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【黒の創造召喚師 ―Closs over the world―】
第006話 神様からのお願い、という名の迷惑②
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「え、えぇっと……増えてきた失踪者数に関して疑問を持った地球の神が独自に調べたらしいんだよ。まぁちょっと調べるくらいなら世界に干渉は無いし、そもそもが地球にいた人だからね。自分の管轄する世界から他所の世界に移った人間の足取りについて、当然ながら地球の神には調べる権利がある」
「それで、調べたら――そいつらが送られた先がお前の管理する世界だった、と」
「……ハイ」
「んで、お前はウチに入り浸ってたから分からなかったと」
「……ソウデス」
そこまで聞いたツグナは、あからさまに大きなため息を吐いて一喝する。
「仕事しろや!」
まったくもって正論な一言に、ディエヴスはブワッと涙を流してツグナに縋る。
「いや、ホントにゴメンって! 地球の神からも『調べてくれ』って頼まれてたんだけど、丁度その頃ってオルクスのことで手一杯だったんだよ。まさか少しずつ召喚者数を増やしていたとは思いもよらなくて……気付けば地球の神からブチギレされたんだよ」
「単に他所の神からの依頼を後回しにしてただけじゃねぇか。そういうのを『自業自得』っつうんだよ! えっ? 何? 神様って全知全能の、唯一無二の完璧な存在じゃねぇのか? それってつまり――『駄目神』ってことじゃあねぇのか?」
カッと目を大きく見開いて一喝したツグナのにべもない返しに、ディエヴスはまたもや泣きながらツグナの袖を掴んで話す。
「ひっ、く……う、うえぇぇぇ~~~……そ、そんなこと言わないでよぉ~~~。ホントに……ホントにホントに怖かったんだから! キミは分からないだろうケド、正座させられて丸1カ月、ずっとずっと飲まず食わすで渾々と一対一で問い詰められたんだよ! 終いにはさりげない皮肉と『もちろんお前が誠心誠意対応するよな?』っていう無言の圧力と全くもって温かみのない笑顔でねッ! 正直気が狂うかと思ったよ!」
「えっ? いっそのこと、この際だからトチ狂っとけばいいんじゃねぇのか? その方がいっそ楽だぜ?」
「サラッと酷いこと言うね!? 何? キミには神を敬う気持ちとかないワケ!?」
すげなく「自業自得だろ」と告げるツグナに、ディエヴスはガシッと彼の襟元を掴んで激しく前後に揺らす。
「アッハッハ。何を言っているのだね、チミは。こうしてみっともなくベソかいて、自分のやらかしたミスを俺に尻拭いさせようと『助けて』って泣き付いてきてるんだぞ? その時点で『神を敬う』なんてもんはゼロだぜ?」
「ふぐぅっ!? 正論過ぎて何も返せない……」
ギャアギャアと子どものように喚きながら喋り続けるディエヴスに、ツグナは時折呆れとため息を漏らしながら話に耳を傾ける。
「……ねぇ、私の気のせいかしら。ツグナと話してる方が私たちの住むこの世界の神様だなんて……到底思えないんだけど」
一方、二人の会話を遠巻きに眺めていたキリアが、思い浮かぶ言葉をそのまま口から出す。
「きっと気のせいじゃないわ。私も同感だもの。よく兄さんは話を聞いてあげられるわね。素直に偉いと思うわ。話を聞いているだけで、あの神様のダメっぷりがありありと目に浮かぶもの……」
「あー、それはリーナ姉と同じかな、私も。なんだろ、神様というか……近所にいるちっちゃい子どもを相手してる……みたいな感じ?」
「あ、それそれ! 私もそう思った!」
キリアの発言に、リーナ、アリア、ソアラの言葉が続く。話の内容的に重大なことなのだろうとはおよそ察しはつくものの、ツグナとディエヴスの言動がその事の重大さを薄れさせているとは気づいていない。
「……いや、お前たちも似たようなものだぞ?」
キリアたちがペチャクチャと喋る少し横では、リリアが紅茶を飲んでまったりしつつもそんな言葉を呟く。
「ですが、こんなにも賑やかなのは久しぶりですから。まぁ多少は目をつぶってもいいんじゃないですか?」
おかわりを注ぐシルヴィもまた、リリアの発言にくすりと笑みを漏らしながら言葉を重ねた。
「それで、調べたら――そいつらが送られた先がお前の管理する世界だった、と」
「……ハイ」
「んで、お前はウチに入り浸ってたから分からなかったと」
「……ソウデス」
そこまで聞いたツグナは、あからさまに大きなため息を吐いて一喝する。
「仕事しろや!」
まったくもって正論な一言に、ディエヴスはブワッと涙を流してツグナに縋る。
「いや、ホントにゴメンって! 地球の神からも『調べてくれ』って頼まれてたんだけど、丁度その頃ってオルクスのことで手一杯だったんだよ。まさか少しずつ召喚者数を増やしていたとは思いもよらなくて……気付けば地球の神からブチギレされたんだよ」
「単に他所の神からの依頼を後回しにしてただけじゃねぇか。そういうのを『自業自得』っつうんだよ! えっ? 何? 神様って全知全能の、唯一無二の完璧な存在じゃねぇのか? それってつまり――『駄目神』ってことじゃあねぇのか?」
カッと目を大きく見開いて一喝したツグナのにべもない返しに、ディエヴスはまたもや泣きながらツグナの袖を掴んで話す。
「ひっ、く……う、うえぇぇぇ~~~……そ、そんなこと言わないでよぉ~~~。ホントに……ホントにホントに怖かったんだから! キミは分からないだろうケド、正座させられて丸1カ月、ずっとずっと飲まず食わすで渾々と一対一で問い詰められたんだよ! 終いにはさりげない皮肉と『もちろんお前が誠心誠意対応するよな?』っていう無言の圧力と全くもって温かみのない笑顔でねッ! 正直気が狂うかと思ったよ!」
「えっ? いっそのこと、この際だからトチ狂っとけばいいんじゃねぇのか? その方がいっそ楽だぜ?」
「サラッと酷いこと言うね!? 何? キミには神を敬う気持ちとかないワケ!?」
すげなく「自業自得だろ」と告げるツグナに、ディエヴスはガシッと彼の襟元を掴んで激しく前後に揺らす。
「アッハッハ。何を言っているのだね、チミは。こうしてみっともなくベソかいて、自分のやらかしたミスを俺に尻拭いさせようと『助けて』って泣き付いてきてるんだぞ? その時点で『神を敬う』なんてもんはゼロだぜ?」
「ふぐぅっ!? 正論過ぎて何も返せない……」
ギャアギャアと子どものように喚きながら喋り続けるディエヴスに、ツグナは時折呆れとため息を漏らしながら話に耳を傾ける。
「……ねぇ、私の気のせいかしら。ツグナと話してる方が私たちの住むこの世界の神様だなんて……到底思えないんだけど」
一方、二人の会話を遠巻きに眺めていたキリアが、思い浮かぶ言葉をそのまま口から出す。
「きっと気のせいじゃないわ。私も同感だもの。よく兄さんは話を聞いてあげられるわね。素直に偉いと思うわ。話を聞いているだけで、あの神様のダメっぷりがありありと目に浮かぶもの……」
「あー、それはリーナ姉と同じかな、私も。なんだろ、神様というか……近所にいるちっちゃい子どもを相手してる……みたいな感じ?」
「あ、それそれ! 私もそう思った!」
キリアの発言に、リーナ、アリア、ソアラの言葉が続く。話の内容的に重大なことなのだろうとはおよそ察しはつくものの、ツグナとディエヴスの言動がその事の重大さを薄れさせているとは気づいていない。
「……いや、お前たちも似たようなものだぞ?」
キリアたちがペチャクチャと喋る少し横では、リリアが紅茶を飲んでまったりしつつもそんな言葉を呟く。
「ですが、こんなにも賑やかなのは久しぶりですから。まぁ多少は目をつぶってもいいんじゃないですか?」
おかわりを注ぐシルヴィもまた、リリアの発言にくすりと笑みを漏らしながら言葉を重ねた。
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