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べ、別に全部集める訳じゃないんだからねッ!勘違いしないでよね!
しおりを挟む「部長、部長。見てくださいよ、これ」
ある日の部活動。
しるたん部の唯我独尊素人、シールに関して全くの無知、むしろここにいる理由が未だに不明の1年生、四ッ角直人は、先輩部員であり部長でもある三田好美に手に持つソレを見せた。
「なぁに四ッ角。くだらない物見せるつもりならなら承知しないわよ。シール見ながら精神集中していたこのわたくしの貴重な時間を貴方の様な残念素人の為に割くのだから。具体的には明治の快怪魔界以上に面白い物を見せなさいな。ファンタジアムの逆襲パート2以下なら社会的に抹殺よ!」
「いえあの全然具体的じゃ無さすぎてメッチャハードル高いんだか低いんだかすら分からないんですが!?下手したら抹殺されちゃうレベル!?」
「勉強不足も甚だしいわね!そんなあなたには快怪魔界における『清々素人(すがすがしろうと)四ッ角君』の称号を授けるわ!特技は『爽やか三角また来て四角拳』よ!」
「いえあのその称号が果たしてどの程度光栄でどの程度社会で通用するのか分からないんですが!?
部長の例えは相も変わらず、とある一方向にステータスが割り振りされ過ぎている。
脳筋ならぬ脳汁、だ。
「ちなみに二枚目は『ナオト・インティライミイラ』よ!」
「上手いッ!四ッ角直人とナオト・インティライミとミイラを掛けて快怪魔界のコンセプトを再現するとはさすがやで!さすがはウチのライバル。腐ってもしるたん部の部長や!頭ん中腐りまくりや!」
そしてこちらもブレずに唐突にツッコんでくる副部長、宵闇舞奈さん。
この人が絡むと会話が本格的に漫才の様相を呈してくる。
「あなたの頭の中身もシュールストレミング並みに腐ってるのでは?
エセ関西人臭がプンプン匂ってましてよ?
今風に言うなら『激ニオプンプン丸』といったとこかしら!?」
昭和漫画の演出の様に、何故か目と目の間で火花を散らす二人。
普通にしてると二人とも平均以上に可愛いのだが、口からヨダレより先に汁が漏れてくる。
愉しそう……なのか?
何となく素人の自分が仲間外れになった気分になり、少しだけ寂しくなる。
「机に突っ伏してから起き上がってこちらを見つめている四ッ角が可哀想だから話を進めてあげるわ!!で?何を見せようとしているのかしら?ナオト・インティライミイラ君?」
「話の腰、バッキバキの全治六ヶ月の複雑骨折並みに折りまくって、それでもギプスだけは装着してくれる部長の優しさに涙がちょちょ切れますよ…
まぁ、とりあえず大したもんじゃないんですが。スーパー行ったらちょっとシール売ってたんで買ってきました」
四ッ角は、出しそびれたそれを好美と舞奈に見せた。
「あら。ラブライブうえはーすシールね。」
「せやなぁ。自分ラブライバーやったん?ムッチムチのクセにスキューバダイビングとか似合わんからやめとき~!」
「それデブダイバーだろ!全国のスキューバダイビングやってる少し豊満で『俺ちょいアウトドア派』気取りのデブに謝れ!」
「いや、ボケたうちが言うんもなんやけどあんたのツッコミも大概やで」
「そうね、どちらかと言うとスキューバダイビングよりデブでサーファーの方がムカつくわね…
デブでロン毛でサーファーでタバコ吸ってる奴は爆発していいわ」
「…いや、アンタのボケも大概…っていうか、過去にデブサーファーとなんかあったん…?」
舞奈さんが冷静にボケ&ツッコミ対応する珍しい光景。
「デブダイバーでもデブサーファーでもなんでも良いんですが…お二人も当然集めてますよね?このラブライブシール。
たまたま買っただけだけどイラストが可愛いから、他のも見てみたいなぁって思って。
見せてくださいよ~」
四ッ角が懇願すると、まるで某24時間テレビの募金で立ってる子供たちの前を通り過ぎようとする買い物帰りのおばちゃんの様に顔を背ける好美と舞奈。
「いえ、あの、ほら、わたくしはロッテをベースにしたメジャーシールが収集対象なので、ラブライブはちょっと…ほら、舞奈、あなたはそっちがメインでしょう!?あなたがお出しなさいな」
「いや、うちはマイナーゆうてもメインはアンティークからの流れで…絵的にも萌え絵より燃え絵派やし、うち」
「じゃあ二人とも集めてないんですか?」
静かに頷く二人。
「へぇ~。普段からシールシール騒いでるお二人だからてっきり買ってる物かと思ってました。集めてないんですか~、なんか意外だなぁ~」
「それ!!」
「…はい?」
突然、ズビシッ!と四ッ角に指を指す好美。
現代日本でこうも堂々と指を指す人間も中々いない。
「シール集めてるんだから買ってて当たり前、その偏見がわたくし達コレクターを苦しめますの!!シールが売ってるから脊髄反射的に盲目的に惰性的に慢性的にオナニー的に買う!そう思われたら心外ですわよ!勿論、そういう人も居ないではないですが!!殆どのコレクターは数多い選択の中から財布と相談し選りすぐって買っている、だからシールに愛着も沸くんですの!
そもそも最近はメーカーですら出せば売れると勘違いして暴走してる節が」
「アカン!好美!それ以上発言したら各所からお叱り受けるで!!あんたの気持ちは痛いほどわかるけどそれ以上言うたらアカン!連載三回目にして最終回なってまうで!」
「わたくしはいつでも最終回を覚悟して発言してますわ!舞奈、あなたいつからそんな日和った性格になりましたの!?そんなんでわたくしのライバルとかちゃんちゃらちゃらちゃらチャラヘッチャラですわよ!」
「いやいやちょっと待ってくださいよお二人とも!最終回とか各所からお叱りとかいきなりメタネタ挟まれたら読者混乱しますって!!とりあえず!とりあえず『しるたん部っていうシール集めてだらだら喋る部活動というか、ただの暇潰し』っていう体に戻しましょう!ね?」
-——数分後———
「わーー。ラブライブシールやぁ——。でもゴメンなー。うち集めてないんやーー(棒読み)」
「残念ですけどわたくしも……ホホホ(棒読み)」
「そうでしたかー。じゃあこの話はこの辺でー。いやー、今日も楽しい部活動だったなぁー(棒読み)」
本日も何事もなく、部活動終了。
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