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真相④
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でも、そんな日々が重なるにつれて、だんだん苦痛に感じはじめた。中後さんへの奉仕に終わりが見えないのがその理由。ギブ・アンド・テイクならまだしも、彼は卓郎を食い荒らした時点で自分の責任を果たしている。中後さんが住人を殺すことでわたしは留飲を下げているけど、彼は自分自身の恨みを晴らし、食糧の足しにする目的で殺しているのであって、わたしのためじゃない。
それとは別に、わたしの心を悩ませることがあった。それは、ほんとうのお母さんが心を許してくれないこと。
わたしのほんとうのお母さん――西島咲子は、地区長だった卓郎の死後しばらくして、選挙の結果新しい地区長に選ばれた。だから、養父亡きあとの生活について相談する、という名目で対話を目論見たけど、ことごとく門前払いに近い対応をされた。今になって考えてみれば、当たり前だよね。人食い虎と関係があると噂されているわたしは、地区長という立場の人間にとっては敵も同然。わたしが邪魔で吉行家に預けたのだから、そういう意味でも接近を許したくない相手でもあるし。
温もりを求めるたびに冷たくあしらわれて、わたしは傷ついた。孤独を感じた。中後さんはわたしの味方だけど、さびしさを消すための行動はとってくれない。眠って、殺して、食べて、たまに話をする。そんな生活に満足しきっていて、わたしにはなにもしてくれない。
さびしさを消してくれないという意味では、ケンさんも同じ。彼は竹細工作りを手取り足取り教えてくれて、わたしにお金を稼ぐ術を与えてくれた。竹を伐る、竹を竹ひごに加工する、竹ひごをわたしの家まで運ぶ。わたし一人では難しい仕事を無償で引き受けてくれたのは彼だけだし、仕事以外の面でも面倒を見てくれた。それ自体は感謝してもしきれないけど、でも、さびしさはどうにもしてくれなかった。ケンさんは生まれつき障害があるせいで、人の気持ちを汲む能力が不足しているから、仕方がないことなんだけど。
そんな日々を送るうちに、知らずに知らずのうちに悲観的になったわたしは、卓郎を殺したことを悔やむようになった。あの人は実の娘を穢したクズ中のクズだけど、果たして死に値する大罪を犯しただろうか? なにも殺さなくてもよかったのでは? 地区長として小毬の住人に貢献してきたのはたしかなのだし、情状酌量の余地くらいはあったのでは? そんなことを延々と考えて、ずっと悶々としていた。生きるという、中後さんを前に願った願いは叶えられたけど、でもそれだけの日々。
これは罰なのだ。卓郎を殺してしまった罰として、惨めな人生を送っているのだ。嫌でも、苦しくても、受け入れて生きていくしかないのだ。
そう自分に言い聞かせて、どうにか精神の安定を保ってきた。
それとは別に、わたしの心を悩ませることがあった。それは、ほんとうのお母さんが心を許してくれないこと。
わたしのほんとうのお母さん――西島咲子は、地区長だった卓郎の死後しばらくして、選挙の結果新しい地区長に選ばれた。だから、養父亡きあとの生活について相談する、という名目で対話を目論見たけど、ことごとく門前払いに近い対応をされた。今になって考えてみれば、当たり前だよね。人食い虎と関係があると噂されているわたしは、地区長という立場の人間にとっては敵も同然。わたしが邪魔で吉行家に預けたのだから、そういう意味でも接近を許したくない相手でもあるし。
温もりを求めるたびに冷たくあしらわれて、わたしは傷ついた。孤独を感じた。中後さんはわたしの味方だけど、さびしさを消すための行動はとってくれない。眠って、殺して、食べて、たまに話をする。そんな生活に満足しきっていて、わたしにはなにもしてくれない。
さびしさを消してくれないという意味では、ケンさんも同じ。彼は竹細工作りを手取り足取り教えてくれて、わたしにお金を稼ぐ術を与えてくれた。竹を伐る、竹を竹ひごに加工する、竹ひごをわたしの家まで運ぶ。わたし一人では難しい仕事を無償で引き受けてくれたのは彼だけだし、仕事以外の面でも面倒を見てくれた。それ自体は感謝してもしきれないけど、でも、さびしさはどうにもしてくれなかった。ケンさんは生まれつき障害があるせいで、人の気持ちを汲む能力が不足しているから、仕方がないことなんだけど。
そんな日々を送るうちに、知らずに知らずのうちに悲観的になったわたしは、卓郎を殺したことを悔やむようになった。あの人は実の娘を穢したクズ中のクズだけど、果たして死に値する大罪を犯しただろうか? なにも殺さなくてもよかったのでは? 地区長として小毬の住人に貢献してきたのはたしかなのだし、情状酌量の余地くらいはあったのでは? そんなことを延々と考えて、ずっと悶々としていた。生きるという、中後さんを前に願った願いは叶えられたけど、でもそれだけの日々。
これは罰なのだ。卓郎を殺してしまった罰として、惨めな人生を送っているのだ。嫌でも、苦しくても、受け入れて生きていくしかないのだ。
そう自分に言い聞かせて、どうにか精神の安定を保ってきた。
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