巻き込まれた脇役は砂糖と塩と共に

田舎

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2章 脇役と不死の王龍

災いの足音

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―――――シュヴァル城の会議は、日々重たく深刻化していた。



【観測士より、我が国の瘴気の濃さがより強くなったとの報告が届いた。】

枯れ続ける草木と川に、いくら丁寧に育てても実りの少ない畑。
一方で隣国マクミランが召喚した聖女様だ。
密偵の報告によると彼女の浄化は順調であり、マクミランは長年滞っていた他国との貿易をまもなく再開する見通しである。
そして各国が聖女様の救済を求め、マクミランの聖教会には多額の寄付金が集まっているとの状況も…。



「相変わらず状況は悪化する一方か…」
「………よい。状況は分かった。で、何か対策はあるか」
「………」

いいや無理だろう。
最初に会談を提示しておいて約束を破ったのはマクミランの方だった。これに国王は激怒した。すぐさま隣国に激しく非難する手紙を送ったほどに。
しかし、マクミラン王は「そちらの騎士は約束の日時を過ぎても現れなかった」。と、しれっとした返事を寄越した。

マクミランはシュヴァルと対話も、和解をする気もない。
そもそも黙っていれば、いずれ国の瘴気に悩まされたシュヴァルが助けを求めてやってくるのだ。
頭を下げるシュヴァルに対し、向こうは「聖女保護条約」の撤回をはじめ、無茶ぶりを要求するに違いない。


――――そうなれば、歴史の繰り返しだ。


国力など関係ない。聖女一人にすべての国の存続が左右されてしまう。
むしろどの国もがこぞって聖女降臨の儀を執り行う。
成功するまで。何百人という生贄と犠牲を払ってでも………。


「性悪国めっ…!」
「シオウとやらも信用はできぬぞ。アレもマクミランの仕向けた罠の可能性もある」
「なにを言いますか!あの方は我々を救うべく神が与えた御方だ!騎士舎ではなく、一刻も早く神殿へお招きせねば!」
「これだから盲信とは恐ろしい。ただ稀有な加護なだけであって、神聖とは違うぞ」
「きっ…、貴方は神の意思を冒涜するつもりか!?」


「――― よせ、見苦しい!!」


第一王子の怒りの一声で、議会は静まり返る。

しかし、悪い知らせはこればかりではない。


「王よ。死の森で騎士が遭遇したというドラゴンゾンビですが… 深層部から中層部へと移動し、そこからは動かずにただ毎日、同じ方向を睨んでいるとの事です」
「その方角は?」
「一直線に線をなぞったところ、最終的には首都此処かと…」


瘴気に汚染され腐敗した、かつての”王龍"。
それが纏う穢れが 一体どれほどの破壊と絶望を巻き散らかすかなど――――…。


「討伐隊を向かわせましょう、すぐにでも」


その声が上がるのも当然だった。

しかし、編成はどうする?誰を向かわせる。
死の森に、さらに”王龍”など――――――……




「いるではありませぬか、一人」


「平民から成り上がった、今は将来の神子を守り、親衛隊隊長を名乗るという騎士が」




ゼアロルドがいると―――――。


推薦すると手を挙げたのは、第二騎士団 団長であった。























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