16 / 19
32 包囲網
しおりを挟む
車を運転して品川に近づくにつれ、周囲の状況がおかしいのに白貴は気づいた。
普通の人間にはわからない形で覆面パトカーが歩道わきに止まり、明らかに私服刑事と思しき男たちの数が増えている。ものすごい包囲網だ。
この警察の態勢はただ事ではない。
白貴は堺の拳銃と上重の拳銃捜査だとすぐに感じた。
警察に取って拳銃とはそれくらい重要なものなのだ。
警官が殺され、強奪された拳銃で事件が起きた場合トップの首さえ危なくなる。
それくらい警官の持つ拳銃は重要な意味を持つ。
JR品川駅近くまで一号線を来ると、歩道はほとんど私服になった。
白貴は二丁の拳銃を真奈美に渡そうと車に積んである。
これでは拳銃を渡すどころか、会うことさえ出来ない。
結果として、警察は拳銃事件の収束を邪魔していると言えた。
こんなにポリがいなければ、拳銃を真奈美に渡し彼女が署の保管庫に入れておけば事件は解決する。そうした白貴の計画を警察が妨害している。
白貴の勝手な理屈かもしれないが、結果として警察は拳銃を取り戻せたらいいのだろう。
カフェテラス前まで来たが、とても入れたものではない。
車を降りることさえマークされる。
顔認証に引っかからないようにマスクにメガネをして来た。
次の交差点を強引に右折し、裏道へ入った。
これだけ警戒が厳重としいことは、店の中に真奈美が居ると言うことだ。
自分が来たと言うことだけでも、彼女に知らせて起きたかった。
車を停めて、適当なビルの非常階段を上がる。
この場所はあのカフェテラスの正面に位置しているはずだ。
三階の踊り場からカフェの中が見えた。
いつもの席に真奈美がいた。
私服が取り囲む中で、彼女は悠然と座っていた。
階段の踊り場の壁に巣がを隠しながら、白貴はスマホで電話した。
三十秒以内に切らないと、位置を特定されここは警官だらけになる。
彼女がテーブルのスマホを取った。
周囲の私服たちが緊張するのが分かった。
「俺だ。黙って聞いてくれ。いま君が見える場所にいる。渡したい物があったが今日はやめておく。いつか「三日月」出会おう」
それだけ言って電話をは切り、電源をお問いした。
警察がおれの居場所を突き止める、ギリギリの時間だった。
「三日月」とは、先日人を斬った刀「三日月宗近」を真奈美が鑑定した屋敷だ。
俺と彼女しか知らない場所だった。
白貴は拳銃を彼女に託して警察へ返すと言う要件があったが、彼女は明らかに彼に会いに来たのだ。白貴自身も会いたかった。
仲間を彼女に殺されたが、それは俺に断りなく上重を殺ったあいつらのせいだ。
目障りな上重を片付け、俺を安心させたかったのだろう。
だが、状況がいつもの事態と状況が異なる。
それが読めない彼らの自業自得とも言えた。
白貴はすぐに車へ引き返し、国道一号を戻った。
今夜にも輸送機でアメリカへ帰れるはずだった。
普通の人間にはわからない形で覆面パトカーが歩道わきに止まり、明らかに私服刑事と思しき男たちの数が増えている。ものすごい包囲網だ。
この警察の態勢はただ事ではない。
白貴は堺の拳銃と上重の拳銃捜査だとすぐに感じた。
警察に取って拳銃とはそれくらい重要なものなのだ。
警官が殺され、強奪された拳銃で事件が起きた場合トップの首さえ危なくなる。
それくらい警官の持つ拳銃は重要な意味を持つ。
JR品川駅近くまで一号線を来ると、歩道はほとんど私服になった。
白貴は二丁の拳銃を真奈美に渡そうと車に積んである。
これでは拳銃を渡すどころか、会うことさえ出来ない。
結果として、警察は拳銃事件の収束を邪魔していると言えた。
こんなにポリがいなければ、拳銃を真奈美に渡し彼女が署の保管庫に入れておけば事件は解決する。そうした白貴の計画を警察が妨害している。
白貴の勝手な理屈かもしれないが、結果として警察は拳銃を取り戻せたらいいのだろう。
カフェテラス前まで来たが、とても入れたものではない。
車を降りることさえマークされる。
顔認証に引っかからないようにマスクにメガネをして来た。
次の交差点を強引に右折し、裏道へ入った。
これだけ警戒が厳重としいことは、店の中に真奈美が居ると言うことだ。
自分が来たと言うことだけでも、彼女に知らせて起きたかった。
車を停めて、適当なビルの非常階段を上がる。
この場所はあのカフェテラスの正面に位置しているはずだ。
三階の踊り場からカフェの中が見えた。
いつもの席に真奈美がいた。
私服が取り囲む中で、彼女は悠然と座っていた。
階段の踊り場の壁に巣がを隠しながら、白貴はスマホで電話した。
三十秒以内に切らないと、位置を特定されここは警官だらけになる。
彼女がテーブルのスマホを取った。
周囲の私服たちが緊張するのが分かった。
「俺だ。黙って聞いてくれ。いま君が見える場所にいる。渡したい物があったが今日はやめておく。いつか「三日月」出会おう」
それだけ言って電話をは切り、電源をお問いした。
警察がおれの居場所を突き止める、ギリギリの時間だった。
「三日月」とは、先日人を斬った刀「三日月宗近」を真奈美が鑑定した屋敷だ。
俺と彼女しか知らない場所だった。
白貴は拳銃を彼女に託して警察へ返すと言う要件があったが、彼女は明らかに彼に会いに来たのだ。白貴自身も会いたかった。
仲間を彼女に殺されたが、それは俺に断りなく上重を殺ったあいつらのせいだ。
目障りな上重を片付け、俺を安心させたかったのだろう。
だが、状況がいつもの事態と状況が異なる。
それが読めない彼らの自業自得とも言えた。
白貴はすぐに車へ引き返し、国道一号を戻った。
今夜にも輸送機でアメリカへ帰れるはずだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
牛の首チャンネル
猫じゃらし
ホラー
どうもー。『牛の首チャンネル』のモーと、相棒のワンさんです。ご覧いただきありがとうございます。
このチャンネルは僕と犬のぬいぐるみに取り憑かせた幽霊、ワンさんが心霊スポットに突撃していく動画を投稿しています。
怖い現象、たくさん起きてますので、ぜひ見てみてくださいね。
心霊写真特集もやりたいと思っていますので、心霊写真をお持ちの方はコメント欄かDMにメッセージをお願いします。
よろしくお願いしまーす。
それでは本編へ、どうぞー。
※小説家になろうには「牛の首」というタイトル、エブリスタには「牛の首チャンネル」というタイトルで投稿しています。
月影の約束
藤原遊
ホラー
――出会ったのは、呪いに囚われた美しい青年。救いたいと願った先に待つのは、愛か、別離か――
呪われた廃屋。そこは20年前、不気味な儀式が行われた末に、人々が姿を消したという場所。大学生の澪は、廃屋に隠された真実を探るため足を踏み入れる。そこで彼女が出会ったのは、儚げな美貌を持つ青年・陸。彼は、「ここから出て行け」と警告するが、澪はその悲しげな瞳に心を動かされる。
鏡の中に広がる異世界、繰り返される呪い、陸が抱える過去の傷……。澪は陸を救うため、呪いの核に立ち向かうことを決意する。しかし、呪いを解くためには大きな「代償」が必要だった。それは、澪自身の大切な記憶。
愛する人を救うために、自分との思い出を捨てる覚悟ができますか?
狂気と幻想のホラーミステリー短編集
三雲はる
ホラー
ホラーミステリー短編集です。4話で1つの物語が完結します。青春、SF、不条理、ブラック、コメディ等バラエティ豊かな内容となっています。恐怖と謎が交錯する奇妙な世界をお楽しみください。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。※
幸せの島
土偶の友
ホラー
夏休み、母に連れられて訪れたのは母の故郷であるとある島。
初めて会ったといってもいい祖父母や現代とは思えないような遊びをする子供たち。
そんな中に今年10歳になる大地は入っていく。
彼はそこでどんな結末を迎えるのか。
完結しましたが、不明な点があれば感想などで聞いてください。
エブリスタ様、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも投稿しています。
呪部屋の生贄
猫屋敷 鏡風
ホラー
いじめっ子のノエルとミエカはミサリをターゲットにしていたがある日ミサリが飛び降り自殺をしてしまう。
10年後、22歳になったノエルとミエカに怪異が襲いかかる…!?
中2の時に書いた訳の分からん物語を一部加筆修正して文章化してみました。設定とか世界観が狂っていますが悪しからず。
開示請求
工事帽
ホラー
不幸な事故を発端に仕事を辞めた男は、動画投稿で新しい生活を始める。順調に増える再生数に、新しい生活は明るいものに見えた。だが、投稿された一つのコメントからその生活に陰が差し始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる