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地下
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僕と岡田くんはエレベーターに駆け込んだ。十畳ほどもある広いエレベーターだ。ドアが無慈悲に閉まり、走り遅れた横山くんを置き去りにして下降し始めた。
急にエレベーターの動きが止まった。フロアに着いたのかと思ったが、ドアは開かない。機械が故障し、中途半端な場所で停止してしまったらしい。
どうする? 目で問いかけると、岡田くんは側壁を軽くノックした。ノックした部分が四角く外側に開き、階段の降り口が現れた。岡田くんが階段を降り始めたので、後に続く。階段は六・七人が並んで通れるほどの横幅があった。反面、段差の奥行が短いので、足元に気をつけながら降りないと転げ落ちそうになる。
しばらくすると、殺風景な広間のような場所に出た。ひたすら直進すると、階段の上り口が前方に見えた。岡田くんは躊躇なく階段を上っていく。僕は黙って彼についていく。今度の階段は逆に奥行が長く、上りにくいことこの上ない。
何分も上り続けて、漸く外に出た。片側一車線の道路の歩道だった。道路の左右には田畑が広がり、民家が点在している。三百メートルほど先にコンビニらしき建物が見えた。僕たちはその店に直行した。
見たこともない外観、聞いたこともない名前のコンビニだったが、置いてある商品は普通のコンビニで売られているようなものばかりだ。なんだか無性に楽しくなってきた。岡田くんも右に同じらしい。買い物籠いっぱいに菓子を買い込み、店を出た。
コンビニの店先に胡座をかき、買ったばかりの菓子を食べる。話が弾み、笑い声が絶えなかったが、楽しかったのは最初だけだった。時間が経てば経つほど気分は沈み、口数は減り、笑顔はぎこちないものに変わっていく。
あの地下の広間で待たなければ、横山くんは僕たちを見つけられないのでは?
そう岡田くんに言いたい気持ちを抑えて、僕はひたすら菓子を食べ続けた。
急にエレベーターの動きが止まった。フロアに着いたのかと思ったが、ドアは開かない。機械が故障し、中途半端な場所で停止してしまったらしい。
どうする? 目で問いかけると、岡田くんは側壁を軽くノックした。ノックした部分が四角く外側に開き、階段の降り口が現れた。岡田くんが階段を降り始めたので、後に続く。階段は六・七人が並んで通れるほどの横幅があった。反面、段差の奥行が短いので、足元に気をつけながら降りないと転げ落ちそうになる。
しばらくすると、殺風景な広間のような場所に出た。ひたすら直進すると、階段の上り口が前方に見えた。岡田くんは躊躇なく階段を上っていく。僕は黙って彼についていく。今度の階段は逆に奥行が長く、上りにくいことこの上ない。
何分も上り続けて、漸く外に出た。片側一車線の道路の歩道だった。道路の左右には田畑が広がり、民家が点在している。三百メートルほど先にコンビニらしき建物が見えた。僕たちはその店に直行した。
見たこともない外観、聞いたこともない名前のコンビニだったが、置いてある商品は普通のコンビニで売られているようなものばかりだ。なんだか無性に楽しくなってきた。岡田くんも右に同じらしい。買い物籠いっぱいに菓子を買い込み、店を出た。
コンビニの店先に胡座をかき、買ったばかりの菓子を食べる。話が弾み、笑い声が絶えなかったが、楽しかったのは最初だけだった。時間が経てば経つほど気分は沈み、口数は減り、笑顔はぎこちないものに変わっていく。
あの地下の広間で待たなければ、横山くんは僕たちを見つけられないのでは?
そう岡田くんに言いたい気持ちを抑えて、僕はひたすら菓子を食べ続けた。
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