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13 お勢斬殺指令ー豪士ー

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その夜遅く、俺は土方さんの部屋へ呼ばれた。
今頃、何の用だろう。
こんなに遅く呼ばれるのは、ろくなことではない。

なぜお勢を斬るのか。
それを土方さんに聞かなければならない。
だが、それは局中法度違反だ。

命令に不服従はその第一項目にある。
「士道ニ背キ間敷事」だ!
それでも俺は切腹覚悟で、
土方さんに聞いた。

「お勢さんを斬る理由を教えてください」
土方さんはいつもの土方さんだった。
「態勢が変わる。いずれ幕府は
大政奉還せさせざるをえなくなる」

この返事に俺は仰天した。
公儀が政権を朝廷に渡す!!
俺は思わず叫んだ。

「そんな気配はどこにもない!
それどころか長州は公儀に恭順の姿勢です」
土方さんは水のように冷静だった。

「いずれ薩長同盟が成る!
そうなったら、薩摩、長州、その他の尊王の藩相手に
公儀と会津が戦火をまみるのは時間の問題だ」

俺は言葉がなかった。
しかし、なぜそれがお勢惨殺につながる。
俺の気持ちを読んだように、土方さんが言った。

「お勢にあのことを記憶させたのは、
公儀がいずれ天下を掌中にするというのが
前提だ!そうなれば、新選組は最大の功労者だ」

そう言うことか!
「そうでなければ・・・」
「新選組は公儀よりも会津よりも
最大の反逆者ですね!」

「お勢がいては、近藤さんと土方さんは
大名どころか斬首になり、
四条河原に首を晒される!と言うことですね」

「俺のことはどうでもいい!
近藤さんをそんな目には、絶対合わせられない!」
俺は土方さんの目を睨んで言った。

「勝手です!!なぜ隊士でもないお勢が、
事情も知らされずにそれをやらされた彼女が、
斬られなければならないのです!」

「お勢を斬れ!できなければ切腹だ!」
俺は立ち上がって言った。
「両方ともお断りです!土方さんが斬ると言うのなら
相手します!俺はお勢を護る!」


俺はもう自分が何を言ってるのかも分からなかった。
土方さんを相手にすると言うことは、
新選組すべてを敵に回すことだ。

それでも俺はやる!
命がけでお勢さんを護る!
部屋を出た。

廊下に沖田さんがいた。
刀を下げている。
だが、笑顔で俺に言った。

「やっちまいましたね。俺は加わらないが、
新選組隊士五十人が相手ですよ!永倉さんも斎藤さんもいる!」
「仕方ない!土方さんらしくもない!
理不尽すぎる!」

「土方さんは新選組の事しか考えてない。
理不尽でも卑怯でも、人でなしでも彼はやります」
俺は急いで賄いへ向かった。

すぐにお勢を連れて屯所を出るのだ。
まさか新選組相手に斬り合うとは思わなかったが、
お勢を護るためなら、俺は手段を選ばない!!




















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