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本編
Module_013
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「さて、と。ここでやることも終わったし、そろそろ出発するかな……」
楽園で共に過ごした仲間たちの亡骸を、化身たちの手伝いもあってなんとか葬送し終えたセロは、「戦車」のアルカナの化身たるグリフォンを残して他の化身たちをカードへと戻した。
セロの目の前には大地に突き立てられた棒が立ち並び、穏やかな風と柔らかな日差しが彼を照らす。
(これくらいの簡単な供養で申し訳ないが、これで勘弁してくれ……)
ーーいつか、またここに来た時は……その時こそは盛大に送らせてくれ。
感傷的な思いが込み上げて来たセロは、傍らに立つグリフォンの顎を撫で、ゆっくりとその背に跨る。
「……それじゃ、行くか!」
目尻に浮かぶ涙をそっと拭いながら、セロは湧き上がる哀しみを振り払うように空元気で告げた。
「グルルルルウウウゥゥゥ!」
そして主をその背に乗せたグリフォンは、嬉しそうに鳴くと、天高く舞い上がって大陸中心部に広がる森へと向かった。
「いやっほうううううううっ! こうやって空を飛ぶのは初めてだけど、ホントに気分が爽快だよな! ただ、空気が冷た過ぎるのが難点だけど……」
眼下に広がる景色を捉えながら、セロは鼻をズビリとすすりつつ呟く。一応、風除けの術式を展開しているものの、冷えた空気は地味に体力を消耗する。断熱や保温の術式も併用することはできるが、大勢の軍隊と一戦交えて魔力も底を尽く状況であった。そのため、余計な魔力の消費を抑える目的から冷え切った空気を我慢するほかに手段が無かったセロは、「早く落ち着ける場所を探そう」と目を皿のようにして候補となる場所をいくつかピックアップする。
「ふぅむ。あの辺りにするか……」
グリフォンの背に跨り、セロはしばらく上空から森の全容を眺める。やがて眼下に広がる森の中に拠点として生活できそうな場所に目星をつけると、グリフォンに指示して降り立った。
彼が降り立った場所は、大陸中心部に広がる森の奥であった。その森は「スタイプスの森」と名の付けられており、周辺国でも有数の魔物の生息地として名が通っている。
森の中央には熊や虎といった大型で凶悪な魔物が生息しており、その外には森の出口へ向かって鹿や猪といった中型、猿や兎などの小型の魔物と魔物のバリエーションが多いのが特徴である。
そうした多くの動植物や魔物が棲息するこの地で、セロが拠点としたのはスタイプスの森の奥にある開けた場所。その付近には澄み切った川が流れており、拠点とするには申し分のないスペースが確保できる。
「それじゃあまずは……家を作らないとな」
運んでくれたグリフォンに礼を言いつつカードへと戻したセロは、目の前のスペースから建てられる家の大きさを逆算し、あーでもないこーでもないと中の間取りを思案する。
家、と言ってもそれは基礎から作り上げるものではなく、あくまでも急場しのぎの簡素なものだ。
「とりあえずは雨風を凌げればいいから、チャチャッと作るか」
おおよその間取りを決めたセロは、演算領域に術式を組み上げると、その両手をペタリと足元の地面につける。
「術式効果範囲、確定。対象物の縦・横・高さの三次元展開時の設定……完了。術式名称、土箱の家……起動っ!」
静かに両眼を閉じて告げた彼の言葉を合図に、予め設定した範囲の地面がみるみるうちに盛り上がる。やがて盛り上がった土は綺麗な正六面体へと姿を変えた。
「んでもって、外壁の『硬質化』、『強靭化』、おまけに『耐水性』の付与……と。こんなもんかな」
作り上げた正六面体、その壁面に手を添えたセロは、サクサクと出来たばかりの土箱に魔法を付与する。
最後に「切断」の術式で入り口となるドアを作製して終了だ。
「壁の色とか中のレイアウトは後で考えるか。とりあえず、当座の生活の拠点が出来ただけでもよしとしよう」
セロは中へ入り、自分の思い描いた通りの間取りとなっていることを確認すると、再び外へ出て近くの川に頭を突っ込んだ。
「ぷはっ! 家も出来たし、一安心かな」
セロは独り言を呟きながら、流れる川の水で髪にべっとりと付着した血を落とす。そして家の中でゆっくりと今後のことを考えようとした矢先、彼の腹がけたたましく鳴り出した。
「あー……もうそんな時間だったのか」
空腹を訴える腹に、セロはちらりとその目を空へと向ける。けたたましく鳴る腹の虫に同意するように、彼の視線の先に広がる空は茜色に染まっていた。
「夕食、か………そういえば、朝から何も口にしてなかったっけ」
セロは、ふと今日の自分の行動を思い返しながらポツリと呟く。襲い来る兵士たちから逃げ回り、その先で魔法を駆使して敵を返り討ちにした。そして化け物となったかつての仲間たちに「魂魄製錬」を施し、五体のアルカナの化身たちと共に残りの軍勢を楽園から退けた。
楽園崩壊の際に亡くなった仲間たちを葬送し、この地に降り立って拠点を構えた。
魔法を修練していたセロも、流石にこう立て続けに魔法を行使するとは予想していなかったために、今まで味わったことのない倦怠感が身体を襲った。
また、戦闘時に「身体強化」の魔法を使用した反動が大きく、あれから時間が経過しても、解除後に鈍い痛みが全身を襲っていた。
「――っ!? こりゃあしばらく無理はできないな……」
身体があちこちで訴える痛みに、わずかに顔を顰めつつ呟いたセロは、今もなお鳴り続ける腹の虫をどうやって落ち着かせようかと考えを巡らせた。
「……森の中、か。楽園から解放されたのはいいものの、結局ロクな準備もできなかったからな。これからどうしようか……」
セロは息を整えつつこれからの行動方針を思案する。着の身着のまま逃げ出した彼にとって、楽園の外は未開の地だ。もちろんこれまで蔵書室に入り浸っては、手当たり次第に書籍を読み漁ったおかげで大まかな基礎知識は詰め込んだものの、知識だけでは生きていくことは難しい。
「それに、ここには『魔物』もいるんだっけか……」
茂みの奥から聞こえてくる微かな獣たちの息遣いに、セロは思わず喉を鳴らした。これまで「楽園」という檻の中で生活していた彼にとっては、「死」という事象は身近なものではなかった。
だが、その檻から出た今は違う。魔物と呼ばれ、人の命を脅かす生き物との遭遇率が高いこの場所では、わずかな判断ミスが命取りとなる可能性が高い。ましてやセロは身体の出来上がっていない子どもである。戦闘経験のある大人とは異なり、命の危険にさらされる確率は殊の外高いと言えるだろう。
(うーん……術後の反動を考えると、身体強化の魔法はそうそう長くは保たないな。かと言って、今の俺には身を守るための武器すらない……)
ふと「カードを使えばいいのではないか?」との選択肢も浮かんだセロだったが、すぐにその考えを却下する。
(いや、カードを使うのは「ここぞという時」まで温存しておこう。呼び出すのは簡単だが、それじゃあ主人である俺がアイツらにおんぶに抱っこになっちまう。一人で生きていかなきゃならない以上、大抵のことは自分でできるようにしておかないと……)
孤独という現実に不安と焦燥が募る中、セロは深く息を吐いてどうにかそれらを抑え込む。そして、小さな声で「よしっ!」と、気合いを入れ直したセロは、ゆっくりとした足取りで前を見据えて進み始めた。
(困っていたら誰かが助けてくれるなんて甘っちょろいことは言ってられない。これが俺の選択だ。俺は――絶対に生き延びてやる)
そんな決意を胸に秘めながら、セロは鬱蒼と茂る森の中を進んでいった。
◆◇◆
「しっかし、蒸し暑いなぁ……それに腹減った……」
夜の闇が迫る中、鬱蒼と茂る木々の中をセロは進む。いつ血に飢えた魔物に襲われてもおかしくはない状況下、彼は周囲に目を配りつつ一歩、また一歩と進んでいく。
だが、ジメジメとした不慣れな森を極度の緊張にさらされ続けながら進んだ結果、彼の気力・体力はジワジワと蝕まれていった。加えて楽園を飛び出してから水の一滴すら口にしていないため、軽度の脱水症状に陥っている。
(まずいぞ……このままじゃ、何もできずにただ野垂れ死ぬだけだ。何か……この状況を脱する方法は……)
腹が空腹を訴え、疲労が判断力を奪う中でセロは懸命にこの窮地を脱する方策を考える。その時、彼の耳が少し先の茂みの奥で何かが動く音を拾った。
(あれは――)
その場に立ち止まり、静かに様子を窺うセロが捉えたのは一匹の野兎だった。その野兎は真後ろに位置しているセロの事に気づく素振りすら見せず、黙々と雑草を食んでいた。
(やるしかない、か……)
背に腹は代えられず、目の前の野兎を狩ることを決心したセロは、右手をピストルの形に変えて突き出た人差し指を野兎の方へと向ける。
(術式名称:「魔法弾」、構築及び発動準備……完了)
多量の魔力消費から来る倦怠感と頭痛をぐっと奥歯を噛んで押し殺し、相手に気取られないよう小さく息を吐いたセロは、自らの魔法演算領域に素早く術式を組み立て、展開する。同時に人差し指の先に直径一センチほどの極小な魔法陣が形成された。
(――発射っ!)
心の中に呟いた言葉を引き金とし、極小に展開した魔法陣から仄かな青白い弾丸が射出された。
「――ッ!? グピィッ!?」
セロの放った弾丸は吸い込まれるように茂みの奥へと向かい、草を食んでいた野兎を強襲する。結果、野兎は断末魔と共に首元に小さな穴を空けられて絶命した。
「ごめんな……」
息絶えた野兎の元へとやってきたセロは、鮮血を流すそれを見下ろしながらわずかに表情を曇らせて小さく謝罪する。
「形状変化、鋭利化……」
謝罪を終えたセロは近くにあった少し太めの枝を折り、魔法を発動させる。すると手元に展開された魔法陣がすっと枝の先まで移動し、瞬く間にその形状を細身のナイフへと変えた。
「よし、うまくいった。あとは――」
満足のいく魔法の効果に思わず軽く頷きながら呟いたセロは、その視線を野兎の方へと戻す。そして、セロは静かに息絶えた野兎を慣れない手つきで解体するのだった。
「何とか当面は凌げたか……」
拠点へと戻り、狩ったばかりの兎肉を食べ終えたセロは、魔法で生み出した焚き火をぼんやりと眺めながら口を開いた。既に陽は茜色に染まり、ゆっくりと空の色が濃紺へと移り変わっていく。
「ただ、やっぱりこのままじゃあマズイよなぁ……」
思案に暮れるセロは、ため息交じりに弱々しい言葉を吐いた。セロは「あの『楽園』から出て早々、もう弱音を吐くのか?」と、自嘲気味に問いかける。否定したい思いは強いものの、その言葉を間違っていると指摘するだけの確かな理由はない。
事実、身を守る術はこれまで磨いてきた魔法と手に入れた木製のナイフだけしかないのだ。
(食料はこの森の動物を狩れば問題ないだろうけど……ちょっと格上のモンスターと遭遇すれば逃げることしかできないな。魔法もこの世界じゃ「失われた技法」だ。下手に他人に見られたら、今度こそ研究素材として一生を終えるだろう。それに、魔法も万能っていうワケじゃない。相性によって魔法が効きづらい魔物もいるだろうし……)
目の前で揺れる炎を眺めるセロは、真剣な面持ちで思索を巡らせていく。彼の目下の課題は、自身が生き抜くための手段の確保だ。魔法を極力隠しつつも、侮れることのない力を示せる手段。それがこの時のセロに課せられた最重要課題だ。
「今日は何とかなったけど、明日はどうなるか……」
食事を終え、土箱の家の中にある簡素なベットの上でごろりと横になったセロは、明日の我が身を案じながら静かに瞼を閉じ、激動の一日が終わりを告げたのだった。
◆◇◆
翌日、夜明けとともに目を覚ましたセロは、川の水で顔を洗った後に早速行動を開始する。
「ふむ。昨日より大分マシになったな……さて、と。今日は何にするかな……」
未だ魔力は完全回復に至っていないものの、動き回るには支障を感じない程度には回復できていると判断したセロは、腰や腕、足首などの関節を中心に軽く身体をほぐす。その後、ストレッチを混ぜて頭もクリアになった彼は、生い茂る草を掻き分けつつ、慎重に歩いて獲物を探し始めた。
「……うん? 何だアレ」
獲物を探し、歩き回っていたセロは、視線の先に大きな馬車が止まっているのを発見した。茂みの陰からよくよく注意して見てみると、馬車の幌には引っ掻いた爪痕のような裂け目が残っており、そのすぐ脇には血を流して絶命した二頭の馬が地に伏せていた。
「……魔物にやられたのか? 人がいないところを見ると、馬を残して逃げたのかな」
馬車を襲った魔物は立ち去っていたことから、セロは残った馬車に近寄る。念のため、幌の中に人がいないだろうかと確認しようと中に入ると――
「これは酷いな……」
彼の視界には思わず目を背けたくなる凄惨な光景が広がっていた。幌の内側には大量の血が飛び散り、床には数名の喰い荒らされた遺体が転がっている。死亡してから日が経っていたのか、幌の内部には濃密な血の匂いと共にわずかばかりの腐臭が漂っている。
「俺も一歩間違えれば……」
ふと目の前の光景を見たセロがポツリと呟く。改めて自分の置かれた状況を認識したセロは、静かに合掌してその場を離れようとした。
その時――彼の目が荷台の隅に転がっていた「ある物」に奪われた。
「これって――銃、なのか?」
隅に転がっていたそれを拾い上げたセロは、思わず目を大きく見開いて驚く。真っ直ぐに伸びた銃身に、その先に山のような形状をしたフロントサイト。人の手で握ることが想定された独特の形を持つグリップ。その形状は、セロが転生前、本宮数馬として生きていた時にゲームでよく目にしたハンドガンと酷似したものであった。
「へぇ……この世界にも銃があるのか。初めて知ったな」
引き金の上には回転式弾倉が取り付けられ、弾倉の後ろには銃弾を射出する撃鉄、リアサイトがある。
セロはどこか懐かしさを覚えつつも、その手にしたハンドガンを背中とズボンの間に挟む。ひんやりとした銃の冷たさが肌を通して伝わる一方、銃という頼もしい武器を手に入れたことにそれまで抱いていた懸念がわずかに軽くなった。
「……さて。あれから目ぼしいものは遠慮なく貰ってきちゃったけど……まぁ問題ないよな」
土箱の家へと戻ったセロは、ベッドの上で馬車の中から頂戴した品々を広げる。何と言っても一番の戦利品はハンドガンだったが、その他にも上等な片手剣にナイフも手に入った。
「……ついでに着ていた服も貰っちゃったけど、この際仕方がないよな。一応出来る限り丁寧に遺体は埋葬したから、あとで化けて出てくるとかは止めて欲しいけど」
まるで追剥ぎでもしているかのような錯覚を覚え、セロは多少ながら罪悪感は抱いてしまう。しかしながら、着の身着のまま楽園を出た彼にとって、身につけている服しか着るものがないというのは切実な問題でもあった。
(まぁ服については、最悪自作するってのもないことはないけど……さすがに本職じゃない分、すぐにできるってワケでもないしなぁ……)
セロはチラリと着替える前に身につけていた服を見ながらふとそんな思いを心中に零した。彼の視線の先にある以前の服は、至る所にシミとなった返り血がこびり付いており、袖口やズボンの裾には擦り切れた痕や穴が空いている状況であった。
彼の吐露した言葉にある通り、生活の拠点とした森の中には、魔物も含め多様な動植物が棲息している。その気になれば、衣服の作製に適した材料も手に入れられるだろう。しかしながら、転生前の生活も含め、縫い物をしたことが数えるほどしか経験が無いため、満足に着られる服を作り上げるのは時間がかかる。また、この森に来たばかりのセロにとっては、どの素材が服に適したものなのかといった見識は皆無に等しい。森の中を探索し、一から素材を吟味するにはやはり時間がかかる。
至る所に血がこびり付いている服では、その匂いを嗅ぎつけられ、いつ強大な魔物に襲われるとも限らない。罪悪感は多少残るものの、これもまた生きるために必要なのだとセロは自らを言い聞かせるほか無かった。
「……ふむ。ちょっとサイズが大きいケド、何とかなったかな」
持ち帰った衣類に袖を通した今のセロの出で立ちは、ハイカットシューズに漆黒のズボン、襟付きの白シャツにズボンと同じ色のジャケットと、楽園から出て来た時の白い半そでシャツと同色の薄い長ズボンのみという格好からは随分とマシになっている。
もっとも、どの服も大人サイズしか手に入れることが出来なかったため、裾や袖は丈に合うように何度か折り込まなければならなかったのだが。
「あとはコレか……う~ん。手に入ったはいいものの、弾はシリンダーの中にあった3発しかなかったし、グリップの底が歪んでいる。銃身も曲がっているし……これじゃあ、ちょっと直しただけじゃ使えないな。修理が必要だけど、材料ってどうしたらいいんだろ。それに、この弾丸の材料は砕いた精霊片が火薬代わりに使われているようだし。うぅ~ん、鉱石と精霊片かぁ……帰りがけに見たあの洞窟の中にあるかなぁ……」
ハンドガンという強力な武器を偶然にも手に入れることができたセロだったが、その予想外に酷い状態にため息を吐いた。修理には材料が必要だが、それを得られる可能性があると判断できるのは、家へと帰るルート上で目にした洞窟だけであった。
「あの洞窟なら、岩肌から採掘すれば鉱石は手に入るかもしれない。精霊片はーーどうだろ? 行ってみないと分からない、か」
セロはハンドガンをテーブルに置き、ぐっと背を伸ばして肩を揉む。
「くぁっ……細かいところまで見てたから目が疲れたな。一応の体裁は整ったし、運よく武器も手に入った。なら……行ってみるか」
手に入れた武器の手入れを終えたセロは、覚悟を決めて洞窟へと入る決心を固めて静かに眠りにつくのだった。
楽園で共に過ごした仲間たちの亡骸を、化身たちの手伝いもあってなんとか葬送し終えたセロは、「戦車」のアルカナの化身たるグリフォンを残して他の化身たちをカードへと戻した。
セロの目の前には大地に突き立てられた棒が立ち並び、穏やかな風と柔らかな日差しが彼を照らす。
(これくらいの簡単な供養で申し訳ないが、これで勘弁してくれ……)
ーーいつか、またここに来た時は……その時こそは盛大に送らせてくれ。
感傷的な思いが込み上げて来たセロは、傍らに立つグリフォンの顎を撫で、ゆっくりとその背に跨る。
「……それじゃ、行くか!」
目尻に浮かぶ涙をそっと拭いながら、セロは湧き上がる哀しみを振り払うように空元気で告げた。
「グルルルルウウウゥゥゥ!」
そして主をその背に乗せたグリフォンは、嬉しそうに鳴くと、天高く舞い上がって大陸中心部に広がる森へと向かった。
「いやっほうううううううっ! こうやって空を飛ぶのは初めてだけど、ホントに気分が爽快だよな! ただ、空気が冷た過ぎるのが難点だけど……」
眼下に広がる景色を捉えながら、セロは鼻をズビリとすすりつつ呟く。一応、風除けの術式を展開しているものの、冷えた空気は地味に体力を消耗する。断熱や保温の術式も併用することはできるが、大勢の軍隊と一戦交えて魔力も底を尽く状況であった。そのため、余計な魔力の消費を抑える目的から冷え切った空気を我慢するほかに手段が無かったセロは、「早く落ち着ける場所を探そう」と目を皿のようにして候補となる場所をいくつかピックアップする。
「ふぅむ。あの辺りにするか……」
グリフォンの背に跨り、セロはしばらく上空から森の全容を眺める。やがて眼下に広がる森の中に拠点として生活できそうな場所に目星をつけると、グリフォンに指示して降り立った。
彼が降り立った場所は、大陸中心部に広がる森の奥であった。その森は「スタイプスの森」と名の付けられており、周辺国でも有数の魔物の生息地として名が通っている。
森の中央には熊や虎といった大型で凶悪な魔物が生息しており、その外には森の出口へ向かって鹿や猪といった中型、猿や兎などの小型の魔物と魔物のバリエーションが多いのが特徴である。
そうした多くの動植物や魔物が棲息するこの地で、セロが拠点としたのはスタイプスの森の奥にある開けた場所。その付近には澄み切った川が流れており、拠点とするには申し分のないスペースが確保できる。
「それじゃあまずは……家を作らないとな」
運んでくれたグリフォンに礼を言いつつカードへと戻したセロは、目の前のスペースから建てられる家の大きさを逆算し、あーでもないこーでもないと中の間取りを思案する。
家、と言ってもそれは基礎から作り上げるものではなく、あくまでも急場しのぎの簡素なものだ。
「とりあえずは雨風を凌げればいいから、チャチャッと作るか」
おおよその間取りを決めたセロは、演算領域に術式を組み上げると、その両手をペタリと足元の地面につける。
「術式効果範囲、確定。対象物の縦・横・高さの三次元展開時の設定……完了。術式名称、土箱の家……起動っ!」
静かに両眼を閉じて告げた彼の言葉を合図に、予め設定した範囲の地面がみるみるうちに盛り上がる。やがて盛り上がった土は綺麗な正六面体へと姿を変えた。
「んでもって、外壁の『硬質化』、『強靭化』、おまけに『耐水性』の付与……と。こんなもんかな」
作り上げた正六面体、その壁面に手を添えたセロは、サクサクと出来たばかりの土箱に魔法を付与する。
最後に「切断」の術式で入り口となるドアを作製して終了だ。
「壁の色とか中のレイアウトは後で考えるか。とりあえず、当座の生活の拠点が出来ただけでもよしとしよう」
セロは中へ入り、自分の思い描いた通りの間取りとなっていることを確認すると、再び外へ出て近くの川に頭を突っ込んだ。
「ぷはっ! 家も出来たし、一安心かな」
セロは独り言を呟きながら、流れる川の水で髪にべっとりと付着した血を落とす。そして家の中でゆっくりと今後のことを考えようとした矢先、彼の腹がけたたましく鳴り出した。
「あー……もうそんな時間だったのか」
空腹を訴える腹に、セロはちらりとその目を空へと向ける。けたたましく鳴る腹の虫に同意するように、彼の視線の先に広がる空は茜色に染まっていた。
「夕食、か………そういえば、朝から何も口にしてなかったっけ」
セロは、ふと今日の自分の行動を思い返しながらポツリと呟く。襲い来る兵士たちから逃げ回り、その先で魔法を駆使して敵を返り討ちにした。そして化け物となったかつての仲間たちに「魂魄製錬」を施し、五体のアルカナの化身たちと共に残りの軍勢を楽園から退けた。
楽園崩壊の際に亡くなった仲間たちを葬送し、この地に降り立って拠点を構えた。
魔法を修練していたセロも、流石にこう立て続けに魔法を行使するとは予想していなかったために、今まで味わったことのない倦怠感が身体を襲った。
また、戦闘時に「身体強化」の魔法を使用した反動が大きく、あれから時間が経過しても、解除後に鈍い痛みが全身を襲っていた。
「――っ!? こりゃあしばらく無理はできないな……」
身体があちこちで訴える痛みに、わずかに顔を顰めつつ呟いたセロは、今もなお鳴り続ける腹の虫をどうやって落ち着かせようかと考えを巡らせた。
「……森の中、か。楽園から解放されたのはいいものの、結局ロクな準備もできなかったからな。これからどうしようか……」
セロは息を整えつつこれからの行動方針を思案する。着の身着のまま逃げ出した彼にとって、楽園の外は未開の地だ。もちろんこれまで蔵書室に入り浸っては、手当たり次第に書籍を読み漁ったおかげで大まかな基礎知識は詰め込んだものの、知識だけでは生きていくことは難しい。
「それに、ここには『魔物』もいるんだっけか……」
茂みの奥から聞こえてくる微かな獣たちの息遣いに、セロは思わず喉を鳴らした。これまで「楽園」という檻の中で生活していた彼にとっては、「死」という事象は身近なものではなかった。
だが、その檻から出た今は違う。魔物と呼ばれ、人の命を脅かす生き物との遭遇率が高いこの場所では、わずかな判断ミスが命取りとなる可能性が高い。ましてやセロは身体の出来上がっていない子どもである。戦闘経験のある大人とは異なり、命の危険にさらされる確率は殊の外高いと言えるだろう。
(うーん……術後の反動を考えると、身体強化の魔法はそうそう長くは保たないな。かと言って、今の俺には身を守るための武器すらない……)
ふと「カードを使えばいいのではないか?」との選択肢も浮かんだセロだったが、すぐにその考えを却下する。
(いや、カードを使うのは「ここぞという時」まで温存しておこう。呼び出すのは簡単だが、それじゃあ主人である俺がアイツらにおんぶに抱っこになっちまう。一人で生きていかなきゃならない以上、大抵のことは自分でできるようにしておかないと……)
孤独という現実に不安と焦燥が募る中、セロは深く息を吐いてどうにかそれらを抑え込む。そして、小さな声で「よしっ!」と、気合いを入れ直したセロは、ゆっくりとした足取りで前を見据えて進み始めた。
(困っていたら誰かが助けてくれるなんて甘っちょろいことは言ってられない。これが俺の選択だ。俺は――絶対に生き延びてやる)
そんな決意を胸に秘めながら、セロは鬱蒼と茂る森の中を進んでいった。
◆◇◆
「しっかし、蒸し暑いなぁ……それに腹減った……」
夜の闇が迫る中、鬱蒼と茂る木々の中をセロは進む。いつ血に飢えた魔物に襲われてもおかしくはない状況下、彼は周囲に目を配りつつ一歩、また一歩と進んでいく。
だが、ジメジメとした不慣れな森を極度の緊張にさらされ続けながら進んだ結果、彼の気力・体力はジワジワと蝕まれていった。加えて楽園を飛び出してから水の一滴すら口にしていないため、軽度の脱水症状に陥っている。
(まずいぞ……このままじゃ、何もできずにただ野垂れ死ぬだけだ。何か……この状況を脱する方法は……)
腹が空腹を訴え、疲労が判断力を奪う中でセロは懸命にこの窮地を脱する方策を考える。その時、彼の耳が少し先の茂みの奥で何かが動く音を拾った。
(あれは――)
その場に立ち止まり、静かに様子を窺うセロが捉えたのは一匹の野兎だった。その野兎は真後ろに位置しているセロの事に気づく素振りすら見せず、黙々と雑草を食んでいた。
(やるしかない、か……)
背に腹は代えられず、目の前の野兎を狩ることを決心したセロは、右手をピストルの形に変えて突き出た人差し指を野兎の方へと向ける。
(術式名称:「魔法弾」、構築及び発動準備……完了)
多量の魔力消費から来る倦怠感と頭痛をぐっと奥歯を噛んで押し殺し、相手に気取られないよう小さく息を吐いたセロは、自らの魔法演算領域に素早く術式を組み立て、展開する。同時に人差し指の先に直径一センチほどの極小な魔法陣が形成された。
(――発射っ!)
心の中に呟いた言葉を引き金とし、極小に展開した魔法陣から仄かな青白い弾丸が射出された。
「――ッ!? グピィッ!?」
セロの放った弾丸は吸い込まれるように茂みの奥へと向かい、草を食んでいた野兎を強襲する。結果、野兎は断末魔と共に首元に小さな穴を空けられて絶命した。
「ごめんな……」
息絶えた野兎の元へとやってきたセロは、鮮血を流すそれを見下ろしながらわずかに表情を曇らせて小さく謝罪する。
「形状変化、鋭利化……」
謝罪を終えたセロは近くにあった少し太めの枝を折り、魔法を発動させる。すると手元に展開された魔法陣がすっと枝の先まで移動し、瞬く間にその形状を細身のナイフへと変えた。
「よし、うまくいった。あとは――」
満足のいく魔法の効果に思わず軽く頷きながら呟いたセロは、その視線を野兎の方へと戻す。そして、セロは静かに息絶えた野兎を慣れない手つきで解体するのだった。
「何とか当面は凌げたか……」
拠点へと戻り、狩ったばかりの兎肉を食べ終えたセロは、魔法で生み出した焚き火をぼんやりと眺めながら口を開いた。既に陽は茜色に染まり、ゆっくりと空の色が濃紺へと移り変わっていく。
「ただ、やっぱりこのままじゃあマズイよなぁ……」
思案に暮れるセロは、ため息交じりに弱々しい言葉を吐いた。セロは「あの『楽園』から出て早々、もう弱音を吐くのか?」と、自嘲気味に問いかける。否定したい思いは強いものの、その言葉を間違っていると指摘するだけの確かな理由はない。
事実、身を守る術はこれまで磨いてきた魔法と手に入れた木製のナイフだけしかないのだ。
(食料はこの森の動物を狩れば問題ないだろうけど……ちょっと格上のモンスターと遭遇すれば逃げることしかできないな。魔法もこの世界じゃ「失われた技法」だ。下手に他人に見られたら、今度こそ研究素材として一生を終えるだろう。それに、魔法も万能っていうワケじゃない。相性によって魔法が効きづらい魔物もいるだろうし……)
目の前で揺れる炎を眺めるセロは、真剣な面持ちで思索を巡らせていく。彼の目下の課題は、自身が生き抜くための手段の確保だ。魔法を極力隠しつつも、侮れることのない力を示せる手段。それがこの時のセロに課せられた最重要課題だ。
「今日は何とかなったけど、明日はどうなるか……」
食事を終え、土箱の家の中にある簡素なベットの上でごろりと横になったセロは、明日の我が身を案じながら静かに瞼を閉じ、激動の一日が終わりを告げたのだった。
◆◇◆
翌日、夜明けとともに目を覚ましたセロは、川の水で顔を洗った後に早速行動を開始する。
「ふむ。昨日より大分マシになったな……さて、と。今日は何にするかな……」
未だ魔力は完全回復に至っていないものの、動き回るには支障を感じない程度には回復できていると判断したセロは、腰や腕、足首などの関節を中心に軽く身体をほぐす。その後、ストレッチを混ぜて頭もクリアになった彼は、生い茂る草を掻き分けつつ、慎重に歩いて獲物を探し始めた。
「……うん? 何だアレ」
獲物を探し、歩き回っていたセロは、視線の先に大きな馬車が止まっているのを発見した。茂みの陰からよくよく注意して見てみると、馬車の幌には引っ掻いた爪痕のような裂け目が残っており、そのすぐ脇には血を流して絶命した二頭の馬が地に伏せていた。
「……魔物にやられたのか? 人がいないところを見ると、馬を残して逃げたのかな」
馬車を襲った魔物は立ち去っていたことから、セロは残った馬車に近寄る。念のため、幌の中に人がいないだろうかと確認しようと中に入ると――
「これは酷いな……」
彼の視界には思わず目を背けたくなる凄惨な光景が広がっていた。幌の内側には大量の血が飛び散り、床には数名の喰い荒らされた遺体が転がっている。死亡してから日が経っていたのか、幌の内部には濃密な血の匂いと共にわずかばかりの腐臭が漂っている。
「俺も一歩間違えれば……」
ふと目の前の光景を見たセロがポツリと呟く。改めて自分の置かれた状況を認識したセロは、静かに合掌してその場を離れようとした。
その時――彼の目が荷台の隅に転がっていた「ある物」に奪われた。
「これって――銃、なのか?」
隅に転がっていたそれを拾い上げたセロは、思わず目を大きく見開いて驚く。真っ直ぐに伸びた銃身に、その先に山のような形状をしたフロントサイト。人の手で握ることが想定された独特の形を持つグリップ。その形状は、セロが転生前、本宮数馬として生きていた時にゲームでよく目にしたハンドガンと酷似したものであった。
「へぇ……この世界にも銃があるのか。初めて知ったな」
引き金の上には回転式弾倉が取り付けられ、弾倉の後ろには銃弾を射出する撃鉄、リアサイトがある。
セロはどこか懐かしさを覚えつつも、その手にしたハンドガンを背中とズボンの間に挟む。ひんやりとした銃の冷たさが肌を通して伝わる一方、銃という頼もしい武器を手に入れたことにそれまで抱いていた懸念がわずかに軽くなった。
「……さて。あれから目ぼしいものは遠慮なく貰ってきちゃったけど……まぁ問題ないよな」
土箱の家へと戻ったセロは、ベッドの上で馬車の中から頂戴した品々を広げる。何と言っても一番の戦利品はハンドガンだったが、その他にも上等な片手剣にナイフも手に入った。
「……ついでに着ていた服も貰っちゃったけど、この際仕方がないよな。一応出来る限り丁寧に遺体は埋葬したから、あとで化けて出てくるとかは止めて欲しいけど」
まるで追剥ぎでもしているかのような錯覚を覚え、セロは多少ながら罪悪感は抱いてしまう。しかしながら、着の身着のまま楽園を出た彼にとって、身につけている服しか着るものがないというのは切実な問題でもあった。
(まぁ服については、最悪自作するってのもないことはないけど……さすがに本職じゃない分、すぐにできるってワケでもないしなぁ……)
セロはチラリと着替える前に身につけていた服を見ながらふとそんな思いを心中に零した。彼の視線の先にある以前の服は、至る所にシミとなった返り血がこびり付いており、袖口やズボンの裾には擦り切れた痕や穴が空いている状況であった。
彼の吐露した言葉にある通り、生活の拠点とした森の中には、魔物も含め多様な動植物が棲息している。その気になれば、衣服の作製に適した材料も手に入れられるだろう。しかしながら、転生前の生活も含め、縫い物をしたことが数えるほどしか経験が無いため、満足に着られる服を作り上げるのは時間がかかる。また、この森に来たばかりのセロにとっては、どの素材が服に適したものなのかといった見識は皆無に等しい。森の中を探索し、一から素材を吟味するにはやはり時間がかかる。
至る所に血がこびり付いている服では、その匂いを嗅ぎつけられ、いつ強大な魔物に襲われるとも限らない。罪悪感は多少残るものの、これもまた生きるために必要なのだとセロは自らを言い聞かせるほか無かった。
「……ふむ。ちょっとサイズが大きいケド、何とかなったかな」
持ち帰った衣類に袖を通した今のセロの出で立ちは、ハイカットシューズに漆黒のズボン、襟付きの白シャツにズボンと同じ色のジャケットと、楽園から出て来た時の白い半そでシャツと同色の薄い長ズボンのみという格好からは随分とマシになっている。
もっとも、どの服も大人サイズしか手に入れることが出来なかったため、裾や袖は丈に合うように何度か折り込まなければならなかったのだが。
「あとはコレか……う~ん。手に入ったはいいものの、弾はシリンダーの中にあった3発しかなかったし、グリップの底が歪んでいる。銃身も曲がっているし……これじゃあ、ちょっと直しただけじゃ使えないな。修理が必要だけど、材料ってどうしたらいいんだろ。それに、この弾丸の材料は砕いた精霊片が火薬代わりに使われているようだし。うぅ~ん、鉱石と精霊片かぁ……帰りがけに見たあの洞窟の中にあるかなぁ……」
ハンドガンという強力な武器を偶然にも手に入れることができたセロだったが、その予想外に酷い状態にため息を吐いた。修理には材料が必要だが、それを得られる可能性があると判断できるのは、家へと帰るルート上で目にした洞窟だけであった。
「あの洞窟なら、岩肌から採掘すれば鉱石は手に入るかもしれない。精霊片はーーどうだろ? 行ってみないと分からない、か」
セロはハンドガンをテーブルに置き、ぐっと背を伸ばして肩を揉む。
「くぁっ……細かいところまで見てたから目が疲れたな。一応の体裁は整ったし、運よく武器も手に入った。なら……行ってみるか」
手に入れた武器の手入れを終えたセロは、覚悟を決めて洞窟へと入る決心を固めて静かに眠りにつくのだった。
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