塵埃抄

阿波野治

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おフランス

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 閑散としたホームのベンチで、タクマとマモルは無駄話をしながら電車を待っていた。
 階段を上る足音が聞こえ、女学生がホームに現れた。二人は口を噤み、女学生を目で追う。女学生は白線の手前で足を止め、鞄のキーホルダーを手持無沙汰に玩び始めた。
 タクマとマモルは意味深に視線を交わし、ベンチから腰を上げた。忍び足で女学生に接近し、背後で足を止める。
 タクマがやおら女学生のスカートの中に手を入れ、尻を一撫でした。女学生は振り向いた。タクマとマモルのにやけ面を目の当たりにして、その顔が強張る。マモルが女学生の胸を鷲掴みし、揉み始めた。女学生は「やめてください」と叫んだが、ホームには三人以外には誰もいない。抵抗が激しくなった。二人の顔からにやけ笑いは消えない。数的優位と腕力の差に物を言わせて、尻を、胸を、執拗に弄くり回す。そうする傍ら、作業を着実に進めた結果、二人は女学生の上半身を裸にすることに成功した。女学生は極めて豊かな乳房の持ち主だった。
 再び視線を交わしたのを合図に、タクマが女学生の背後に回り込み、羽交い締めにした。マモルは女学生の無防備な乳房を、右、左と交互に、サンドバッグを拳で叩く要領で殴り始めた。二つの球体はちぎれんばかりに激しく弾む。マモルは、うひょひょひょひょ、と言いながら乳房を連打した。タクマは女学生の肩越しに、乳房が踊り狂う様子をにやにやしながら眺めている。女学生は排便を我慢しているような顔で猛攻に耐えている。
 やがてマモルが殴り飽きると、二人は役割を交換した。ほどなくタクマも飽きたので、哀れなる被害者は解放され、その場にへたり込んだ。特急電車がホームを通過する、というアナウンスが流れた。タクマとマモルは頷き合い、二人同時に、女学生の背中を思い切り蹴飛ばした。宙に投げ出された女学生の体と、ちょうどホームに滑り込んできた特急電車の車体がフレンチキスをした。
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