目される魔物は、すでに討伐したからですよ」
「すでに……討伐、した……? あれほどの異変を生む元凶を? ちょ、ちょっと待ってくれ。あまりにも飛躍し過ぎて理解が追い付かない。ちなみに聞かせてくれないか? その元凶とやらは一体何だったんだい?」

 グロースはカラクの発言に目を見開いて驚きつつ、さらに訊ねる。やがて彼の口から飛び出したその名に、グロースに限らずその場にいたイルネも驚いた。

「ーー鎧獅子です。あの災害級の魔物が森の中心部にいました。おそらく他所からやってきたんでしょう。あの魔物は単騎でも相当な力を持ちます。外縁部にいた中型の魔物は、かの魔物の力を恐れて逃げてきたんでしょうね」
「バカなっ!? 鎧獅子と言えば、ギルドでも指折りの実力者が率いる複数のクランが相互に連携してやっと討伐できる相手だ! それを……君たちでか!?」
「私もその魔物の名前くらいは聞いたことがあるわ。確か、全身を硬い装甲に覆われた獅子の魔物でしょう? 前に聞いた話じゃあ、討伐のために何十人もの人員を掻き集めてやっと倒せた難敵だと耳にしたことがあるわ。それを……貴方たちだけで?」

 カラクの言葉に、グロースはその場から立ち上がって声を上げ、イルネはスッと目を細めて疑いの目をホワイトナイツの面々に向けつつ問いただした。

「確かに、お二人の言う通り、鎧獅子は災害級に分類される難敵です。さすがに無傷の相手を前に挑んで討伐することはできなかったでしょう。ただ、今回は二つの幸運がありました。一つは、相手は他の魔物と戦闘していたため、その疲弊した隙を突けたことと。そしてもう一つ……この場にはいない協力者の存在がありましたから」
「協力者……?」

 グロースの反射的な返しに、カラクが頷きながら言葉を続ける。
「えぇ。『セロ』という白髪の少年です。彼の協力があったればこそ、今回の討伐は無事に終えられたようなものです」
「へぇ……このギルドの実力者として名のあるクラン、ホワイトナイツのリーダーの口からそんな話を聞けるとは思わなかったねぇ。随分とその少年のことを買ってるじゃない?」
「それはそうですよ、イルネさん。その少年は私たちの恩人ですから。彼は鎧獅子の討伐前に限界を迎えていた私たちの精霊武具を――貴方の商会が製作した私たちの武具をメンテナンス・・・・・・してもらいましたし」

 カラクが発した最後の言葉に、イルネはピクリと眉を上げて反応を示すと、その口の端を持ち上げながら呟く。

「へぇ……それは実に興味深い話ねぇ。その少年……セロと言ったかしら。もしそれが事実なのだとしたら、彼は私のところで組んだ精霊武具の構文を把握したということになるわね。うん……その子、機巧師としての技術がズバ抜けて高そうね」
「そうなのか?」
 イルネの説明に、横で聞いていたグロースが言葉を挟む。問われたイルネは、グロースの方に顔を向けてさらに話を続けた。

「それはそうよ。通常、精霊構文は組んだ人間でしか分からないケースも多い。何故なら、その記述には多かれ少なかれその機巧師に特有のクセのようなものがあるからね。構文の解読には時間がかかる。解読に二、三日かかるのもおかしくは無い。他人の構文を解読した上で機能を損なわずにメンテナンスするにはそれなりの技量が要求されるのよ」
 一通り説明を終えたイルネに、今度はカラクの言葉が割って入る。

「いえ、それは若干の誤解がありますね。確かにセロは私たちの精霊武具をメンテナンスしました。しかしながら、私たちの武具をメンテナンスしたその所要時間はわずか4時間ほどです。さらに言えば、『機能を損なわず』ではなく、『より効率的に』が正しいですね。事実、彼が組み上げた精霊構文により、精霊術の発動が今までよりも少ない精霊力で行えるようになりましたから」
「いやいや、嘘をつくなら、もっとマシなものにしなさいな。あれだけの複雑な精霊構文をたった4時間ほどで解読を終えた上に構文を書き換えたと? ……自慢じゃないけど、貴方たちに渡した武具は、どれもウチの商会では一級品に相当するものよ?」

 返ってきたカラクの言葉に、イルネはやや真剣味を帯びた表情を浮かべて問い返す。その答えとばかりに、カラクはその腰に吊っていた剣を鞘から引き抜き彼女の前に差し出した。
「……」

 カラクから剣を受け取ったイルネは、その懐から細い真紅のフレームでできた眼鏡を取り出し、レンズ越しに武具を見つめる。彼女の取り出した眼鏡は、そこに記された精霊構文を読み取るためのアイテムで、機巧師の必須アイテムの一つである。
 黙したままセロの組み上げた構文を見たイルネは、やがてその相好を崩し、小さく肩を上下させると堰を切ったように笑い声を上げた。

「クックックッ……アッハッハッハ! す、素晴らしいわ! こんな……こんな書き方があるとは思いもよらなかった! 確かにこの記述なら、精霊力の消費量はぐんと抑えられるでしょうね。それに、これほどまでに構文量が少ないのなら、発動にかかる時間も早くなる」
 先ほどまで纏っていた空気が一変し、イルネはまるで無邪気な子どもが目を輝かせて食い入るように精霊構文を見つめる。

「それほどなんですか? あまり私にはピンと来ませんけど……」
 対するグロースは喜色満面ではしゃぐイルネとは対照的に、訝しんだ表情を見せた。

「あぁ、まぁ貴方は機巧師では無いからねぇ。見ただけでは分からないでしょうよ。ただ断言できる。この構文を組んだ人間は……私よりも腕がある」
「なっ!? それは本当ですか!?」
「こんな状況で嘘を言ってどうする。紛れもない事実さ。それに――」
「それに?」
 発言の途中で言葉を切ったイルネに、グロースが鸚鵡返しして訊ねたが、彼女は「いや、何でもないわ」と続く言葉を語らなかった。

(それに……こんな構文記述はこれまで見たことがない。まるで最初から他人が見ることを想定しているように、読みやすく、かつ分かりやすく記述が施されている。これを見ると、今まで自分が記述していた構文が、どれほど非効率なものだったのかが思い知らされる。一体何者なの、そのセロという少年は……)

 イルネは内に湧いた興味を抱きながら、静かに剣をカラクに返却した。

「それでだ。イルネの反応を見る限り、その協力者であるセロという少年は有能な人材だろう。ただ、ギルドとしては災害級たる鎧獅子を討伐したと言われても、素直に『はいそうですか』と受け入れることはできない」
「それは確たる証拠がない……からですね?」
 グロースの言葉に、カラクが先回りして結論を口にする。

「そうだ。残念ながらね」
 カラクの発言に、グロースは頷きながら呟く。側で聞いていたイルネも同意見らしく、言葉は発しないまでも小さく頷いて自らの態度を表した。

「ならば、その『確たる証拠』とやらを実際にその目で見てもらうことにしましょうか」

 カラクは隣に立つ仲間たちに目配せしつつ、静かに告げる。他の仲間たちもカラクの意図を汲んだのか、イタズラが成功した子どものような微笑を湛えながら「そうだな」と口々に賛成の言葉を述べていく。

「はっ? 待ってくれ。鎧獅子の遺体がここにあるというのかい? だが、君たちがここに来るまでの間、そんな報告は職員たちからは一言も……」

 鎧獅子はどんなに小さくとも体長数メトル、体重は100キラムを超える巨躯を誇る魔物である。それほどの巨体を引っさげて街に入ろうとすれば、嫌でも目立つものだ。そうした場合、当然ながらギルドにも報告が入るはずなのだが、グロースは今の今までついぞそんな報告は受けてはいない。

「ちょっとワケあって鎧獅子の遺体は別の場所に保管しているんですよ。ギルドから『物証を見せろ』と言われるだろうとは予想していましたしね。そろそろ向こうも・・・・手続きが終わった頃でしょうし、裏手でギルドマスター立会いのもと、検分してもらった方が確実かとも思いましたからね」
「……わかったよ。そうまで言うなら見せてもらおうじゃないか」
「えぇ、是非。来てもらったら、『どうやって運んで来たのか』という疑問も解消できるかと思いますよ?」
 カラクの意地の悪い言葉に乗せられ、グロースは頭を掻いてその場から立ち上がる。

「あぁ、セロ君に興味があるなら、イルネさんも一緒に来た方がいいと思いますよ?」
「何ですって?」
 立ち上がったグロースを見たアルバが、未だソファに腰を下ろしたままのイルネに声をかける。

「だって……話題の鎧獅子の遺体を保管しているのは、セロ君ですから」
「……ということは、私も行けばその少年に会えるというわけね」
「えぇ。というより、会ってみたいでしょ?」
「……何故断言できるのよ」
「顔に書いてありますから」
 微笑を浮かべたまま告げるアルバに、イルネは「やれやれ」と呟きつつもその腰を上げた。

「きっと驚くと思いますよ? 私たちもあの子には散々驚かされましたから」
「それは楽しみねぇ。どんな驚きをもたらしてくれるのやら……」
 アルバの笑みに釣られるように、イルネはわずかに相好を崩し、カラクが開けた扉からグロースとともに部屋を出て行く。

 ――だが、この時二人はまだ知らない。


 グロースはセロの持つ常識外れな実力を
 イルネはセロの持つ常識外れな知識を。
しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 0

あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

次男坊と言っても末っ子です。

もちた企画
ファンタジー
人類において環境に準じるのは容易くは無いファンタジーな世界で集落より少し外れると魔物が溢れかえり人類存亡の危機がそこにはあった。 主神メガイス様の力で増えすぎた魔物を封じることに成功したがそれは当時の話、今は封じた空間に穴が空いて魔物が一部姿を表していた。 名称は「ダンジョン」 主神の妻で豊穣の女神アストレアは人類に加護を与えた。四大属性「火・水・風・土」。 人々は体内に流れる魔力を感じ精霊に感謝をして魔法を使えるようになった。 特に強い属性魔法の使い手を王の側近貴族として囲い込んだのが今の魔法至上主義だ。 自分の属性に合った生活をする人々で構成され、それぞれの生活を送っていた。 時はヴァルデン四世治めるウェストヴァルデン。 その首都から西に進んだ伯爵領地の首都カイランで生まれたシティーボーイ次男坊が6歳で執り行われる祝福の儀で土属性を扱えるようになったお話。 主要な国 ウェストヴァルデン (Westvalden) - 古い森と堅牢な城塞が特徴の西部の王国。長い歴史を持ち、貴族階級と騎士道が重んじられる国。 イーストリア (Eastria) - 東方に位置する、交易と文化が栄える国。多くの学者や魔法使いが集まり、学問や魔術が発展している。 ノルデンヘイム (Nordenheim) - 北方にある寒冷な地域に広がる王国。厳しい自然環境の中で強靭な戦士たちが育ち、騎士団が国を守っている。 ルミナス (Luminis) - 女神アストレア信仰を中心とする宗教国家。教会の影響力が強く、神聖な儀式や聖騎士団による巡礼が盛んに行われている。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

処理中です...