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「あ、あ……!」
ぐぐっと押し入ってくるその熱の杭に私は必死で彼の背中に腕を回す。そこしか寄る辺がないこどものように。
「くっ……力を抜け、シオリ……!」
彼も苦しそうだ。私は出来得る限りの意識を力を抜くことに向けてふっと体の力を抜いた。
するとそれを見逃さなかったアデミル様がぐいっと腰を押し進めた。
「ああっ!」
ずりゅりゅ、と体の奥に熱が入り込んでくるのがわかる。深く、深くまでおかされてとん、と彼の先端が私の中の一番深いところに当たったのがわかった。
「はあ……」
彼は深いため息をつくと私の体をぎゅうっと抱きしめた。
「ようやく、ひとつになれた」
「はい、ようやく、ですね」
私がへろへろとした笑いを浮かべると顔を上げた彼も幸せそうな顔で微笑んでいた。
ちゅっちゅっとキスを交わして、彼が動いていいか、と聞いてくる。
私が頷くと彼はゆっくりと腰を動かし始めた。
「あ、あ……」
ずるぅ、ぱちゅんっと優しく抜き差しされて体が歓喜に震える。悦んでいる。このひとに抱いてもらえて体が悦んでいる。
「あっ、あっ」
少しずつ速くなっていく律動に私はただ翻弄される。
ぱちゅんっぱちゅんっと鳴っていた接合部が次第にぱちゅぱちゅと音を変えていき次第にばちゅばちゅと激しいものへと変わっていく。
「あっあっ、あっ」
アデミル様の広い背に腕を回してひたすら揺さぶられる。気持ちがいい。好きな人とのセックスってこんなに気持ちが良いのか。
ひと突きひと突きごとにびりっびりっと快感が全身を駆け巡っていく。ああ、もっと強く激しくして欲しい。
「あでみるさま、もっと、つよくして……!」
「シオリ……!」
ぐんっと突き上げるスピードが速く激しくなった。私はあーあーとそれしか言えぬこどものようにすがりつき、脚を彼の腰に絡めた。
「シオリ、いいか、出していいか……!」
「出して、わたしのなかでいっぱいだして……!」
がつんがつんと言わんばかりの勢いで揺さぶられて、やがてアデミル様はびくんっと震えて私の最奥で果てた。私もまたびくびくと足先を震わせながら高みに達した。
はあはあと荒い息をしながら抱き合っていると、私は自分の中のアデミル様が萎えていないことに気づいた。
「アデミル様」
「いい、気にするな。きみと繋がれて少し浮かれているだけだ。しばらくすれば治まる」
少し恥ずかしそうに言うアデミル様に私はその耳元で囁いた。
「もう一度、良いですよ」
「っ」
お腹の中でそれがぴくんっと震えたのがわかった。
私とアデミル様は深い口付けを交わして二回目を始めたのだった。
目を覚ますと甘やかな倦怠感が全身を包んでいた。
四回は、うん、ちょっと頑張っちゃったかな。結局気絶するまでしてしまった。
私はそう思いながら視線を上げる。
「起きたか」
するといつから私の寝顔を見ていたのかアデミル様が微笑んでいた。
私は途端にぼっと赤くなり、はひ、と頷く。
「かわいかったぞ、シオリ」
「あ、ありがとうございます。私もとっても気持ちが良かったです。最後気を失ってしまってすみません」
「いや、いい。きみの方こそ体は大丈夫か」
「少し体がだるいですけど大丈夫です」
「すまない、次からは自重する」
申し訳無さそうに言うアデミル様に、私はいいえ、とそのふかふかの胸板に顔を埋めた。
「遠慮なんてしないで。求められて私も嬉しいから」
「そうか。ありがとう」
優しく髪を撫でられてうっとりとしているとそれで、だな、と遠慮がちな声がした。
「そろそろ起きる時間なんだが、起きられるか?それとも今日はもう一日ずっとゆっくりしているか?」
はっとして時計を見るとたしかにそんな時間だった。私は大丈夫です、と身を起こした。
「起きます。あっ……」
「どうした」
私が不意に声を上げたので身を起こしたアデミル様がどこか痛いのかと心配そうに覗き込んでくる。
「い、いえ、ただその……なんだかまだアデミル様が入っているようなじんとした感じが残っていて……びっくりしただけです」
「そ、そうか」
アデミル様と二人で照れながら下着に手を伸ばした。
途端、昨夜アデミル様がたくさん精を注いだそこからとろりとしたものが溢れ出して慌てる。
「あっ、ど、どうしよう」
「なんだ」
「あ、あの、アデミル様の出してくれたものが溢れちゃって……」
彼は一瞬固まったあと私にタオルを手渡してくれた。
「それで拭きなさい。汚れは気にしなくて良い」
「す、すみません」
「いや、もとは私が出したものだからな……すまない」
私たちは二人してもそもそと喋りながら下着を身に着けた。
夜着を再び身にまとってほっとしていると扉をノックされた。メイドさんたちがやってきたのだ。
こうして私たちの朝は始まるのだ。
なんだかいつもより豪華な気がする朝食だったけれどなんだかお腹がいっぱいで余り食べられなかった。
やはりどこか体が、と心配するアデミル様に私は大丈夫ですと笑いかける。
「幸せで胸がいっぱいなんです」
そう言うと彼は照れくさそうにそうか、と頷いた。
今日はレアチーズケーキを作らなくては。神様との約束だ。
今日も喜んでくれるだろうか。神様も、アデミル様も。
腕のふるい甲斐があるというものだ。
あちらの世界にいたときは役に立たないスキルだと思っていた。食べてくれる人もいないのにと。いつも自分ひとりで食べていた。たまに友達も呼んだけれどそれだけでは満たされないなにかがあった。
けれどここでは私のお菓子を必要としてくれるひとたちがいる。
私のお菓子でしか守れないものがある。愛しい人が美味しいと笑ってくれる。
それが私には、誇らしかった。
(続く)
ぐぐっと押し入ってくるその熱の杭に私は必死で彼の背中に腕を回す。そこしか寄る辺がないこどものように。
「くっ……力を抜け、シオリ……!」
彼も苦しそうだ。私は出来得る限りの意識を力を抜くことに向けてふっと体の力を抜いた。
するとそれを見逃さなかったアデミル様がぐいっと腰を押し進めた。
「ああっ!」
ずりゅりゅ、と体の奥に熱が入り込んでくるのがわかる。深く、深くまでおかされてとん、と彼の先端が私の中の一番深いところに当たったのがわかった。
「はあ……」
彼は深いため息をつくと私の体をぎゅうっと抱きしめた。
「ようやく、ひとつになれた」
「はい、ようやく、ですね」
私がへろへろとした笑いを浮かべると顔を上げた彼も幸せそうな顔で微笑んでいた。
ちゅっちゅっとキスを交わして、彼が動いていいか、と聞いてくる。
私が頷くと彼はゆっくりと腰を動かし始めた。
「あ、あ……」
ずるぅ、ぱちゅんっと優しく抜き差しされて体が歓喜に震える。悦んでいる。このひとに抱いてもらえて体が悦んでいる。
「あっ、あっ」
少しずつ速くなっていく律動に私はただ翻弄される。
ぱちゅんっぱちゅんっと鳴っていた接合部が次第にぱちゅぱちゅと音を変えていき次第にばちゅばちゅと激しいものへと変わっていく。
「あっあっ、あっ」
アデミル様の広い背に腕を回してひたすら揺さぶられる。気持ちがいい。好きな人とのセックスってこんなに気持ちが良いのか。
ひと突きひと突きごとにびりっびりっと快感が全身を駆け巡っていく。ああ、もっと強く激しくして欲しい。
「あでみるさま、もっと、つよくして……!」
「シオリ……!」
ぐんっと突き上げるスピードが速く激しくなった。私はあーあーとそれしか言えぬこどものようにすがりつき、脚を彼の腰に絡めた。
「シオリ、いいか、出していいか……!」
「出して、わたしのなかでいっぱいだして……!」
がつんがつんと言わんばかりの勢いで揺さぶられて、やがてアデミル様はびくんっと震えて私の最奥で果てた。私もまたびくびくと足先を震わせながら高みに達した。
はあはあと荒い息をしながら抱き合っていると、私は自分の中のアデミル様が萎えていないことに気づいた。
「アデミル様」
「いい、気にするな。きみと繋がれて少し浮かれているだけだ。しばらくすれば治まる」
少し恥ずかしそうに言うアデミル様に私はその耳元で囁いた。
「もう一度、良いですよ」
「っ」
お腹の中でそれがぴくんっと震えたのがわかった。
私とアデミル様は深い口付けを交わして二回目を始めたのだった。
目を覚ますと甘やかな倦怠感が全身を包んでいた。
四回は、うん、ちょっと頑張っちゃったかな。結局気絶するまでしてしまった。
私はそう思いながら視線を上げる。
「起きたか」
するといつから私の寝顔を見ていたのかアデミル様が微笑んでいた。
私は途端にぼっと赤くなり、はひ、と頷く。
「かわいかったぞ、シオリ」
「あ、ありがとうございます。私もとっても気持ちが良かったです。最後気を失ってしまってすみません」
「いや、いい。きみの方こそ体は大丈夫か」
「少し体がだるいですけど大丈夫です」
「すまない、次からは自重する」
申し訳無さそうに言うアデミル様に、私はいいえ、とそのふかふかの胸板に顔を埋めた。
「遠慮なんてしないで。求められて私も嬉しいから」
「そうか。ありがとう」
優しく髪を撫でられてうっとりとしているとそれで、だな、と遠慮がちな声がした。
「そろそろ起きる時間なんだが、起きられるか?それとも今日はもう一日ずっとゆっくりしているか?」
はっとして時計を見るとたしかにそんな時間だった。私は大丈夫です、と身を起こした。
「起きます。あっ……」
「どうした」
私が不意に声を上げたので身を起こしたアデミル様がどこか痛いのかと心配そうに覗き込んでくる。
「い、いえ、ただその……なんだかまだアデミル様が入っているようなじんとした感じが残っていて……びっくりしただけです」
「そ、そうか」
アデミル様と二人で照れながら下着に手を伸ばした。
途端、昨夜アデミル様がたくさん精を注いだそこからとろりとしたものが溢れ出して慌てる。
「あっ、ど、どうしよう」
「なんだ」
「あ、あの、アデミル様の出してくれたものが溢れちゃって……」
彼は一瞬固まったあと私にタオルを手渡してくれた。
「それで拭きなさい。汚れは気にしなくて良い」
「す、すみません」
「いや、もとは私が出したものだからな……すまない」
私たちは二人してもそもそと喋りながら下着を身に着けた。
夜着を再び身にまとってほっとしていると扉をノックされた。メイドさんたちがやってきたのだ。
こうして私たちの朝は始まるのだ。
なんだかいつもより豪華な気がする朝食だったけれどなんだかお腹がいっぱいで余り食べられなかった。
やはりどこか体が、と心配するアデミル様に私は大丈夫ですと笑いかける。
「幸せで胸がいっぱいなんです」
そう言うと彼は照れくさそうにそうか、と頷いた。
今日はレアチーズケーキを作らなくては。神様との約束だ。
今日も喜んでくれるだろうか。神様も、アデミル様も。
腕のふるい甲斐があるというものだ。
あちらの世界にいたときは役に立たないスキルだと思っていた。食べてくれる人もいないのにと。いつも自分ひとりで食べていた。たまに友達も呼んだけれどそれだけでは満たされないなにかがあった。
けれどここでは私のお菓子を必要としてくれるひとたちがいる。
私のお菓子でしか守れないものがある。愛しい人が美味しいと笑ってくれる。
それが私には、誇らしかった。
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