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「あ、あんん……!んんーっ!」

 一度ナカでイクことを覚えた体は止まらなかった。
 もう何度も中イキを繰り返して頭の中はポワポワしてきている。

「ふふ、凄いですね。これで私が入ったらどうなってしまうのかな」

 じゅぶじゅぶといやらしい音を立てて指を抜き差ししながらアルべニーニョが笑う。

「ありー、ありー、も、いれて、ありーのでイキたい……!」

 舌ったらずなそのおねだりにアルべニーニョはごくりと喉を鳴らすと指を引き抜いた。

「そうですね、そろそろ良さそうだ」

 避妊具を手に取ってびっと歯でそれの封を切る。
 くるくるとそれを己の屹立に纏わせて敬介の濡れそぼったそこに先端を押し当てた。

「痛かったら言ってくださいね。止まるよう努力はします」
「ん……」

 敬介の腰を掴んでアルべニーニョはずにゅ、と先端を中へと含ませた。

「あ、あー……!」

 よく慣らしたおかげか敬介はさほど痛みを感じていないようだった。
 ぬぷん、と一番太い雁首まで押し込むと感じ入ったように顔を赤く染めている。
 これならいけるな、と判断したアルべニーニョはずずっと奥まで自身を押し込めていく。

「ああーっ!」

 甲高い声が耳に心地いい。そして飲み込まれていく感覚は別格の気持ちよさだった。
 アルべニーニョは女相手ではあったがアナルセックスの経験があった。その時はそれほどなんとも思わず、丁寧に解さなければならないだけ面倒だと思っていた。
 けれど敬介の中はどうだ。

 隘路はうねりアルべニーニョに絡みつき逃がそうとしない。もっと奥へ奥へと誘ってくる。
 はあ、と深いため息を吐きながらアルべニーニョが腰を進めていくととんと奥の扉に当たった。
 まだそこは固く閉ざされていてアルべニーニョを受け入れてはくれない。
 だからアルべニーニョはそこを優しくノックすることにした。

「ん、んぅ……!」

 奥の扉をとんとんと先端で叩くと敬介がぎゅっと目を閉じてアルべニーニョの体にしがみつきながら鼻に抜けた声を漏らす。

「んう、んー、ふ、んんー……!」

 とんとん、とんとんと何度も何度も揺さぶる。
 すると先端がくぷんと奥に含まれ始めた。あと少し。とんとん、くぷくぷ。
 ぐぽんっ。

「は、ぐっ」

 それは突然やってきた。敬介は自分の身に何が起きたのかわからず目の前をちかちかと飛ぶ星を見つめた。

「根元まで、入りましたよ」

 アルべニーニョが優しく言う。なに、なにが起きている。敬介ははくはくと唇を動かした。

「ここはあなたの一番奥です。私を迎え入れてくれてありがとうございます」

 己の腹を見下ろす。腹には精液が散っていた。押し込まれた時に反射のように達してしまったのだろう。
 臍の下までアルべニーニョのものが入り込んでいる感覚。

「動きますよ」
「待っ、あうっ」

 ぐぽんっと弁が雁首に引っかかって音を鳴らす。それは体の奥と耳から確かに聞こえた。
 ぐぽん、くぷん、ぐぽん、くぷんとゆっくりではあったが確実に抜き差しされて敬介は必死でアルべニーニョの体にしがみついた。
 最初はふかふかだったアルべニーニョの体毛がしっとりとしている。彼もそれだけ汗をかいているのだ。

 それが求められている証のようで敬介は嬉しくなって、あ、と口を開いた。
 それに気づいたアルべニーニョが体を曲げて口付けてくる。アルべニーニョが体を曲げたことでさらに繋がりが深まった。

「んうっ、んんっ」

 敬介の頬が薔薇色に染まる。アルベニーニョはそれを美しいと眺めながら口付けを交わした。

「んん、ん、ふぅっ」

 敬介の中に根本まで包まれているのは気持ちが良かったが、だんだんともっと強く激しく動きたいという欲求がアルベニーニョの中で湧き上がってくる。
 唇を離し、最奥から先端を引き抜くとごりっと内壁を抉った。

「ひあっ」

 前立腺をごりごりと激しく擦り上げるとあっあっと今度は甲高い声を敬介が上げ始める。
 高まってくる射精感に耐えながらアルベニーニョは敬介の額の魔石を見る。
 まだ黒。まだ間に合う。

「……体勢を変えますね」
「え、うわっ」

 ずるっと昂りを引き抜くとアルベニーニョは敬介をうつ伏せにして腰を上げさせると再び屹立を挿入した。

「ああっ!」

 腰だけを上げた姿勢は辛かったのだろう、ふらりと敬介が腕を立てて体を起こした。
 しかしその方がやりやすい。アルベニーニョは内心でそう思いながら腰を振った。

「あっ、あっ、アリー、ありー……!」
「ケイスケ、愛している、ケイスケ……!」
「わたし、も、あっ、あいして、んんっ、るよ……!」

 がつがつと腰を振って高みへと登っていく。

「来る、きちゃう、あ、あっ……!」
「っ」

 達する瞬間、アルベニーニョは敬介のうなじに牙を立てた。

「ああっ!」

 敬介がその痛みでビクビクと震えて射精した。アルベニーニョはぐぐっと牙を押し込む。
 獣人の犬歯には目に見えない小さな穴が空いていて、そこから己のフェロモンを流し込むことができる。
 アルベニーニョはこれに賭けていた。創世神に完全に変態してしまえば敬介は自我を失う。帝国に良いように使われる道具と成り果てる。

 それだけは避けたかった。だから敬介を己の番にすることにした。
 異物が入り込めば完全に変態することを避けられるのではと考えたのだ。
 アルベニーニョが敬介を抱くことは避けられない。自分が辞すれば他の男があてがわれるだけだと知っていた。
 ならば、完全に敬介を自分のものにする。そうすれば、と願った。

「は……」

 達して敬介の体が力を失って倒れ込む。アルベニーニョは牙と萎え始めたそれを引き抜くと敬介の体を表に向けた。
 額の魔石の色は、虹色。創世神の色。
 しかし敬介はふっと目を開いてアルベニーニョを見た。

「……最後の、なに……痛かったけどきもちよかった……」

 首筋の穴はもう塞がっている。痛々しい噛み跡が残っているだけだ。

「あなたを私の番にしました」

 意識がある。アルベニーニョはほっとしてそう告げた。

「つがい……」
「すみません、あなたの意志の確認もなく」
「結婚みたいなこと?」
「そうですね。一生お互いを愛するという縛りのようなものです」

 どうしてもあなたが欲しかったのだ、と囁くアルベニーニョに敬介は柔らかく微笑んだ。
 体を合わせるまではすべてを捧げられるほど愛しているかはわからないと思っていた。
 けれどどこまでも優しく丁寧に抱いてくれたアルベニーニョに敬介はこころから彼にすべてを捧げていいと思った。

「構いません。私もあなたを愛していますから」

 そう言うと、アルベニーニョは真剣な顔で私の愛を信じてこれからの話を聞いてください、と言った。
 それは、ピロートークには重たい話だった。
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