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ミケの変身
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三日後、一番隊は伊東と五名の配下を連れて見回りに出た。
人数が多いため、一番隊の数を半数の四名とした。
十人編成で四条通りを西へ向かう。
土方さんからは、もっとも危険な個所を今夜は伊東たちに見せろと言われている。
言われるまでもない。
禁門の変以来、長州に加えてうろんな西国浪士が京の街にあふれている。
それが次第に多くなっていく気がする。
隊士単独外出が禁止されることさえ、最近では珍しくなくなった。
薩摩が押さえになっているが、これが寝返ったら京の力関係は完全に逆転する。
そうした危ない瀬戸際での毎日の巡回だった。
屯所へ帰還するまで、一瞬たりとも気が抜けない。
伊東たちはこの見回りをあまく見ているようだ。
新選組の存在自体を、みくびっているのか。
たかが見回り・・・何ほどのものが!
伊東たち六名にそうした気配があった。
ただ、死番役の存在には、彼らも関心を見せていた。
四条通りから寺町通りの路地へ入ると、伊東の配下の服部が死番を変わろうと言い出した。
面白い!俺は死番役だった林辰之助を下げ、服部を先頭に立たせた。
その後方に伊東を始め、弟の三樹三郎、篠原泰之進らが五名が詰める。
蛸薬師堂裏の狭い路地で、再び惨劇が起きた。
闇の中から音もなく槍が突き出された。
身構えていた服部はそれをかわした。
同時に二番槍が服部の脇腹をかすめた。
飛び出した三樹三郎が槍の持ち手を一刀のもとに斬り捨て、あとは伊東たちと浪士たちの乱戦となった。
俺は一番隊に手出しをさせず傍観した。
さすがに伊東派の底力は凄まじかった。
槍傷を受けているはずの服部が、闇の中で三名の浪士を斬り捨てた。
終わってみると、伊東たちは服部のかすり傷のみで、浪士七名が斃れていた。
河原町へ向かって巡回を再開しながら、伊東は笑いながら俺に言った。
「凄まじい洗礼だな!京の街の手強さが分かったよ」
俺は返事をしなかった。
あまい!本物の待ち伏せは、こんなものではない!
いずれ、もっと凄まじい死闘を体験させてやる!
当然と言えば当然だが、その夜以来ミケが伊東に寄り付かなくなった。
肩へ乗るどころか、側へも寄らない。
血の臭い、死臭が彼から漂うのだ。
俺には相変わらずあまえて抱かれる。
やはり、ミケは俺のものだっ!。
俺が取り戻した平安とは逆に、予想もしなかった激震が竜馬によって新選組にもたらされた
人数が多いため、一番隊の数を半数の四名とした。
十人編成で四条通りを西へ向かう。
土方さんからは、もっとも危険な個所を今夜は伊東たちに見せろと言われている。
言われるまでもない。
禁門の変以来、長州に加えてうろんな西国浪士が京の街にあふれている。
それが次第に多くなっていく気がする。
隊士単独外出が禁止されることさえ、最近では珍しくなくなった。
薩摩が押さえになっているが、これが寝返ったら京の力関係は完全に逆転する。
そうした危ない瀬戸際での毎日の巡回だった。
屯所へ帰還するまで、一瞬たりとも気が抜けない。
伊東たちはこの見回りをあまく見ているようだ。
新選組の存在自体を、みくびっているのか。
たかが見回り・・・何ほどのものが!
伊東たち六名にそうした気配があった。
ただ、死番役の存在には、彼らも関心を見せていた。
四条通りから寺町通りの路地へ入ると、伊東の配下の服部が死番を変わろうと言い出した。
面白い!俺は死番役だった林辰之助を下げ、服部を先頭に立たせた。
その後方に伊東を始め、弟の三樹三郎、篠原泰之進らが五名が詰める。
蛸薬師堂裏の狭い路地で、再び惨劇が起きた。
闇の中から音もなく槍が突き出された。
身構えていた服部はそれをかわした。
同時に二番槍が服部の脇腹をかすめた。
飛び出した三樹三郎が槍の持ち手を一刀のもとに斬り捨て、あとは伊東たちと浪士たちの乱戦となった。
俺は一番隊に手出しをさせず傍観した。
さすがに伊東派の底力は凄まじかった。
槍傷を受けているはずの服部が、闇の中で三名の浪士を斬り捨てた。
終わってみると、伊東たちは服部のかすり傷のみで、浪士七名が斃れていた。
河原町へ向かって巡回を再開しながら、伊東は笑いながら俺に言った。
「凄まじい洗礼だな!京の街の手強さが分かったよ」
俺は返事をしなかった。
あまい!本物の待ち伏せは、こんなものではない!
いずれ、もっと凄まじい死闘を体験させてやる!
当然と言えば当然だが、その夜以来ミケが伊東に寄り付かなくなった。
肩へ乗るどころか、側へも寄らない。
血の臭い、死臭が彼から漂うのだ。
俺には相変わらずあまえて抱かれる。
やはり、ミケは俺のものだっ!。
俺が取り戻した平安とは逆に、予想もしなかった激震が竜馬によって新選組にもたらされた
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