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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか㉚
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気づけば月日は流れ、お姉様は二年生に上がった。
お姉様は相変わらずで、誰のこともちゃんと見ていない。お父様もお姉様がもっと現実を見るようにって行動を起こしてくれていた。公爵家当主として忙しいだろうにそれでもお姉様のためにって。だけどそれでもやっぱりお姉様には届かないのだ。
私とお姉様とお父様。
たった三人しかいない血のつながった家族。それなのに私たちは二人の言葉がお姉様に届かないのは、少しだけ悲しい。……私はお姉様ともっとちゃんと会話を交わして、お姉様に私の事を見てほしいって思っているのに。まったく響かないことに何とも言えない気持ちになる。
お姉様にとってこの世界は乙女げぇむの世界だから、それ以上の事で心を動かされたりはしないのだ。
攻略対象と呼ばれる存在とかには心を動かされるようだけど……。お父様にはまだ目を向けているけれど私にはそういう視線もない。
私は、乙女げぇむの中にほとんど出てこないから。
「お姉様……」
私は自室の中でお姉様の事を考えている。
その手には、デル兄様から届いた手紙がある。
デル兄様からのお姉様に関する手紙。相変わらずデル兄様自身の事を見ていないらしい。お姉様は学園で大切な人を作る事はなく心優しい令嬢として生きている。乙女げぇむの中ではお姉様は悪役令嬢という存在で、もっと自由気ままに生きていたらしい。我儘をいったり、デル兄様の事を大好きだというのを示したり――。
その乙女げぇむの世界では主人公にひかれたデル兄様がお姉様を破滅に導くって言ってたけど、デル兄様はお姉様が大好きって態度を示してくれてたら嬉しかったと思うんだけどなぁ。きっと現実のデル兄様はそういうのがあったら喜んだんだろうけど。現実のデル兄様はそんな断罪なんてしないのに。
ああ、でももしそういう可能性があるのだとしたら、お姉様がデル兄様を大好き大好きって態度で、我儘を言って、好き勝手して、それに慣れてしまって断罪したとかなのだろうか。乙女げぇむの世界では。……そんなこと現実ではありえないけど、あるとしたら……。
王家の侍女がお姉様についていて、お姉様が少し変になっている事は王家に伝わっている。
やっぱり王家の目から見ても、お姉様はちょっと歪らしい。
……お姉様は生きているようで生きていなくて。現実を見ているようで見ていなくて。
少しぐらい我儘だったとしても、それでも現実をきちんと見えていれば問題ないだろう。貴族夫人にいつかなかった時に、家のために社交界などでも考えて動けるだろうから。貴族夫人はただ、微笑んでいればいいわけではない。まぁ、そういう家もあるかもしれないけれど……、それでは駄目だから。多分、このままでは色々と破綻がくる。
乙女げぇむの主人公が入学するまでになるべく行動を起こす。主人公なんて存在が出てきたらお姉様はますますおかしな行動を起こすかもしれないから。
私は来年に学園に入学する。その時、お姉様は学園三年目。来年が特に本番だ。私は姉妹なのだから、お姉様に話しかけたり働きかけても問題はない。だから、学園でお姉様に此処が現実だってわかってもらえるようにもっと頑張らなきゃ。
もちろん、この一年、お姉様に働きかけはしていくつもりだけど……。
少しずつお姉様に現実を分かってもらうための催しをするための準備は進んでいる。進められる中で、お姉様はどうやら「破滅ルートは回避できているはず」とそんな風に思っているようだ。
攻略対象たちと当たり障りのない態度で、その人自身を見ていない態度をし続けて。良い関係が築けているのだとお姉様は思い込んでいるのだ。デル兄様の友人たちはお姉様の事を不気味に思っているようだった。お姉様が知らないはずのことを知っていたりとかするから。
……お姉様は主人公がやってくることを恐れているようで、一人でぶつぶついっていたりとか、やっぱり何か書いていたりするようだ。王家の侍女経由でその内容もこちらに渡してもらうようになっている。
そうすればウーログが内容を確認する事が出来るから。
「……来年までにやること決めないと」
時間は沢山あるようで、あまりない。
お姉様への催しの準備を進めたり、お姉様に周りをちゃんと見てもらえるようにしないと。
私はそう気合を入れる。
そして思い起こすのは、徐々に薄れてきている優しかったお姉様との記憶だ。おかしくなる前のお姉様は、私に優しかった。私の事をちゃんと見てくれてた。そんな過去のことに縋っている私は、周りから見たら滑稽なのかもしれない。
――でも私は周りに何を言われようともやっぱりお姉様に私を見てほしい。
お姉様は相変わらずで、誰のこともちゃんと見ていない。お父様もお姉様がもっと現実を見るようにって行動を起こしてくれていた。公爵家当主として忙しいだろうにそれでもお姉様のためにって。だけどそれでもやっぱりお姉様には届かないのだ。
私とお姉様とお父様。
たった三人しかいない血のつながった家族。それなのに私たちは二人の言葉がお姉様に届かないのは、少しだけ悲しい。……私はお姉様ともっとちゃんと会話を交わして、お姉様に私の事を見てほしいって思っているのに。まったく響かないことに何とも言えない気持ちになる。
お姉様にとってこの世界は乙女げぇむの世界だから、それ以上の事で心を動かされたりはしないのだ。
攻略対象と呼ばれる存在とかには心を動かされるようだけど……。お父様にはまだ目を向けているけれど私にはそういう視線もない。
私は、乙女げぇむの中にほとんど出てこないから。
「お姉様……」
私は自室の中でお姉様の事を考えている。
その手には、デル兄様から届いた手紙がある。
デル兄様からのお姉様に関する手紙。相変わらずデル兄様自身の事を見ていないらしい。お姉様は学園で大切な人を作る事はなく心優しい令嬢として生きている。乙女げぇむの中ではお姉様は悪役令嬢という存在で、もっと自由気ままに生きていたらしい。我儘をいったり、デル兄様の事を大好きだというのを示したり――。
その乙女げぇむの世界では主人公にひかれたデル兄様がお姉様を破滅に導くって言ってたけど、デル兄様はお姉様が大好きって態度を示してくれてたら嬉しかったと思うんだけどなぁ。きっと現実のデル兄様はそういうのがあったら喜んだんだろうけど。現実のデル兄様はそんな断罪なんてしないのに。
ああ、でももしそういう可能性があるのだとしたら、お姉様がデル兄様を大好き大好きって態度で、我儘を言って、好き勝手して、それに慣れてしまって断罪したとかなのだろうか。乙女げぇむの世界では。……そんなこと現実ではありえないけど、あるとしたら……。
王家の侍女がお姉様についていて、お姉様が少し変になっている事は王家に伝わっている。
やっぱり王家の目から見ても、お姉様はちょっと歪らしい。
……お姉様は生きているようで生きていなくて。現実を見ているようで見ていなくて。
少しぐらい我儘だったとしても、それでも現実をきちんと見えていれば問題ないだろう。貴族夫人にいつかなかった時に、家のために社交界などでも考えて動けるだろうから。貴族夫人はただ、微笑んでいればいいわけではない。まぁ、そういう家もあるかもしれないけれど……、それでは駄目だから。多分、このままでは色々と破綻がくる。
乙女げぇむの主人公が入学するまでになるべく行動を起こす。主人公なんて存在が出てきたらお姉様はますますおかしな行動を起こすかもしれないから。
私は来年に学園に入学する。その時、お姉様は学園三年目。来年が特に本番だ。私は姉妹なのだから、お姉様に話しかけたり働きかけても問題はない。だから、学園でお姉様に此処が現実だってわかってもらえるようにもっと頑張らなきゃ。
もちろん、この一年、お姉様に働きかけはしていくつもりだけど……。
少しずつお姉様に現実を分かってもらうための催しをするための準備は進んでいる。進められる中で、お姉様はどうやら「破滅ルートは回避できているはず」とそんな風に思っているようだ。
攻略対象たちと当たり障りのない態度で、その人自身を見ていない態度をし続けて。良い関係が築けているのだとお姉様は思い込んでいるのだ。デル兄様の友人たちはお姉様の事を不気味に思っているようだった。お姉様が知らないはずのことを知っていたりとかするから。
……お姉様は主人公がやってくることを恐れているようで、一人でぶつぶついっていたりとか、やっぱり何か書いていたりするようだ。王家の侍女経由でその内容もこちらに渡してもらうようになっている。
そうすればウーログが内容を確認する事が出来るから。
「……来年までにやること決めないと」
時間は沢山あるようで、あまりない。
お姉様への催しの準備を進めたり、お姉様に周りをちゃんと見てもらえるようにしないと。
私はそう気合を入れる。
そして思い起こすのは、徐々に薄れてきている優しかったお姉様との記憶だ。おかしくなる前のお姉様は、私に優しかった。私の事をちゃんと見てくれてた。そんな過去のことに縋っている私は、周りから見たら滑稽なのかもしれない。
――でも私は周りに何を言われようともやっぱりお姉様に私を見てほしい。
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