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2章 屋敷での生活
新たな生活
しおりを挟む騎士団の皆と別れて一週間がたったある日の明け方、ティナは夢の中にいた。
(此処はどこだろう。夢・・・の中なのかな?)
ティナは意識がぼんやりとしていてふわふわと浮かんでいる感覚を味わっていた。
(なんだろう、すっごい落ち着くなここ。)
と、夢の中だと思ってるからか、何の緊張感もなくそんなことを考えていた。
『…………。』
(ん?なんか聞こえた??)
『いーかげ・・づけよ!』
『ずっとちか・・・るのよ。』
『待つ・・楽じゃな・・だからな!』
『早くおしゃべ・・・・ですぅ~!』
『我の呼び・・を無視す・・!』
『・・・待ちく・・・た。』
『ふわぁ~、・・・もー早く』
『『『『『『『呼んでっ!』』』』』』』
│││││││││││││││││││││
「うわぁ!」
(・・・今の、夢??途切れ途切れで聞こえづらかったけど、最後の呼んでってどういう意味なんだろ・・・何か怖っ)
肌をさすりながら考え事をしていると、部屋にノックの音が響いた。
「ティアーナお嬢様、お目覚めでしょうか。紅茶をお持ちいたしました。」
ドアの外から聞こえてきたのは若い男の声だった。
「あ、はーい。どうぞ」
(うーん、このお嬢様ってなんか照れ臭いなぁ)
こんなことを考えつつ入室を許可する。
「失礼いします。」
そういって入ってきたのは十六歳くらいの少年だった。その少年は鮮やかな緑色の長い髪を一つにまとめており、爽やかな見た目が印象的だ。
(うーむ、奥様方に人気そうな見た目だな!しっかしイケメンだこと!!)
「本日からティアーナお嬢様の専属執事になった、ロセ・ルクレシオと申します。よろしくお願いします。」
「えっと~よろしくね、ロセ!」
「はい!」
落ち着いた雰囲気のロセは、緊張していたのか声が固かったが、ティナが笑顔でこたえると緊張が少しほぐれたようだった。
(ロセ、ロセ・・・んー、どっかで聞いたことあるような?・・・はぁ、前にもこーゆーことあったなぁ。モヤモヤするぅ!!)
「ティアーナお嬢様?」
「あっ、ごめんなさい。考え事してたの。」
「そうでしたか。」
考え事をしていたため、ピクリとも動かないティナに心配そう声をかけたロセだったが、ティナが問題ないことを伝えると、ほっとしたような表情をみせた。
(うーん、まだ壁を感じるな・・・)
「ねぇ、ロセ?」
「何でございましょう。」
「あのね、二人の時はあまり堅苦しくしないでほしいの。あと、ティアーナじゃなくてティナでいいから。」
上目遣いでお願いしてみる。
「っ・・・そのお顔はずるいですティアー「お願い!」・・・はぁー、わかりました。ですが私は普段から敬語なので、そこは変えられませんよ?」
「!ありがとう!!」
一瞬たじろぎ、手で顔を覆いながらそう言ったロセに、ティナは嬉しくなって満面の笑みでお礼を言った。
「そういった顔を外でやっちゃ駄目ですよ?変な虫がつくので。」
ロセはそう言いながら紅茶を注いでくれた。
「ん、美味しい~!!」
「良かったです。」
髪と同じ色の瞳を嬉しそうに細めて笑った顔は、一瞬見蕩れるほど格好良かった。
それから暫くティナは紅茶を楽しんだ。
コンコン・・・
「ティアーナお嬢様、お着替えの手伝いに参りました。」
「あ、わかりました。」
(そっか、貴族は自分で着替えないのか・・・。)
前世は庶民だったティナは、こういったことになれるのは時間がかかりそうだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それからメイド達の手によって寝間着姿だったティナは、可愛らしい令嬢に変身した。(ちなみにロセは部屋の外で待っていてもらった。)
「とても可愛らしいですわ!ティアーナお嬢様。では、食堂へご案内致しますね。」
鏡の前で目をパチクリしているティナに、メイドは微笑みながら食堂へと促した。
「はい!お願いします!」
こうしてティナ達は食堂へ向かったのだった。
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